浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2025年8月12日 雨に煙る

お盆休みの時期ではあるが、特に西日本の天気が大荒れだ。

8月10日の日曜、気象庁は昨日午後1時37分、山口県西部で「線状降水帯」が発生し、非常に激しい雨が同じ場所に降り続いているとして『顕著な大雨に関する情報』を発表した。
また福岡県の福岡地方と北九州地方にも『顕著な大雨に関する情報』が発表されている。
福岡県では、9日夜遅くと10日未明にも「顕著な大雨に関する情報」が発表され、福岡県宗像市では10日午後2時までの24時間に301ミリの雨が降り、地域で史上最多を観測した。

ところで、「顕著な大雨に関する情報」とはどういう状況と理解すればよいのだろうか。

「顕著な大雨に関する情報」とは、大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、線状降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている状況のことである。
この「線状降水帯」がキーワードだ。
「線状降水帯」は、発達した積乱雲が連なって、同じ場所に大雨をもたらす現象のことである。
この情報が出ると言うことは、災害のレベル4にある時発表されるものだ。災害警戒レベルは1から5まである。
レベル4は、災害の恐れが高く、「避難指示」「危険な場所から全員避難する」段階のことだ。
誤解を恐れず言うならば「ただでさえ、この場所は大雨で被害が出そうだが、更に線状降水帯が生まれて、同じ場所に延々と大雨が降り続くようだ。これは出来るなら避難しよう!」という情報なのである。

さて、この「顕著な大雨に関する気象情報」とは別に数年に一度しか起こらないような記録的な短時間の大雨を観測した際、「記録的短時間大雨情報」が発表される。
この情報は、現在の降雨がその地域にとって土砂災害や浸水害、中小河川の洪水災害の発生につながるような数年に1度しか観測しない雨量であることを知らせるものだ。
観測基準は、関東地方は100ミリ(小笠原諸島を除く)である。
その場所に記録的短時間大雨情報が発表されたときには、関東では、「1時間の雨量が100ミリを観測された時」と言う意味を持っている。

では、1時間に100ミリという雨量はどういうものなのだろうか。

降水量1ミリ雨は、降った雨が地面から1ミリの深さまでたまる事を表している。体感的には霧雨のように感じられ、傘を持っていない場合でも、我慢できる程度の雨と表現される。
少し雨量が増え、1時間に2ミリになると、傘が必須。わずかな距離でも、傘なしでは濡れてしまうレベルである。
降水量が3~5ミリになると、道路に水たまりが出来始める。大人もレインブーツが欲しくなる程の雨量だ。

1時間の雨量が10ミリ以上20ミリ未満の場合は「やや強い雨」という表現を使う。
ザーザー降りで、地面一面に水たまりができ、跳ね返りで足元が濡れる程の雨である。

1時間の雨量が20ミリ以上30ミリ未満の場合は「強い雨」と表現する。
土砂降りで、傘をさしていても濡れてしまうぐらいの雨である。車を運転している際は、ワイパーを速くしても前が見づらく感じ、道路が冠水したり、小さな川や側溝・水路から水があふれたりする可能性がある。

1時間の雨量が30ミリ以上50ミリ未満の場合は「激しい雨」という表現を使う。
バケツをひっくり返したような雨がこの雨量である。道路は川の様になり、車を運転している際は、高速走行時に路面と車輪の間に水膜が生じブレーキが効かなくなるハイドロプレーニング現象が発生するおそれがある。
このぐらいの雨量になると、がけ崩れなどの土砂災害が起こりやすくなる。

1時間の雨量が50ミリ以上80ミリ未満の場合は「非常に激しい雨」と表現する。
滝のようにゴーゴーと音を立てて雨が降り、傘は役に立たない。屋外は、水しぶきで一面が白っぽくなり視界が悪くなり、車の運転は危険だ。
都市部では、排水機能が追いつかなくなり、マンホールから水が溢れ出す事もある。また、地下街や地下室に雨水が流れ込む事態になる。

そして、1時間の雨量が80ミリ以上の場合は「猛烈な雨」と表現する。
恐怖を感じる降り方で、息苦しさを感じる。雨による大規模な災害発生の恐れがあり、厳重な警戒が必要となる。

ところで「記録的短時間大雨情報」は、気象庁が「大雨警報」を出して警戒をよびかけている時に短時間に猛烈な大雨を観測した場合、災害への一層の警戒を呼びかけるもので、注意報や警報と異なり、危険が高まる前に発表されるのではなく、異常事態の際に発表される情報なので、迅速な対応が求められる。
ところで大雨特別警報と記録的短時間大雨情報、どちらも災害の危険度が迫っているという共通点はあるが、発表基準と意味が異なる。
記録的短時間大雨情報は、警戒レベル4以上に相当する情報だ。
すでに警報が発表され、災害が差し迫っている状況で、危険な場所から全員避難が必要なレベルだ。
一方、大雨特別警報は、警戒レベルごとに取るべき行動では5段階の警戒レベルのうちレベル5に該当する。警報の基準をはるかに超える大雨等が予想され、重大な災害が起こるおそれが著しく高まっている場合に発表され、最大級の警戒が必要なのである。
大雨の特別警報が発表されるときに、記録的短時間大雨情報が発表されるケースもあり、いずれの情報が発表される場合も、すぐに避難行動に移せるよう事前に準備をしておくことが大切だ。

先日、東京でも先月「線状降水帯」発生の予測が出されたことがある。
決して他人事でなく、我が事として災害に備えたい。

雨に煙る
雨に煙る

視界不良
視界不良

豪雨の景色
豪雨の景色

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