浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2023年12月4日 赤く艶やかな

今年も師走となった。
先日まで青々としていたイチョウの葉も、慌てて黄色に変化し始めている。

先日真っ赤なリンゴを頂いた。
スーパーでは1年中リンゴの姿を見かけるが、これまでは値段も高く、ばら売りがメインだった。
それが11月中旬からだったか、袋売りを見かけるようになり、今年もリンゴの季節がやってきたのだと感じた。
リンゴといっても世界中では約1万5000以上の品種が存在し、日本には約2000種類あるといわれている。
日本の農林水産省に登録されている品種は177種で、うち品種登録が維持されているものは85種。
多くの有名な品種は誕生年が古く、品種登録されていないという。
国内リンゴ品種は主に7つの起源品種「国光」・「デリシャス」「ゴールデンデリシャス」・「紅玉」・「ウースターペアメイン」・「印度」・「コックスオレンジピピン」に由来している。
また品種の特徴に、早生、中生、晩生といった収穫時期による分類が使われることがある。
例えば青森県ではそれぞれ、8月20日頃までを極早生、9月20日頃までを早生、10月20日頃までを中生、それ以降を晩生としている。
これだけ国内でリンゴの種類があると、リンゴ王国なのではないかと勘違いしがちだが、2013年の世界のりんご生産量を調べると、世界で8,080万トン。
2013年の生産量では中国がトップでアメリカ合衆国、トルコ、ポーランド、インドと続く。
中国ではリンゴの生産が急増していて、世界の5割弱の生産量を占めるに至っている。
特に中国北部は日照時間や昼夜の温度差などの環境条件から、世界最大のリンゴ適地生産区である。
日本では、1962年(昭和37年)から1971年(昭和46年)の10年間に100万トンを超えたが、価格が低迷し、この時期から減少傾向となっている。
日本国内での主な産地は、青森・長野の上位2県が、全国生産量のおよそ75%を占め、冷涼な気候で育つ果樹の代表格だ。
関東でも、群馬・栃木・茨城で生産されている。

さて「一日一個のリンゴは医者を遠ざける」はイギリスの諺だが、スペインでも「毎日のリンゴ一個は医者の費用を節約できる」といわれる。
リンゴにはポリフェノール成分が多く含まれていることが分かり、注目を浴びている。
ポリフェノールは、糖尿病や肥満、動脈硬化といった生活習慣病の予防や、ガンの予防、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を抑える作用、肌を白くする作用などが知られている。
またリンゴに含まれるポリフェノールの一種「ケルセチン」という成分が、インフルエンザ予防に効果があると、アメリカ・サウスカロライナ大学の研究チームが発表した。
またリンゴを食べると食物繊維が、腸内にある善玉菌(ビフィズス菌)を増やし、悪玉菌を減らして、便通をよくしてくれるとも言う。
便秘が改善されると頭痛、肩こりなども改善されるとも聞いた。
小さい頃、発熱やお腹をこわした際、母親がリンゴのすりおろしを作ってくれた。
これは、モーロリンゴ療法と言い、ドイツの科学者が推奨した食事療法である。
当時モーロは、すりおろしたリンゴが腸に対して清浄作用をもち、リンゴの成分の1つであるタンニン酸の鎮静作用が医学的な治療効果をあげていると考えていたが、その後の科学者たちの研究から、「タンニン」「ペクチン」「食物繊維」による効果であることがわかってきた。
さらにリンゴに含まれる「リンゴ酸」、「クエン酸」には、炎症を抑える作用や疲労回復効果があるので、風邪をひいたときにはすりおろしリンゴが効果的なのだ。
ただ、美味しいからといって、リンゴの食べ過ぎは良くない。
何事もほどほどに。

『 食みかけの 林檎に歯当て 人を見る 』   高浜虚子

赤く艶やかな
赤く艶やかな
青空に赤く燃える
青空に赤く燃える

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