
寺島尚正 今日の絵日記
2026年2月16日 冬の陽射し
週末、近所の自然公園を散策した。
冬の雑木林は、木々が葉を落とし、枯れ葉色と常緑樹のくすんだ緑が広がるモノトーンな風景である。
凍てつく風が吹き抜ける中、遠くのベンチに佇む影は、社会の暗部を象徴するかのようだ。
この無機質な静寂は、犯罪の影が忍び寄る現代日本の現実を映し出している。
警察庁は、去年の全国の刑法犯罪認知件数は77万4142件で、4年連続で増加したと発表し、「極めて深刻な情勢だ」と警鐘を鳴らしている。
これはコロナ禍前の2019年を上回る数字である。
特に特殊詐欺やSNS型の投資詐欺、ロマンス詐欺が過去最悪を更新し、被害総額は3241億円に上る。
全体から見ると、2021年の戦後最少の56万件台から反転したこの増加は、コロナ制限の解除で人出が増えた影響もあるが、何よりSNSの普及が知能犯を爆発的に増やしている。
凶悪犯の殺人や強盗は1万5000件程度で微増にとどまるが、詐欺犯は25%急伸した。
窃盗も7割を占め、空き巣や銅室外機狙いの金属泥棒が2020年の3倍近くの1万3000件以上に膨らんでいる。
背景には暴力団や「トクリュウ」と呼ばれる匿名流動集団がおり、資金供給や実行犯の闇バイト募集を組織的に担う。
彼らは仮想通貨やマネーロンダリングで収益を洗い、警察の追及をかわすのである。
特殊詐欺は、認知件数は2万7758件と過去最多である。
手口は「ニセ警察詐欺」が大半を占める。
例えば70代の男性に電話がかかり、「あなたの口座が犯罪に使われています。逮捕状が出ていますよ」と脅す。
パニックになった被害者は指示通りATMに行き、300万円を振り込んでしまう。
若者狙いの還付金詐欺も横行し、「税金の還付があるのでATMに来てください」と海外サーバー経由の完璧な日本語で誘導する。
操作を遠隔で指示されるのである。
知らない電話の言うことを絶対に聞かないこと、家族にすぐ相談し、公的番号で警察や銀行に確認するのが鉄則である。
次にSNS投資詐欺である。
これは9538件、被害額1274億円と桁違いだ。
Xやインスタで「元金融マンが教える裏技投資」と美人や高級車の写真付きでDMが来る。
「1週間で倍になるよ、損したら返金」と持ちかけられ、LINEで個別相談に乗るふりをして仮想通貨アプリに送金させる。
最初は少額で利益が出たように見せかけてハマらせ、結局全額が消える。
実際、被害者の一人は100万円を送ったのに運営元が架空で一切なくなった。
ポンジスキームそのものだ。
ポンジスキームとは、新規の出資者から集めた資金を、以前からの出資者への配当に充てる投資詐欺の一種。
運用実態がないにもかかわらず、高利回りを謳って資金を集めるのが特徴だ。
高リターンの甘い話は99%詐欺だと疑い、金融庁登録業者か確認すること。
知らない人からのDMは即ブロックである。
ロマンス詐欺も怖い。
SNSやマッチングアプリで「運命の人」を装い、数カ月かけて心を掴む。
40代女性が海外の「イケメン医師」とLINE交換し、「手術費用が足りない、愛してるから助けて」と泣きつかれて500万円送金した。
実際は東南アジアの男グループである。
60代男性も「日本人駐在員」を信じて仕送り名目で200万円失っている。
プロフィール写真は盗用、ビデオ通話でも顔を隠す。
「会ったことない相手に金銭要求」は即詐欺である。
こうした詐欺を支えるのがトクリュウである。
SNS匿名集団で、20代の若者を「高収入データ入力」と闇バイトに誘い、詐欺電話役に仕立てる。
暴力団が裏で資金を回し、海外送金で逃げる。
警察庁は省庁連携で解体を目指すが、市民の警戒が一番の防波堤である。
だからこそ、不審な電話やSMSは即切り、公的番号で確認すること、SNSの投資話は無視してブロックすること、恋愛で急に親密になった相手が金に困ってるなどとの願いでお金を用立てるのではなく、会うまで個人情報は出さないことである。
ドライブレコーダーのように日常を録画する習慣も有効であり、詐欺体験を自治体に共有したり、高齢者の近所の人に声かけたりするのも役に立つ。
誰にでも起きうる被害である。
「本当かな」と一瞬立ち止まるだけで守ることが出来る。
深刻な今、互いを守る意識を強めることが重要なのである。

冬の陽射し

孤独の世界

乾いたイノチ

春はすぐそこ
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