
寺島尚正 今日の絵日記
2025年9月29日 キノコ1
週末、近くの自然公園の散歩道でキノコを見つけた。
そんな時期になってきたのだと、季節を感じるのと同時に、つい「これは食べられるの?」と気になってしまう。
秋はまさにキノコの季節、森や林のあちらこちらで様々なキノコが顔をのぞかせる。
そんなキノコの中には、私たちを欺くような悪質な偽物もいる。
毎年のように、誤って毒キノコを食べて体調を崩す人が後を絶たない。
キノコの種類は非常に多く、見た目だけで食用か毒かを判断するのが極めて困難だ。
日本には5000種以上のキノコが存在し、その多様な形や色は、同じ種でも成長段階や生育環境によって変わる。
見た目だけで「これ食べられそう!」と思ってしまうのがキノコの怖いところ。
「鮮やかな色のキノコは毒」「虫が食べているキノコは安全」などの言い伝えは科学的根拠がなく、これらに頼って毒キノコを食してしまう例が多い。
実際には地味な色彩のキノコにも毒性をもつものは多く、虫は毒キノコでも普通に食べるため、虫が食べているから安全とは言い切れないのである。
プロのキノコ採り名人でさえ、見分けに迷うことがあるというのだから、素人が判断するのは大変危険だ。
特に怖いのは、煮ても焼いても毒が消えない猛毒のキノコ。
ほんの少し口にしただけで生命に関わることもある。
その代表例がトリカブトやドクツルタケだ。
これらは、色や形がまともに違うのでまだわかりやすい方だが、食用キノコにそっくりな毒キノコも沢山あるため、正しい知識なしに採取や食用は厳禁である。
さらに、キノコの採取や調理の過程で発生する人的ミスも中毒が減らない原因だ。
食用キノコと混じった毒キノコの見落とし、誤った調理方法、生のまま大量に食べることなどが事故を招いている。
では、どうやって秋のキノコを楽しめばいいのかといえば、まずは「知らないキノコは絶対に食べない」という鉄則を守ることである。
専門家の鑑定を受けるとか、資格を持った人についていくとか、安全策を講じて楽しむのがベストだ。
今はキノコ狩りツアーも増えているので、そういったものに参加するのも楽しくて安全な方法だろう。
スーパーや市場で売られている食用キノコは、厳しくチェックされているので安心して味わうことができると聞いた。
安全が保障されたキノコの味わいが、秋を感じる幸せそのものだと考える。
今年も秋が深まる頃、自然の豊かさに感謝しながら、安全に、そして心ゆくまでキノコの味覚を楽しみたいものである。
自然がくれるこの小さな贈り物を、本物の知識とともに味わう喜びを、味わいたい。
『秋の夜の きのこの声す 暁かな』高浜虚子
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