浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2026年2月2日  誰の胸に薔薇は咲くのか

関東から九州の太平洋側を中心に雨が少ない状態が続く中、各地のダムは貯水率が低下し、渇水対策のため取水制限などが行われている河川もあると聞いた。
夏の渇水は珍しいことではないが、冬の渇水はあまり耳にしない気がする。

国土交通省は、去年の秋以降、関東から九州の太平洋側を中心に雨が少ない状態が続いていて、渇水の傾向が広がっていると発表した。
1月26日時点のダムの貯水率は、愛媛県の鹿野川ダムで1%、高知県の大渡ダムで6%、奈良県の大滝ダムで9%、静岡県の佐久間ダムで23%、徳島県の長安口ダムで24%、大分県の大山ダムで29%などとなっている。
また、琵琶湖でも水位が低下していて、1月26日の時点で基準となる水位から56センチ下がっているという。
このため、国が管理する関東から九州にかけての11の河川とびわ湖の流域では、渇水対策が行われている。

気になる関東の水源は、多摩川水系の小河内ダムが過去最低水準まで低下している一方で、利根川水系など首都圏の主力水源にはなお一定の余裕があり、直ちに都市部で大規模な給水制限に踏み切るような危機的状況には至っていないという。

今回の渇水は、昨年秋以降、関東から九州の太平洋側を中心に少雨傾向が続いていることが直接の背景であり、国土交通省は全国の複数水系で渇水対策協議会などを設置し、取水制限や節水要請を含む対応を進めている状況だ。
関東一都六県の水道水の大部分を担う利根川・荒川水系のダム群(利根川上流8ダムなど)は、1月末時点で総貯水量として平年の7~8割程度を確保しているとされ、「ただちに厳しい給水制限」には達していないとされている。
しかし、水系ごとの状況差は大きく、多摩川水系や神奈川県内の相模川水系では貯水率の落ち込みが目立ち、地域によっては今後の降水次第で早期の対策を迫られる可能性も否定できない。
東京都が管理する小河内ダム(多摩川水系)は、1月30日時点で貯水率が45.3%と、平成以降で最も低い水準に落ち込んでいる。
多摩川流域での降水量は平年の6割程度にとどまり、本来なら冬場は雨や雪によってダムが満水近くまで回復しやすい時期であることを考えると、冬の段階でここまで水位が低下するのは異例の事態だ。
ただし東京都の水源全体に占める小河内ダムの割合は約2割に過ぎず、残りの大部分は利根川水系・荒川水系など首都圏広域の水源によって賄われているため、都は「現時点で給水への直接の影響はない」と説明しつつ、推移を注意深く見守っている。
一方、神奈川県の宮ケ瀬ダム(相模川水系)でも昨秋からの少雨により貯水量が例年のほぼ半分という低水準にあり、県は「このまま少雨が続けば取水制限を検討する段階に入る」として関係自治体や水道事業者と協議を進めている状況だ。

関東では、利根川水系の渇水が歴史的に繰り返されてきた。
昭和47年以降だけでも16回、何らかの取水制限が実施されており、その中には冬季の渇水も含まれている。
特に象徴的なのが平成8年(1996年)の冬渇水であり、この時、利根川水系では冬としては初めて本格的な取水制限が行われ、最大10%の取水制限が76日間続く事態となった。
翌平成9年冬も少雨が続き、利根川水系で最大10%の取水制限が53日間実施され、「冬でもダムが大きく減れば長期の制限へ発展しうる」という教訓を残した。
それ以前には、昭和39年(1964年)のいわゆる東京オリンピック渇水があり、少雨とダム容量の不足などが重なった結果、関東で給水制限が約1年続いたと記録されている。
また昭和62年(1987年)にも少雨と少雪が重なり、利根川の流量が大きく減少して、利根川水系で初めて30%という大幅な取水制限が7月に実施されるなど、首都圏の水事情は長らく不安定さを内包してきた。
その後、ダムや導水路網の整備、複数水系を組み合わせた広域運用の仕組みが整えられたことで、現在は「特定のダムの急激な低下」が直ちに都市全体の断水や大規模給水制限に結び付きにくい構造にはなっているが、根本的に気象条件に強く依存する構図は変わっていない。

今後の見通しについては、気象庁などが「太平洋側を中心に少雨傾向が続く可能性が高い」としており、西日本を中心に「30年に一度レベルの顕著な少雨」になるおそれがあると警戒を呼びかけている。
1月時点で、名古屋や京都など太平洋側・内陸の複数都市では1か月以上「0.5ミリ以上の降水」が観測されておらず、ダム流域でも月間降水量が数ミリにとどまる地点が出ているなど、降水の偏りが際立った状況である。
こうした中で、国や水資源機構、自治体は既に複数水系で渇水調整協議会を立ち上げ、主に農業用水や工業用水を中心とする段階的な取水制限や節水要請に踏み切りつつある。
関東の都市用水に関しては、現段階では利根川水系などにまだ一定の余力があることから、「生活用水はできるだけ維持しつつ、まず節水の呼びかけと他用途の取水抑制で対応する」というのが基本的なスタンスだ。
​しかし、2~3月にかけても降水・降雪が少ない状態が続けば、春先の融雪水や春雨にもあまり期待できなくなり、利根川水系の貯水率が平年比6割を下回る水準に落ち込むシナリオも現実味を帯びてくる。
その場合には、過去の平成8~9年冬のように、生活用水も含めた「10%程度の取水制限」を段階的に検討せざるをえない局面が再来する可能性がある。
とくに、すでに貯水率の落ち込みが大きい多摩川・相模川などの水系では、夏場の需要ピークを見据え、早めに軽度の制限(夜間の水圧を下げる、工業用水や一部農業用水から先に絞る、といった措置)を導入することで、最悪の長期・高率の制限を避ける「リスク管理型」の運用が現実的な選択肢となりつつあるという。

全国の渇水記録を概観すると、夏の渇水は10年周期でほぼ毎年どこかで発生するのに対し、冬のものは20-30年以上の間隔が空く傾向がある。
夏は「需要増+少雨」で急速悪化するが、冬は「少雨継続+融雪期待外れ」で徐々に深刻化し、制限が長引く特徴がある。
雪国では冬の消雪パイプによる地下水消費が問題化するが、これは渇水というより「雪解け水不足」対策の節水で、通常の渇水とは別物だ。
2026年冬のように秋からの少雨が冬まで続く「異常気象」時のみ、冬節水が現実味を帯びるといえる。

住民生活への影響という観点から見れば、現時点で首都圏の家庭向け水道に直ちに重大な支障が生じる段階ではないものの、東京都水道局などはすでに節水協力を呼びかけており、今後の状況によってはそのメッセージが一段と強まる可能性がある。
実際の節水行動としては、洗車や庭木への散水を控える、シャワー時間を短縮する、歯みがきや食器洗いの際に水を出しっぱなしにしない、洗濯をまとめて行うなど、日常生活の中でできる工夫の積み重ねが欠かせない。
過去の長期取水制限では、高層マンションの高層階で水圧低下や給水時間の制限が生じたほか、学校のプール授業中止、工場の操業調整、ゴルフ場や公園の芝の枯死など、多方面に影響が広がった事例がある。
もし今回、「30年に一度級」とされる少雨が現実のものとなり、ダム群の貯水率が大きく低下することになれば、同様の影響を最小限にとどめるためにも、早い段階からの自発的な節水と、利根川水系をはじめとする広域水源の慎重な運用が、関東の水瓶を守るうえで決定的な鍵となるはずである。
私も節水をさらに心掛けよう。

誰の胸に薔薇は咲くのか
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花言葉は、幸福、美
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