第44回全日本大学駅伝対校選手権大会

見どころ&注目のランナー

大学三大駅伝の第2弾、全日本大学駅伝は、前回大会で優勝した駒澤大学、2位の東洋大学、3位の早稲田大学、4位の日本大学、5位の中央大学、6位の上武大学のシード校と箱根駅伝3位の明治大学、さらに全国8地区の厳しい予選を勝ち抜いた18校とオープン参加の地元、東海学連選抜の合計26チームで争われる、『真の大学日本一決定戦』と呼ばれる大会です。
全行程44.5キロという出雲駅伝から距離が倍以上伸びるこの全日本大学駅伝は、愛知県名古屋市の熱田神宮西門前をスタート。三重県伊勢市の伊勢神宮内宮宇治橋前までの8区間106.8キロで行われます。また各区間それぞれ距離にバリエーションがあり、監督が区間配置に頭を悩ませる大会でもあります。


新たな戦国駅伝を制するのはどの大学か!?
学生3大駅伝第1弾、出雲駅伝を制したのは、前大会覇者の東洋大学でも、前評判の高かった駒澤大学でも、スーパーエース大迫傑を擁す早稲田大学でもありせんでした。出雲を制したのは、3大駅伝初制覇となる青山学院大学。しかし、その青山学院大学は、6月に行なわれた全日本大学駅伝推薦校選考会で、総合14位に終わり、全日本大学駅伝出場は成りませんでした。出雲を制した青山学院大学は箱根駅伝に向けて、力を蓄えます。


出雲連覇を狙った東洋大学は、1区の設楽啓太が8位と出遅れましたが、4区設楽悠太が区間タイ、大学駅伝デビュー戦となった5区高久龍も区間新の走りを見せて、青山学院大学を追い上げましたが、1分29秒届きませんでした。しかし、強力な個性を持った去年の4年生が抜け、戦力ダウンが言われた中で、新たな戦力の台頭もあり、2位まで順位を上げる底力を見せました。全日本大学駅伝には、渡邊公志、斉藤貴志など前回の箱根で区間賞を獲得した選手がエントリーから外れましたが、4区で鮮烈な駅伝デビューは果たした田口雅也がエントリーされました。全日本では、闘争心をとき放って、全日本初優勝を狙います。
5千m13分台ランナー10人、1万m28分台ランナー9人を揃え、出雲では、優勝候補筆頭に挙げられていた駒澤大学も、1区撹上宏光が11位と出遅れると、4区まで10位に甘んじ、5区久我和弥が8位、アンカー窪田忍が5位に順位を上げるのが精一杯でした。しかし、札幌マラソンのハーフで4年生の西澤俊晃が優勝。出雲駅伝後に浜山公園陸上競技場で行なわれた記録会で2年生の西澤佳洋が5千mの自己記録を更新するなど、出雲に出場しなかった選手たちが力を見せていています。大八木監督は、出雲レース後、「気持ちの面も含め、残りの駅伝に向けて見直していきたい」と話しており、全日本大学駅伝で10度目の優勝を狙います。
早稲田大学は、出雲の1区で大迫傑がまさかの失速。走っている途中、お腹に痛みを感じたという大迫が10位に沈むと、その後挽回できずに6位に終わりました。しかし、2年生田口大貴、1年生高田康暉のふたりが大学駅伝デビューを果たし、全日本に向けて新たな戦力が増え、さらに出雲には登録されず、涙を飲んだ佐々木寛文主将も全日本に登録されて選手層に厚みが増しました。出雲前に渡辺康幸監督は3大駅伝のうちどれか1つで優勝することが目標と話していました。3大駅伝第2弾、全日本大学駅伝で、その目標達成はなるでしょうか。


出雲3位の中央大学は、出雲を欠場した須河宏紀、新庄翔太の28分台ランナー2人がエントリーされており、今回補欠にまわったメンバーを含め、出雲に続くベスト3入りを目指します。
出雲4位の山梨学院大学は、エースの井上大仁と新留学生のオムワンバをどの区間に配置するのかがカギとなりそうです。出雲では怪我人が多く、ベストメンバーが組めなかった明治大学は、全日本でもキャプテン菊地賢人と、ルーキー横手健がエントリーされませんでした。しかしエントリーメンバーが実力通りの走りを見せれば、上位に食い込むことも可能です。
前回大会4位日本大学、6位上武大学のシード2校や全日本予選通過組の日本体育大学帝京大学神奈川大学東海大学は、10月20日の箱根駅伝予選会との兼ね合いもあり、選手のコンディション調整が難しいレースとなりそうです。


打倒関東に燃える関西からは、京都産業大学関西学院大学、そして、全国高校駅伝で報徳学園を6度の優勝に導いた鶴谷邦弘監督が率いる大阪経済大学が出場。
東海地区からは、青山学院大学の原晋監督の母校中京大学名古屋大学。九州からは、ジョン・カリウキがいる第一工業大学も上位を狙います。


果たして、2012年、伊勢神宮内宮宇治橋前のゴールに最初に飛び込み、真の大学日本一の栄冠を手にするのは、どのチームでしょうか。

全日本第42回2010年11月7日