ルルの歌 (1957年)
現在放送中の風邪薬「ルル」(三共製薬)のコマーシャルで聞こえて来る「♪熱・のど・鼻にルルが効く」のオリジナルは、「♪クシャミ3回 ルル3錠〜」で、1957年発表の三木鶏郎作詞作曲「ルルの歌」に歌い込まれたサウンドロゴである。
「ルルの歌」を歌ったのは伴久美子。真冬の空に響き渡るような歌声と明るいハーモニーに心が温まる。
59年、「ルルの歌」に合わせた映像の監督を依頼された三木鶏郎は、ストーリー性のあるCF を企画した。そして東京は青山の神宮外苑で丸二日間のオールロケーションを決行し、これを2分の掌篇ミュージカル風ドラマに仕上げた。
ストーリーを追ってみよう。
可愛い女の子(伴久美子)が「ルルの歌」を歌いながら大通りを歩いて行くと、高原駿雄扮する6役(登場順に、巡査、サラリーマン、靴磨き、コック、カメラマン、サンドイッチマン)が次々と写り、くしゃみをする。「♪ハクション ハクション ハクション」。そこをすかさず女の子が指差し、「♪そらカゼだ!」。「♪クシャミ3回 ルル3錠」と続く。間奏で女の子は喫茶店に入るが、雨が降り出し、コックに傘を借りて外に出る。傘をさして再び歌いながら歩き出すと、ずぶ濡れのサンドイッチマンとすれ違う。やがてサンドイッチマンが雨宿りのためプラカードを脇に置いて階段にしゃがみ込み、寒さに震えて情けない表情になるラストシーン。最後は、プラカードに書かれた「クシャミ3回 ルル3錠」のロゴがクローズアップされ幕となる。
当時オンエアでは、この2分のコマーシャルをそのまま放映することができた。また冒頭、"「ルルの歌」三木鶏郎作詞作曲"とタイトルが映し出された後、歌詞が最後までテロップされた。
本制作の記録がスナップ写真とメイキング映像(カラー)に残されており、本番前のテスト版では三木鶏郎が6役全てを演じてみせ、大きなクシャミをする姿等が映っている。
(文中敬称略)
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