浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2025年11月4日  自然への畏敬

今年も霜月に入った。
二十四節気の霜降を過ぎ、木々も色づいてきた。

そんなこの時期、楽しみな個展が今年も始まった。
東京・ギャラリー日比谷で11月5日まで行われている「村上弘人展」。
村上弘人氏はラジオを通じて知り合った画家だ。
何年前のことだろうか。
初めて「村上弘人」の個展にお邪魔した際、コンパクトなギャラリーが、明るくて優しくて鮮やかな色に包まれていたのに感動した。
絵画によって、こちらの心が明るくなり、風の音も聞こえてくる気がした。
村上弘人の作品は「奄美の自然」を多く描いている。
作画も、「描く、消す」を繰り返しながら絵肌を作り出しているという。
絵具の重なりや、消された色が質感を醸し出し、奥行きと動きを感じさせる。
作品から形や色合いの揺らぎが漂っていて、生命の気配が私に届くのである。

村上弘人氏は、1972年福島県伊達郡国見町生まれ。
1999年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。
2001年東京芸術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程修了。
いわば、絵画のエリートとも言える学歴を持つ。
本人はそんな意識はおくびにも出さず、大変気さくな性格だ。
趣味の釣りの話になると相好を崩し生き生きと語る。
上氏と話していると『大切なこと』に改めて気づかせて貰える。
今回も小生の「心の手帳」にメモをした。

彼は、絵の魅力をもっと知ってもらおうと絵画教室も開いている。
(絵を学ぶ人達に何が大事と教えているのですか?との問いに)
「私は生徒の皆さんによく言うのです。絵に必要なのは『想い』だと。
上手く描くのは、ある程度努力をすれば出来るはずです。そこで問います。
あなたの作品にどのような想いを込めるのですか、と。そしてその想いが、鑑賞する方に少しでも伝わったなら・・それが絵画の本質だと思うのです。」

ラジオ放送も一緒だ。
どのような表現でどの様な声音で、伝えたいことをリスナーに届けるのか・・。

村上弘人の個展は、鮮やかな自然の色に感動する事に加えて、「美しさへの気づき」を呼び覚ます特別な空間だ。
作品を前にした時、静かな対話と発見の時間に包まれる。

「美しさだけでなく厳しさもある自然、私は、自然に畏敬の念を持って係りたい。自然をはじめ森羅万象から感じた「音」に色彩の「リズム」や心地よい「ハーモニーを与え表現したい」  村上弘人 

ギャラリー日比谷はJR有楽町駅と東京メトロ日比谷駅、銀座駅から徒歩2~3分、晴海通りに面していて行きやすいのも嬉しい。

会場:ギャラリー日比谷
東京都千代田区有楽町1-6-5 ギャラリー日比谷ビル1F・2F
会期:2025年10月31日(金)~11月5日(水)12:00 ~ 18:30

自然への畏敬
自然への畏敬

  • twitter
  • facebook
  • radiko
  • twitter
  • facebook
  • pagetop
Copyright © Nippon Cultural Broadcasting Inc.All right reserved.