中田総合法律事務所

第5回 2009.11.19 ON AIR

2009/11/19

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  薬物事件の裁判と 取り締まる法律

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  この夏、大きな話題となった芸能人の薬物事件の裁判が、
  先月下旬に相次いで行われました。
 
  10月23日
  合成麻薬MDMAを使用したとして
  麻薬取締法違反の罪で起訴された
  俳優・押尾学被告の初公判。
 
  10月26日
  覚せい剤取締法違反の罪で起訴された
  女優・酒井法子被告の初公判。

  いずれも東京地裁には傍聴希望者が殺到しました。

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  ◆ポイント1 覚せい剤使用は重大な犯罪
 
   覚せい剤の使用は10年以下の懲役
 
   これは傷害、窃盗、詐欺などの罪と同じ刑で、
   自動車運転過失致死傷(7年以下)よりも重い刑。
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  ◆ポイント2 裁判員制度の対象となる場合も
 
  薬物犯罪の中でも、裁判員制度の対象となるものがあります。
 
中田 「裁判員制度は重大犯罪に適用されるので
     “無期懲役”があるということです」

  ●対象となるのは・・・
 
  ◆営利目的の 覚せい剤の輸出入及び製造
  ◆営利目的の ヘロイン等の輸出入及び製造
  ◆違法薬物の輸出入・製造・所持・譲り渡し・譲り受け等

中田 「裁判員制度の対象となっている以上は
     皆さんも裁判員になる可能性があるわけですから
     どういう犯罪で、どういうことが問題なのか
     よく知っておく必要があると思いますね」

吉田 「薬物に手を出しちゃいけないと
     自分に戒めるだけじゃなくて、
     我われは 基礎的なことが分かってないと
     だめなんですね」

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  ◆ポイント3 薬物関連の法律「薬物四法」
  
  ◆麻薬及び向精神薬取締法
  ◆大麻取締法
  ◆アヘン法
  ◆覚せい剤取締法

  この四法に加え、シンナー、トルエンなどは
  ◆毒物及び劇物取締法 によって
   それぞれ規制されています。

  ●「覚せい剤取締法」

  「覚せい」というように
   “興奮作用”があるといわれている
  覚せい剤の
  輸入・輸出・所持・製造・譲り渡し 譲り受け・使用
  取り締まっています。

吉田 「覚せい剤に関わったら
     処罰の対象になるということなんですね」

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 ◆ポイント4 違法ドラッグ
  
  違法ドラッグは「薬物四法」以外に
  「薬事法」「関税法」「関税定率法」によって
  取り締まられています。

  「関税定率法」により輸入禁制品と定められた
  違法ドラッグを輸入すると
  「関税法」によって“5年以下の懲役”が科されます。

  また「薬事法」によって指定された薬物は
  治療や研究目的以外に使用を禁じられています。
 
  (例)ラッシュ、マッシュルーム
 
中田 「規制される違法薬物はどんどん増えています」
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 ◆ポイント5 大麻は誰もが日常的に接している!?

去年、大相撲の現役幕内力士が、
大麻取締法違反容疑(所持)で警視庁に逮捕されました。

この件は「所持」により逮捕に至りましたが
尿検査で大麻の陽性反応が出た――という事実だけでは
逮捕することはできません

   なぜなら・・・
   「大麻取締法」では
   大麻の所持、栽培、譲受、譲渡、
   “研究のための使用”は禁止されていますが
   一般的には“使用”は禁止されていないのです

  これは、大麻の成分は日常的に接していて
  元々、体内にも微量ながら存在しているため。

  大麻の成分「カンナビノイド」
  七味唐辛子 麻の実にも微量に含まれるといわれ、
  また“食欲増進”の効果があることから
  医薬品にも使用されています。

  さらに、
  麻の茎は歴史的に繊維材料として使用していることなどから
  不要な葉を焼却する際、
  大麻の成分を吸引してしまう――ことがあります。

吉田 「そうか! 焼いた直後に尿検査をすると
     反応が出ちゃうんですね」

 
中田 「元々、体内にもあるから
     今、検査をしたら、スタジオにいる人みんな
     “陽性かもしれない”という話なんです。
     『所持』を禁止しても
     本当に“禁止大麻”を使ったのかわからないんですね」

 
中田 「一般的に“薬物犯罪”といいますけど
     細かく見ていくと、法律もたくさんあるんです」

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中田先生セレクションの1曲

 Joy Summer / 吉岡靖高
 
 
次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2009年11月19日 21:00

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