
寺島尚正 今日の絵日記
2025年4月28日 藤棚にて
北海道最南端、松前町でサクラが次々と咲き始めている。
松前町では、毎年町が独自にサクラの開花を確認していて、20日の日曜日に道内で最も早くソメイヨシノの開花が宣言された。
23日に「三分咲き」、丁度大型連休に入る頃に見ごろになるという。
その23日、札幌市と函館市でサクラの開花が発表された。
桜前線が日本列島を北上する速度は一日約20キロ。秒速20~25センチで、1秒間に人の足のサイズずつ、進んでいく。また、標高が100メートル高くなると、開花は約2日遅くなるといわれている。
連休前半は道南や札幌周辺などでもサクラが見ごろになりそうだ。
待ち遠しいサクラとともにやってくるのが、シラカバ花粉。この先、北海道はお花見シーズンに入るが、特に晴れて暖かい日、風が強い日は花粉対策が必要だという。
週末、地元八王子市の川沿いを歩いた。
ソメイヨシノは葉桜となり、八重桜の花びらも多くが旅立っていく。
そんな中、川沿いの小さな公園の一角に淡い紫色の塊が宙に浮いている所が見えた。行ってみると、藤棚だった。
房なりに優雅な紫色の花を咲かせる藤の花は、古くから日本で愛されてきた花である。
藤棚に近づくと、吹き抜ける風と共にほんのり、うっすらかおると甘い香りがした。
藤の花と言えば、鬼滅の刃を思い浮かべる。鬼滅の刃には、藤の花が鬼を退治する武器として描かれ、藤の花が一年中咲く山があり、藤の花の香りは鬼除けの香りとして登場している。
そもそも藤という植物はどんな植物なのか。調べてみた。
藤は、マメ科フジ属のつる性落葉木本で日本の固有種である。
フジという名前は、風が吹く度に花が散るので「吹き散る」の意であるそうだ。フジの発音が「不死」「不二」と通じることから、縁起の良い花だと考えられた。
一方、「不治の病」を連想させることから、病中の方には送らないほうが良い植物となっている。
ただ、たわわな藤の花房は子孫繁栄の象徴とされることもあり、おおむね縁起の良い植物としてとらえられている。
強い日光を好む植物で、日光を遮るものがない場所に木材や竹、鉄棒などで作った藤棚を設置し、木陰を作るのピッタリである。
一方で、高木に巻き付いて登り、その樹幹に葉を広げる。その枝は木の葉を被って日光を遮り、また幹は樹木の幹を締め付けて肥大成長を阻害するので、樹木は生長を阻害され、時に枯死する。
高木にとっては、恐ろしい植物とも言える。
藤の蔓は繊維として丈夫なため、椅子やかご、ひもなどの生活に必要な道具に活用されている。
また、藤の繊維から布を織った「藤布」というものもあり、江戸時代までは庶民の仕事着やとして活用され、平安時代では貴族の喪服として使用されてきた。
観賞用としても愛され、平安時代から鎌倉時代にかけて藤の花の美しさを表現する記述が枕草子などでみられている。
藤の花の花言葉は「やさしさ」「恋に酔う」「歓迎」
藤の長い花穂が風に揺れて甘い香りを漂わせる様子から名付けられているという。
ながき日ぞと藤はおぼえて遊びけり 加賀千代女
藤棚にて
たわわなる房
白の房
八重桜も咲き誇り
- 4月21日
- 4月28日