
寺島尚正 今日の絵日記
2025年11月25日 ブラックケーキ その味は
「ブラックフライデー」、この言葉を目や耳にする時期となった。
元々はアメリカ発祥で、11月第4木曜日の感謝祭の翌日に行われる大規模なセールのことを指す。
この日から本格的な年末商戦が始まり、小売店の売り上げが一気に伸びて「赤字から黒字に転じる」ことから、「ブラックフライデー」と呼ばれるようになったという。
日本でもここ数年で一気に広がり、11月の第3週から第4週にかけて、大手ショッピングモールやネット通販、家電量販店、ドラッグストア、さらにはコンビニまでが、それぞれ「ブラックフライデーセール」を打ち出すようになった。
日程も、本来は「1日」だったはずが、いまや1週間から10日ほど続くセール期間として定着しつつある。
カレンダーの上では1日でも、実際には「11月後半のバーゲン期間」という言い方のほうが近い。
ブラックフライデーに便乗する商品やサービスには、どんな特徴があるのだろう。
専門家は、「特別な贅沢品より、日常的に使うものをお得に買いたい」というニーズが強くなっていると指摘する。
アンケートを見ても、家電や高級ブランドより、食品や日用品、洗剤、トイレットペーパー、冷凍食品など、「何時も使う物をこのタイミングでまとめて安く」という選ばれ方が増えている。
その背景には、物価高への対応という現実的な事情がある。
以前、ブラックフライデーといえば「限定品」「福袋」「高額商品の大幅値引き」が目玉だったが、最近は「生活防衛セール」という側面がはっきりしてきた。
スーパーやコンビニが、冷凍食品のまとめ買い割引や、ドリンク・お菓子のセットセールを打ち出しているのが象徴的だ。
一方で、「モノ」だけでなく「体験」や「サービス」までブラックフライデー化していると聞く。
旅行サイトが、温泉旅館やホテルの宿泊プランをブラックフライデー価格で出したり、外食チェーンがコース料理の予約を割引したりと、「レジャー」「外食」「エンタメ」がセールの対象になっている。
ここ数年で特徴的なのが、こうした体験系やちょっといい外食を、「プチ贅沢」として気軽に楽しんでもらおうという提案が増えていることである。
物価高で財布のひもが固くなっている中でも、「たまにはいいものを」という気持ちに応える企画だ。
「ケーキ」やスイーツの世界にも、ブラックフライデーは入り込んでいる。
洋菓子店やスイーツ系の通販サイトでは、ブラックフライデーを「クリスマス商戦の助走期間」と位置づけていて、早期予約割引を「ブラックフライデー限定」とうたって、12月に向けたケーキ需要を一足早く取り込もうとしているようだ。
また、量販店や大型スーパーのデザート売り場でも、ブラックフライデー限定のスイーツ企画が増えている。
たとえば、人気ブランド監修の特別なショートケーキやチョコレートケーキ、家族でシェアしやすいアソートセット、小さめサイズのプチケーキの詰め合わせなどを、「数量限定」「期間限定価格」で展開するケースだ。
スイーツのブラックフライデー企画には、「自分へのごほうび」という意味合いも強く込められている。
普段はコンビニスイーツで済ませている人も、この時期だけは、ちょっといいケーキや有名店の焼き菓子をオンラインで取り寄せてみる、という行動につながりやすいという。
このように、ブラックフライデーは、アメリカ発の年末大セールが、日本では「生活防衛」と「プチ贅沢」を同時にかなえるタイミングとして受け止められるようになってきている。
日用品・食品から旅行・外食、そしてケーキやスイーツまで、あらゆるジャンルがこの看板に便乗しつつ、それぞれの業界なりの工夫を凝らしているのが、ここ数年の大きな流れのようだ。
スーパーで、まさに「ブラック」なケーキを発見。その名も「ブラックケーキ」。
早速購入し食してみると、チョコレート味で美味だった。
私もすっかりブラックフライデーの影響を受けている。

ブラックケーキ その味は
- 11月17日
- 11月25日








