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2020.08.31

在宅ワーク、かつての「内職」とどう違う?『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』

大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学法科大学院教授)さんと、団塊世代プロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。


この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。


2020年6月27日の放送は、リスナーメールをご紹介。在宅勤務が流行しているけれども、昔の「内職」とどう違うのか? という素朴な疑問。実はこの質問には、これからの時代に乗り遅れないための重大な着眼点が潜んでいました。


今回もリスナーメールをいただきました。東京都北区・王子の天ぷらサラダさんからです。

「在宅勤務が流行ってますね。昔の内職とどう違うんでしょうか」ということなのですが......


「昔の内職」は、「仕方なく」の内職だった?

いわゆる「昔の内職」ってどんなものかなと考えてみると、私の場合は、おばあちゃんの針仕事がまさにそれで、あまりマイナスのイメージはないのですが、一般的には、残間さんがラジオの中で「当時は、"私の母は内職で苦労した"なんて内容の文章を書く人がたくさんいた」とおっしゃっているような「苦労」のイメージを伴うもののようです。


昭和も高度成長の終わりに近づいて、専業主婦が当たり前のようになってくると「夫の稼ぎが心許ないかシングルマザーで、貧乏だから内職をするほかない」というような、マイナスの印象が強くなったのかもしれません。


ただ、それじゃその頃は誰も内職が必要ないぐらい豊かになったのかというとそうでもないわけで、むしろ、内職だったものが、どちらも勤めにでる「外職」中心になって、家の中の家事の合間にやる「内職」という言葉そのものが死語になったように思います。


リモートワークは、貧乏で仕方なくの選択ではない

これに対して、コロナ禍の影響もあって、リモートワークや在宅勤務、クラウドワークといった、別の意味での「内職」が可能となってきました。


これには昔のようなマイナスのイメージは全然ないと思います。


そもそもこれからの時代、夫が稼いで妻は育児というような昔の家庭は成立しません。二人がパートナーとしてともに働くとともに家事も分担するというのが当たり前になっているし、「男しか仕事をさせない社会なのに女も頑張る」のではなく、「男女が平等に頑張っている中で働く場所がたまたま家かどうか」ということかと思います。「内職」は「IT技術が発展して家でも仕事ができるようになって、人生に柔軟性が増えた」と考えればよいのじゃないでしょうか。


働くことへの価値観が変化してきている

考えてみると、昭和の時代というのは、「男が職を持って働いて、専業主婦の妻と子供を養う」というのが、一種のステレオタイプというか、憧れとしてあったと思うんです。


だからこそ、「内職」というのには悲劇的な響きがありました。「普通にしていれば女は働かなくていいはず(そもそも女性が働くことが難しい社会)なのに、働かなければいけないということは、余程貧乏なのだろうな」というような。


でも、よく考えてみたら、庶民にとって男は外、女は家というような働き方ができるようになったのは非常に最近です。むしろ歴史的には「家族の中で働ける人は誰でも働く」というのが普通だったのです。


たとえば、うちの祖母は明治生まれですが、祖父は呉服屋をやっていましたので、祖父がなくなってからもお得意先から頼まれて当たり前のように針仕事をしていました。だから不幸とか貧乏とかいうことではなくて、それが空気のように普通だったし、わたしなんかはその周りで遊んでいたわけです。


今の若い人たちの働き方も、わりとこれに近いのではないかと思います。


ですから、在宅ワークというのは、新しい働き方というよりは、むしろ、歴史的に見ると、「会社に通わないとできない仕事しかなくなった時代」が終わって、「自然な状態」に戻っていっているとも考えられるのではないでしょうか。


一番自然な「働き方」って?

そうなると問題になるのは、この考え方の変化についていけない、私たち「オトナ世代」です(笑)


ラジオの中では、残間さんが「リモートワーク・ハラスメント」という、最近生まれてきている問題を挙げられていました。


例えば、部下の奥さんが働いているということに思いを馳せられない上司が、会議中に子供の泣き声が聞こえてきて我慢がならず、「なぜ奥さんは育児をしないのか」とキレる、というようなことなんかがあるらしいのですが。


まさにこれなんか、「適応できていないオトナ世代」のいい例だな、と思うんです。


在宅ワークが普及していくことで、これからの時代は、家族が、今までよりも強く関わりを持ちあいながら暮らしていかざるを得なくなってきます。


そういう中で、旧態依然とした態度で「家族と仕事を切り離せ」と怒る人というのは、当然のことですが煙たがられます。物理的に不可能なことを求めてくるわけですからね。


ですから私たち大人世代は、今が時代の変わり目にあるということをしっかり意識して、自分でも、どうやって「家族と関わりを持ちながら暮らしていけるのか」ということを考えていく必要があるのだろうな、と思います。


そんなわけで今日は、「在宅ワーク」と「内職」の違いについて考えてみました。


大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

◆放送日

土曜 6:25~6:50

◆出演者

大垣尚司(青山学院大学教授・JTI代表理事)

残間里江子(団塊世代プロデューサー、club willbe代表)

鈴木純子アナウンサー

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