浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2025年8月18日 夕暮れ

私の周りでは、体調不良を訴える知人が増えている。
いわゆる「夏風邪」のようだ。

なぜ暑い季節に風邪をひいてしまうのか。
その理由は、夏特有の環境にある。
まず、冷たい飲み物や食べ物を多く摂取することで、胃腸の働きが弱くなり、全身の免疫力が低下する。
腸には、体の全免疫細胞のおよそ60%~70%が集中していると言われている。
人体で最大の腸管免疫システムがあり、そこが弱ってしまうのである。
また、高温多湿の環境は体力を大きく消耗させ、さらに屋外の猛暑と冷房が効いた室内との急激な温度差が、自律神経のバランスを崩しやすくする。
また夏風邪を引き起こすウイルスの多くは、腸管で繁殖しやすいという特徴がある。
そのため、発熱や喉の痛みといった一般的な風邪症状に加えて、下痢や腹痛を伴いやすく脱水や栄養不足に陥りやすくなるのだという。
つまり「風邪をひいた」と言っても、その症状や原因ウイルス、感染経路は季節によって大きく異なる。
ある医師は「夏風邪と冬風邪では、体の反応や対処の仕方がまったく違うため、同じように扱ってはいけない」とアドバイスしている。

「冬の風邪」は主に、インフルエンザウイルスやライノウイルスなどが原因で、咳、喉の痛み、鼻水、発熱といった典型的な呼吸器症状が多く見られる。
空気が乾燥する冬場に、咳やくしゃみに伴う飛沫感染が主だ。

一方で「夏風邪」は、アデノウイルスやエンテロウイルス、コクサッキーウイルスなど、高温多湿の環境でも生存できる種類のウイルスが中心となり、喉の痛みに加え、腹痛や下痢、発熱なども見られるのが特徴。
これらのウイルスは糞便や唾液に排泄され、職場の共用パソコンやエレベーターのボタン、電車のつり革など、人が触るところに付着している。
汚染された手指を介してウイルスを食べ物と一緒に体内に取り込む経口感染が主な感染経路だ。飲食前に石けんで手洗いする習慣が重要である。

ところで「夏風邪は治りにくい」と聞いたことはないか。
その理由は、夏風邪の原因となるウイルスの多くは、腸内で増殖する。
腸内で増殖したウイルスは、体外に排出されるまでに時間がかかるため、症状が長引く傾向があるという。

夏風邪にかからないためには、「ウイルスをつけない」ことが予防の大原則。
外出先から帰ったら石けんで手洗いやうがいをして喉の粘膜を清潔に保つことが基本だ。
アルコール消毒も有効だという。

万が一、夏風邪にかかってしまった場合は、原因ウイルスに直接効く薬はなく、治療の基本は症状に応じた対症療法となる。
発熱には解熱剤、喉の痛みには鎮痛薬やのど飴など、症状を和らげる薬を使う。
水分をこまめに補給し、冷房などで室温を快適に保ちながら安静に過ごすことが大切だ。

夏風邪は冬風邪よりも強力でしつこい。
夏風邪予防のために、免疫力の落ちやすい夏だからこそ、「睡眠不足」と「栄養のバランス」、そして「手洗いやうがいの励行」が肝要なのである。
加えて「コロナ」感染者も増加中である。混雑した場所では注意したい。

秋の虫たちが、少しずつ鳴き始めている。


夕暮れ
夕暮れ

夏バテ知らず
夏バテ知らず

水分はしっかり摂りましょう
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