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2020.11.24

「箱」を抜け出した暮らしの到来。建築家・隈研吾さんと、これからの住まいを語る『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』

大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学法科大学院教授)さんと、団塊世代プロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。


この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。


2020年8月15日の放送は、スペシャルゲストに建築家・隈研吾さんを迎えてお送りしました。国立競技場の設計など、日本を代表する建築物を設計する隈さん。コロナ渦をふまえて、未来の住まいはどう変わっていくのか? ここでしか聞けないお話をたくさん語っていただきました。


隈研吾

建築家、東京大学特別教授。20か国を超す国々で建築を設計。日本における代表的な作品は、国立競技場や高輪ゲートウェイ駅など多数。和をイメージさせる建築は、国内外で様々な賞を受けている。



地元の人ほど、素朴でかっこいい。飾らない人柄の隈さん

鈴木 隈さんと大垣さんは、30年ほど前からずっとご交流があるということですが。


 そうですね。大垣さんとはニューヨークのコロンビア大学に留学していたときに知り合いました。


残間 私が隈さんと知り合ったのは、隈さんがニューヨークから帰国したあとですね。講演会などを聞いて、「面白い人がいるな」と思って。


隈さんがすごいなと思うのは、誰とでも同じように付き合うこと。地方で仕事をする時など、地元の工務店の人などは、「東大出の偉そうなセンセイがくるかなと思っていたら気さくな人が来た」って、みんな言いますものね。地元の人ともすぐに親しくなって。


 僕は地域の素朴な人ほど本当にかっこいいと思っているんです。僕の実家は親父が東京のサラリーマンでね。サラリーマン的な生活の悲惨さとか、変なプライドが嫌だったから。



隈さんの事務所は、リモートワークでむしろ仕事がスムーズに

大垣 コロナで、建築業界はどうですか。


 うちの事務所は、わりとコロナで仕事がスムーズになったんですよね(笑)。


世界中に現場が散らばっているのですが、テレワークでコミュニケーションができて、どんどん工事が進んでいくことが分かりました。


残間 隈さんは飛行機の中が一番長い滞在場所というくらい、国内外を飛び回っていて、東京にはほとんどいませんけど、さすがに今は動けませんからね。


 そうなんです。さらに、実はこれから、事務所の形も分散型にしたいと思っていて。


事務所では、コロナに感染するのが怖いっていって田舎に引っ越しちゃった従業員が出てきているんですよね。特に欧米人。母国の死亡率が高いからでしょうね。それから、地方に行ったはいいものの、コロナで移動の制限が起きて、戻ってこれなくなってしまった従業員とか。


なので、地方や海外で一人事務所みたいなものをたくさん開いて、柔軟に対応を取っていこうかなと思っています。別段それで仕事に遅れが出るわけでもないと分かりましたしね。



働く場所と住む場所が分かれていく、人類史上初の時代

大垣 それで思い出したんですが、最近「憲法22条」を見直していて、気づいたことがあるんです。憲法22条って「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」って書いてあるんですけど、これってすごく象徴的だなと思って。


つまり、この法律では、「住む場所」と「仕事」がワンセットになっているんですよ。なぜかといえば、この二つは近い場所にあるしかない、もっといえば、仕事ができるところが住む場所だったわけです。


でも、たとえば隈さんの「一人事務所」なんかはまさに、住む場所と仕事がセットになっていない状況なわけですよね。憲法22条が想定していなかった世界がすでにやってきているんじゃないかなと。


 なるほど、確かに。これまでの歴史で経験のない、ものすごく画期的なことかもしれないですね。



家の作り方は絶対にこれから変化が起こる

大垣 とすると、これからは家のトレンドなんかも変わってくるんじゃないでしょうか。


これまで、家に求めることっていうのは、まず何よりも通勤や通学のしやすさだったわけじゃないですか。でもこれからはそうじゃなくて、より一層、住み心地のよさを考えた家が求められるようになるんじゃないかなと。


 確かに。家の作り方は絶対に変わると思いますね。


そもそも、今の家の作り方とか間取りとかはそんなに歴史が古いわけじゃないんですよ。20世紀に作られたアメリカの郊外住宅を参考にしているので、本当に1世紀ぐらいの歴史しかないんですよね。


大垣 例えば私は「3LDK」みたいな、家族のメンバーそれぞれに部屋をあてがうことを前提にした間取りが変わってくるんじゃないかなと思うんです。そうじゃなくて、テレワークスペースとか、団欒スペースとか、機能別に部屋を設ける人が出てくる気がします。


 3LDKも、間取りの考え方としてはかなり歴史が浅いんですよね。


実はむしろ、日本の伝統的な農家なんかは、今大垣さんが言ったみたいに働くスペースと、寝るスペースで分かれていました。意外と、日本の伝統的な住宅はアフターコロナの住宅にフィットするのかもしれないですね。


大垣 今、日本の住宅っていうのは、ほとんど住宅展示場で売るか、建売住宅で売るかのどちらかで、言ってしまえば「コロナ以前」の売り方しか想定していないわけです。少しコンセプトチェンジが要求されそうですね。


 そうですね。ただ、「これが新しい家の作り方だ」っていうことが分かってくれば、それに適応する力は日本の企業にもあると思います。



これからの暮らしは、「箱を出る」ことが求められる

大垣 最後に、これからの住まい全体について、どういうふうに変わっていきそうか、何が求められているのかをお話しいただけますか。


 これからの暮らしって、一言で言えば「箱を出る」ことが求められていくんじゃないかな、と思うんです。箱っていうのは、たとえばオフィスビルのことをイメージしてもらうと分かりやすいんですけど。


今の働き方って、空間的にも時間的にも、「箱」に拘束されている生活なわけです。同じ時間にみんなが一つの「箱」を目掛けて通勤して、同じ時間にその「箱」の中で働き始めて、似たような時間に退勤して。


コロナでリモートワークを経験すると、この「箱」に合わせるという働き方が結構ストレスだったということに気付きますよね。


大垣 なるほど。確かに、コロナ渦では「毎日リモートはつらいけど、毎日通勤もつらかった」という気づきを得た人は多かったようにも思います。「箱」を出るという考え方、これからどんどん市民権を得ていきそうですね。


きょうはありがとうございました。


 ありがとうございました。


★隈さんの「箱」にまつわるお話、隈研吾さんと清野由美さんの共著『変われ! 東京 自由で、ゆるくて、閉じない都市』(集英社新書、2020年)にも詳しく出ています。是非ご覧になってみてください。



大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

◆放送日

土曜 6:25~6:50

◆出演者

大垣尚司(青山学院大学教授・JTI代表理事)

残間里江子(団塊世代プロデューサー、club willbe代表)

鈴木純子アナウンサー

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