浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2025年11月17日  やはり気になる

今年は全国でクマの出没が相次ぎ、人々が不安を募らせている。

11月16日、秋田県能代市の商業施設「イオン能代店」にツキノワグマが侵入。
家具売り場に居座ったが約2時間後に麻酔銃で駆除された。
けが人はいなかった。
市中心部、役所からわずか300メートルの場所での出来事だった。

近年、家や学校、スーパーなど人の生活空間にクマが入り込む事例が続発している。
岩手や山形、福島では住宅侵入や園児への影響も報告されている。
ダイヤモンドオンラインによると、専門家は「今年のクマは異常。こそ泥が凶悪犯に進化している」と警鐘を鳴らしているという。

いまやクマは「山の動物」ではなく、「人間社会の内部」に入り込みつつある。
個体数が急増したわけではないが、今年は春先から出没が活発化し、「出てくる数」が飛び抜けて多い。
昔から里にクマが現れることはあったが、最近は住宅街や商店を堂々と徘徊し、滞在時間も長い。
背景には餌不足と人里の環境変化がある。
山でブナの実が凶作になると、クマは餌を求めて人間の生活圏へ下りる。
そして人間社会には食べ物があると学ぶ。
過疎化や耕作放棄が進んで「人と自然の緩衝地帯」である里山が崩壊し、藪化した土地が山と地続きにな「地方では人の活力が衰退し、野生動物が優勢になっている。地域によっては人とクマのパワーバランスが逆転している」と専門家は指摘している。

また、クマの学習能力の高さも脅威だ。
冷蔵庫の取っ手を覚え、静かに扉を開けて米を食べる。二度目の侵入で鍵を壊す例もある。
人間の存在を知りながら堂々と侵入する。
本能より経験で動く"凶悪化"だ。
一方、家に入るクマは異常でどうにもできないと、人間が屋内で対処する手立ては乏しいと聞く。

「まさか、私が居る場所には来ないだろう」と思う反面、もし鉢合わせたらどうすればよいのだろう。
専門家は最も重要なのは「興奮させないこと」という。
「大声を出さず、静かに後ずさりして距離を取る。
慌てれば襲われる可能性が高まる」別室や2階に避難し、視界に入らないようにするのが賢明なようだ。

防犯の基本もクマ対策に通じる。
荒れた庭や草ぼうぼうの空き家は侵入されやすい。
雑草を刈って見通しを良くし、クマが身を隠せない環境をつくることが重要。
長野県箕輪町では町ぐるみで草刈りを徹底し、出没件数を減らしている。
また、食料の臭いや残飯を屋外に残さないこと。
クマは一度餌を見つけると学習し、何度でも戻ってくる。
臭いや音、光による忌避グッズは一時的な効果しかないという。
もっとも確実なのは草刈りと戸締まり。
この二つが命を守る第一歩のようである。
クマを寄せつけない環境づくりは、派手な仕掛けではなく、日々の小さな手入れの積み重ねにある。
人がかつて築いた"里山の壁"をどう再び取り戻すかが問われているようだ。

やはり気になる
やはり気になる

ここには出まい
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秋を見上げる
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今が見頃
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