浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2025年9月8日 視界不良

気象の専門家による「異常気象分析検討会」は、9月5日会合を開き、この夏の暑さについて「異常気象だと言える」と評価した。

この夏の日本の平均気温は平年と比べて2.36度高く、気象庁が1898年(明治31年)に統計を取り始めてから最も高くなった。
これまでで最も高かった2024年と2023年を大幅に上回っている。

今年の異常な暑さは、「ダブル高気圧」「海水温の高さ」「早い梅雨明け」など天候の複合要因に、地球温暖化の長期的な傾向が重なった結果だといわれている。
一連の結果について、「異常気象分析検討会」は、今年の夏の高温について「明らかに異常気象。
去年、おととしも前例のない夏の気温、異常気象といって差し支えないと言ったが、それをさらに上回っている」とし、「今後の検証が必要だが、温暖化に伴い海面水温が上がることで、海が空気を暖め、空気が海を暖めるという連鎖反応を起こす可能性がある。
今後も、今年程ではなくても、異常な高温が発生する可能性はかなりある」と指摘した。

日本近海の海面水温については、「熱帯に匹敵する水温になってきている」とした上で、すぐに積乱雲になるような不安定な空気が日本に流れ込みやすく、線状降水帯の発生頻度が高まると述べた。
また、台風についても、日本に接近しても勢力が衰えず、再発達することもあると指摘。
その上で「台風や大雨の際には以前より明確に雨量が増えることになる。過去の常識は通用しないという気持ちで、気象情報などを確認してほしい」と呼びかけた。

「40度」と聞いても驚かなくなってきたことしの夏の暑さ。
この夏の日本の平均気温はこれまでのところ平年より2度余りも高く、過去の記録を大幅に上回っている。
夏の平均気温が2度余り高いことの意味合いを、生活レベルで考えてみた。
2.36度の上昇は一見わずかに感じられるが、実際にはかなり大きな変化だ。
体温に例えると、平熱36.5度の人が38.9度になるのと同じともいえる。
たった数度でも「平常」から大きく外れ、体調を崩すレベルだ。
就寝時のエアコン設定で経験があるが、27度の寝室では快眠できていても、29度から30度になると、寝苦しく汗をかいて目が覚める。
エアコンを入れるか迷う境界を一気に越える感じだ。
つまり、2.36度の違いは「エアコンの設定を2段上げられたとき」に近い感覚である。
飲み物の温度に例えると、冷たい麦茶が5度から7度に上がると、口に含んだ際の冷たさがかなり違う。
わずか2度の差でも体感は明らかに変わるのだ。
調理に例えると、パスタなどを茹でる際、火加減を少し強めたら一気に吹きこぼれる感じ。
少しの上昇が「許容範囲」を簡単に超えてしまう。
「たった2.36度」ではなく「人間の生活や自然環境に大きな負担をかける差」だと捉えるとイメージしやすい。
さらに散歩に例えると、夕方に外を歩くとき、27度ならまだ心地よいが、30度になると肌に熱気がまとわりつく。
ほんの数度の差で「散歩が快適」から「外に出たくない」に変わるのである。
このように、2.36度の上昇を生活感覚で捉えると、「ちょっと暑い」では済まない違いとして感じられる。

これだけの猛暑、今後も続いていくのか。
ある専門家は「昔、すごく暑い年があったら来年は寒い夏になるかもしれないと考えていたが、恐らくそのような考え方はもう違っていて、これから先も基本的には夏は暑くなると考えた方がいい」と語った。

私達も覚悟を決めないとならない時が来たようである。


視界不良
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雨雲通過そして月
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青空,タワー、そしてお日様
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