浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2023年6月12日 うちに秘めた情熱

先週木曜日、関東甲信越が梅雨入りした。
そして、11日日曜の午前、気象庁は「東北の北部と南部、北陸が梅雨入りしたとみられる」と発表。
これで、梅雨のない北海道を除くすべての地域で梅雨入りとなった。

先週発表された最新の1ヶ月予報では、ほとんどのエリアで平年と同様に曇りや雨の日が多い予想だ。
7月上旬にかけて、梅雨らしい天気の1ヶ月になりそうである。梅雨の時期は、例年だと1ヶ月半ほど続くところが多い。
今年はすでに平年の6月1か月分やそれ以上の雨が降っている所があり、12日(月)にかけて、台風3号周辺の湿った空気が梅雨前線に流れ込み、西から東日本の太平洋側を中心に雨足が強まるおそれがある。
鬱陶しい季節ではあるが、雨に濡れた紫陽花の花や葉を見ると優しい気持ちになってくる。

近所のビオトープには、ドクダミの花に続いて、半夏生が姿を現わした。
半夏生は、花穂(かすい)の近くの葉が半分白くなる特徴を持つ、ドクダミ科の多年草である。葉が白くなる様が、まるで化粧をしたように見えたことから、「半化粧」と呼ばれた。やがて半"化粧"が転じて半"夏生"となり、「この花が咲く頃、すなわち半夏生」とするようになったと言われる。

花が咲く時期は6月中旬~7月の間で、茎のてっぺんの葉の付け根から、花序(かじょ)を伸ばして小さな花を咲かせる。
私達が想像する花らしい花とは違い、紐状の花序に小さな花が沢山ついている。
その近くの葉が白くなるのだ。では、何のために葉緑素が抜け落ちるのだろうか。半夏生が上方の葉を白くする目的は、花の近くの葉を目立たせて受粉を担う虫を呼ぶためだといわれている。
花が小さいうえに花びらがないので、葉を白い大きな花びらのように見せかける効果がある。
お化粧をして虫をひきつけていると考えると、大した戦略である。
具体的に葉が白くなる原因は、葉の葉緑体が葉緑素を作らなくなるため。
化粧のように上から何かを塗ったようにも見えるが、実際には葉緑素が作られなくなり、緑色の色素が抜けるのである。
そして花期のあとに緑色に戻るのは、また、葉緑体が葉緑素を作りはじめるからだ。

花が咲き終わって夏の盛りの頃になると、葉の白い部分は色落ちし、普通の緑色になる。
植物は意外と簡単に、緑色を作ったり抜いたりできるようだ。
半夏生は、湿った土壌に丈夫な地下茎を広げて増えていく。
冬には、葉や茎といった地上に出ている部分は枯れるが、地下茎とそこから生えている根はしっかり生きていて、春になると芽を出す。
花言葉は「内に秘めた情熱」。見えないところで努力を続けている。納得だ。

諸草に伸びたつ花穂の半夏生   石川風女


大雨の翌日、とある居酒屋の前を通った。
椅子と共に座布団が店外にだされていた。座布団達は陽の光を浴び気持ちよさそうだった。
東京も梅雨入り間近である。

うちに秘めた情熱
うちに秘めた情熱

今年も半夏生
今年も半夏生

瑞々しさを身にまとい
瑞々しさを身にまとい

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