浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2026年2月9日  ミラノと同日開催箸技大会

2月7日、ミラノ・コルティナダンペッツォで冬季オリンピックが幕を開けた。
イタリアの雪深い山岳地帯で繰り広げられる世界最高峰の選手たちの戦いが地球規模の注目を集める中、集中力では引けを取らない大会が、小雪舞う埼玉県川口市で開催された。
会場は市民ホール「フレンディア」。
衆議院選挙の期日前投票に並ぶ人々を横目に、一般社団法人国際箸学会公認の第10回箸技大会が、200人近い競技者で賑わった。
箸を武器に「技」を競うこのイベントは、日本文化の象徴とも言える奥深い祭典だ。
グローバルなオリンピックとローカルな箸技が、同じ冬の日に重なる偶然は、文化の多層性を象徴するようである。

国際箸学会は、箸文化を学び、新たな箸文化を創出することで、世界中の人々と「出会いの喜び・創造の喜び・達成の喜び」を共有することを目指す団体だ。
令和7年度には川口市の「地域貢献事業者」に認定された。
これは、地域・社会的課題解決の実績を評価されたもので、市内での箸技サロン開催や、小学校での箸の持ち方・マナー教室が認められた結果である。

冬期五輪がスキージャンプ、フィギュアスケート、バイアスロンで精密さと瞬発力を競うように、箸技も「箸先のミリ単位制御」と「練習で磨いた感覚」が鍵だ。
ジャンプの着地制御のように、ピーナッツを落とさぬバランス感覚が求められる。
ルールも近い1分ゲームはスプリント、3分の積みピーは持久スキー、箸ピー駅伝はスキージャンプ団体に匹敵するチーム戦である。
最大の魅力は「予測不能の瞬間」。
シンプルなスコア積み上げルールゆえ、初心者もベテランもハプニングに襲われる。
集中が途切れればピーナッツが滑り落ち、跳ねる。
そこからのリカバリーが、真の技を問う。

「箸ピー1分ゲーム」は、殻付きピーナッツを箱から箱へ高速移動させる個人戦。
指先の神経を研ぎ澄まし、スピードスケートのスタートのようにリズムを刻む。
「箸ピー駅伝ゲーム」は5人1チームのリレー。
ピーナッツを運び、箸を渡すバトンタッチで「慎重さ」と「速さ」のジレンマが生じ、チームワークが光る。
「積みピー3分ゲーム」は持久戦。
ピーナッツを3分で高く積み、3つ以上で審判認定。呼吸を整え、勇気を振り絞る一手が塔の命運を決める。
観客の体に力が入る瞬間だ。

カテゴリーは「小学生以下」「一般」「65歳以上」の3つ。
65才以上の部では経験が、若者部では勢いが勝る。
今回も長野県円福寺愛育園の生徒たちが好成績を残し、川口市立高校附属中学校チームも奮闘した。
若者が「箸ピー1分」で疾走し、ピーナッツを次々運ぶ姿は圧巻だ。
落としても冷静に立て直す情熱とスピードの象徴である。
制限1分の緊張は、夢追う青春を観客に蘇らせる。

愛育園の藤本光世園長は語る。
「箸技大会は、集中力、努力力、練習意欲、一発勝負の力、失敗からの立ち直りを養う。子どもたちの生活に好影響を与えます」。
生徒たちの輝く目は、その言葉通りだった。

箸技大会は誰もが主役になれる。
道具は箸一本、素材はピーナッツとリング。
才能不要、練習次第で上達する。
人生も同じだ。
老若男女が一堂に会し、笑い、汗し、拍手する。種目の多様さが人生のステージを映す、1分の瞬発、3分の持久、チームの協調。すべてが教訓となる。

ミラノ・コルティナ五輪と同日開催の偶然。
五輪が極限の技を競うなら、箸技は日常の技を極める。どちらも「人」の物語。

箸技大会は人生そのもの。
箸で挑む喜び、失敗の悔しさ、上達の達成感。世代を超え、互いを認め合う場。
日常の小さな技が、大きな智慧を教えてくれる。参加者は箸を通じて自分と向き合い、そして明日に進むのだ。

今年もそう感じた。

ミラノと同日開催箸技大会
ミラノと同日開催箸技大会

決戦前の静けさ
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文化放送のトイレ入り口にも!
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来年も出るぞ!
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川口名物 太郎焼!
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