落語の名作5選! 初心者はまずはここから聴いてみよう
なんとなく、「落語って面白そうだな」と感じてはいるものの、何から見ればいいかわからない。そんな方は意外とたくさんいますよね。
そこで今回は、落語を語るうえで「これだけは欠かせない」という名作を5つ厳選しました。どれもビギナー向けなので、初めて聴く方はこの5つのうちから選んでみてください。
目次
寿限無
落語を聞いたことがない方でも、「寿限無 寿限無 五劫の擦り切れ......」というのは聞いたことがあるでしょう。
この話は、とある夫婦のもとに子どもが生まれ、「この子がいつまでも元気で長生きできるように」と縁起のいい言葉を片っ端から詰め込んだという内容。当人たちは真面目に「子どもにいい名前を」と考えて色々な人に意見を聞くのですが、その様が面白く描かれています。
プロの噺家は、暗記や会話の表現の仕方などを、この寿限無を通して学ぶといいます。基本的な噺なので、落語初心者にもおすすめです。
皿屋敷
皿屋敷は、ある怪談をベースにしています。昔、藩士に気に入られたものの夫がいるからという理由で、決してなびかなかったお菊という美女がいました。
藩士はいくら口説いてもお菊を自分のものにできなかったので、お菊が預かっていた十枚の皿のうちの一枚を割り、その罪を彼女に擦り付けます。挙句にはお菊を殺し、その死体を井戸に投げ捨てました。
しかしそれ以来、夜になるとお菊の霊が井戸に現れ、藩士は気が狂ってしまい家が途絶えてしまいました。これが、もととなる怪談です。
落語の舞台は、これよりも後の時代。井戸に行けば幽霊が見られるということで、お菊の井戸は観光地のような賑わいを見せるようになりました。
そこでは常連もできて、お菊もまんざらではないような様子が描かれています。ホラーをベースにしてはいるものの、気楽に笑うことができる作品です。
夜の慣用句
社会人として働いていると、空気の読めない上司が場を盛り下げていく場面を見たことがあるかと思います。そんな「あるある」を思わせる作品が、夜の慣用句です。
とある会社で社員三人が飲みに行こうとすると、上司がそれについてきてしまいます。仕方なく四人でお酒を飲み始めますが、上司が社員たちに「座右の銘は何だ」と聞いてくるのです。
意味がわからなかった社員たちは「飼い犬に手を嚙まれる」などとんちんかんな返答し、上司の機嫌が悪くなってしまいます。
場所を変えようとキャバクラへ向かうと、上司は上機嫌に。しかしキャバ嬢たちにセクハラをするなど、相変わらず迷惑な存在です。そしてここでも、座右の銘を聞き始めます。
やはり意味がわからなかったキャバ嬢たちも、社員同様「地獄の沙汰も金次第」なんていう回答をし、またしても上司が不機嫌に。
怒ったままトイレに立った上司が戻ってくると、お店でも人気の双子のキャバ嬢が席についてくれることに。しかしそのキャバ嬢を見た上司は、とある理由から仰天してしまいます。
「こんな上司、いるよな」と楽しみながら笑える噺です。
植木屋娘
植木屋を営む男には、体操美人なお光という娘がいました。娘は色々な人から声をかけられますが、男は「変な男とくっつく前に、きちんとしたところに嫁がせたい」「早く婿をもらって隠居したい」と考えるようになりました。
そこで目を付けたのが、近所のお寺にいた伝吉という男です。さっそく娘との結婚を打診しますが、伝吉は武家の出で、いずれ家督を継がねばならないと断られてしまいました。
しかし男はあきらめず、伝吉と娘が二人でお酒を飲む機会も作ります。その作戦は失敗に終わりましたが、ある日なんと娘が伝吉の子を妊娠していることが発覚します。
娘と伝吉を無理やりにでもくっつけようとする男の必死さが、笑いどころの作品です。
平の陰
あるところに八五郎という男がいました。彼は無筆といい文字の読み書きができなかったのですが、そんな彼のところに手紙が届きます。そこで彼はこれを代わりに読んでもらおうと、日ごろから博識ぶっているご隠居のもとへ行きました。
手紙を読んでくれと頼まれたご隠居ですが、実は彼も無筆だったのです。そこで「鳥目だから今は読めない」などとごまかそうとしますが、すべて嘘だと言われてしまいます。
そこで仕方なく、それらしいことをしゃべって、なんとか手紙を読んでいる雰囲気を出そうとします。それでもごまかしきれなさそうになってきたので、「お前に手紙を書きそうなのは誰だ」「どんなことを書いてきそうだ」などと聞く始末に。
かつては文字が読めない人も今より多く、もしかしたら本当にこんな話があったかもしれないと思わせます。八五郎に無筆であることがバレそうになるのをなんとか食い止めるご隠居の言い分が、なんとも滑稽です。
さっそく落語を聴いてみよう!
落語は思っているより敷居が低く、初めて聴いても笑えるものばかり。しかしせっかくなら、今回ご紹介したビギナー向けのものを聞いてみてください。
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