浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2026年3月2日  また明日は来る

また新たな戦闘が始まった。
アメリカとイスラエルは2月28日、イランに対する大規模攻撃に踏み切った。
トランプ大統領はSNSで「緊密な連携により最高指導者ハメネイ師の殺害に成功」と投稿した。
イラン国営メディアは1日午前、ハメネイ師の死亡を伝えた。
イスラエル軍は革命防衛隊トップの総司令官ら7人を殺害し、防空システム、ミサイル基地、司令部など30カ所以上を攻撃した。

イラン側は即座に反撃した。
革命防衛隊は「第6波の大規模攻撃」を宣言し、中東の米軍基地27カ所とイスラエル軍総司令部をミサイル・無人機で標的にしたと主張した。
ペゼシュキアン大統領はロイター通信によると「報復は正当な権利と義務」と強調した。
衝突は中東全域に拡大し、イスラエルのテルアビブや湾岸諸国で無人機攻撃の被害が出た。
UAEアブダビ国際空港も被害を受け、カタール、クウェート空港、バーレーン首都で被害が発生し、オマーンでも負傷者が出た。
イラン軍はペルシャ湾岸諸国とイラク北部の米軍基地も空爆し、「敵拠点はすべて攻撃圏内」と宣言した。

トランプ政権高官は攻撃の正当性を主張した。
「イランが米軍基地やクウェート空港・ホテルへの先制攻撃を準備していた兆候があった。
先に打たなければ犠牲は大幅増だった」と説明した。
核協議でイランが弾道ミサイルを議題にしなかったことも「選択肢なし」と強調する。
国内反対世論を抑える狙いが透けて見える。

アメリカとイスラエルはハメネイ殺害で政権弱体化・体制転換を狙い、攻撃継続を宣言した。
一方イランは報復連鎖で体制維持を図る。
この構図は中東の火種を一気に噴出させる。
革命防衛隊の「厳しい措置」はホルムズ海峡封鎖や代理勢力(ヒズボラ、フーシ派)の総動員を意味する可能性が高い。
湾岸被害拡大は石油供給網の脆弱性を露呈した。

日本にとって最大の懸念はエネルギーだ。
原油輸入の9割が中東産で、8割がホルムズ経由である。
封鎖なら新規供給が止まり、備蓄(180〜200日分)頼みの「時間稼ぎ」状態になる。
ガソリン・軽油・航空燃料の高騰は必至で、発電燃料費増が電気料金に波及する。
物流コスト上昇は食品、日用品、ネット通販の値上げを招く。
LNGもカタール産分が原油連動で影響を受け、電力システムに打撃を与える。

ただし、パニックは不要だ。
日本はオイルショックを教訓に備蓄を整備し、省エネ社会を築いた。
政府の対応は「三つの軸」で進むはずである。
短期では備蓄放出と補助金で価格抑制、省エネ要請で需要抑制を行う。
中期では米国・アジア産原油・LNG調達拡大、原発再稼働加速、再エネ現実投資を進める。
外交では米国同盟基軸にオマーン・UAE経由でイラン対話維持、国連・G7で緊張緩和仲介を図る。
湾岸被害は封鎖長期化防止の好機でもある。

今後イランはどんな道を歩むのか。
ハメネイ師の死はイランに空白を生む。
37年統治の象徴が消え、専門家会議が後継を選ぶが、保守派と改革派・軍部の対立が激化しそうだ。
革命防衛隊の影響力増大で強硬路線継続の可能性が高いが、経済制裁の疲弊とデモ弾圧の反発が体制崩壊を加速させるかもしれない。
ペゼシュキアン大統領のような穏健派が主導権を握れば、核協議再開の余地が生まれる。

いずれにしても、短期的混乱は避けがたい。
今後の注目はホルムズ海峡の動向だ。
完全封鎖なら世界石油の2割が止まり、価格急騰でグローバル景気後退を招く。
イランの「第6波」以降の報復規模が鍵である。
次に代理戦争の拡大だ。
シリア、イエメン、レバノンでヒズボラ・フーシ派が活発化すれば、中東全域が火の海になる危険がある。
そして世界の反応である。
ロシア・中国の軍事支援、欧州の制裁強化、トルコ・サウジの動きが連鎖を生む。
さらにイラン国内の後継争いの決着と市民デモの行方だ。
加えて核問題である。
攻撃で施設破壊が進むか、隠し持つ高濃縮ウランが拡散するのか。

日本は危機を自立の契機にすべきだ。
歴史は繰り返す。
1973年オイルショックで日本は強靭性を獲得した。
今回も賢明な対応で乗り切る。
遠い中東の炎は、日本の明日を試す鏡ともいえる。

いずれにしても、この紛争で一番苦しむのは普通の市民だ。
イラン人もイスラエル人も湾岸の人々も、爆音と不安の中で日々を過ごす。
石油価格の高騰は世界中の家計を圧迫する。
私たちはただ、1日も早く対話の扉が開き、誰もが安心して明日を迎えられる平穏な日常を取り戻すことを願うばかりである。

また明日は来る
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この瞬間の幸せ
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