中田総合法律事務所

第6回 2009.11.26 ON AIR

2009/11/26

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  たばこ税増税案に『賛成』の声

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  鳩山総理が先月30日、たばこ税の増税について
  「環境や からだの面からみて
   増税ありうべしかな、と思う」と
  たばこ税増税に前向きな考えを示しました。

  また、共産党の志位委員長も今月5日
  税収の使い道次第では
  たばこ税の増税に賛成する考えを示しています。

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  ◆ポイント1 喫煙をする人の権利と健康増進法
 
   分煙化が進み、次第たばこを吸う場所がに限られていく中
   たばこ税の増税案
   喫煙をする人をさらに落ち込ませるニュース。

   長妻厚生労働大臣はテレビ番組で
   “健康”の観点から「増税は絶対に必要」と発言。

   また、2003年には『健康増進法』が施行され
   “大衆が利用する場所を管理する人は
    受動喫煙を防止する措置”をとるよう義務づけられ
   建物・施設内への喫煙スペース設置が進んでいる。

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  ◆ポイント2 喫煙者・非喫煙者で“採用”に差
 
   一部の企業では、新規採用の際に
   喫煙者・非喫煙者で“差”をつけているケースも。

  吉田 「喫煙する・しない で採用が違うのは
       法律的に見て問題はないんですか?」

 
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  ◆ポイント3 過去の判決
 
   昭和45年に最高裁が下した判決例があります。

   未決拘留中の人が たばこを吸う権利を訴えたもの。

   『監獄法』により、未決拘留中の人は
   たばこを吸う権利が制限されている。
   
   一方で『幸福追求権』の中に“喫煙権”がある。

   判決では
   たばこは“生活必需品”とはいえず、嗜好品であることから
   “あらゆる場所・時において保障されるほど
    強固なものではない”
として
   原告の訴えは棄却されました。

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  ◆ポイント4 採用条件にできる?

  ポイント2の問題は・・・

  中田 「禁煙を採用条件にすえるのは
       企業の採用の自由の観点からいえば
       『できる』ということにもなるんです」

 
  Nakada_04_26.jpg

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  ◆ポイント5 採用拒否をした三菱樹脂事件

  再び過去の判例から・・・

   60年安保闘争の学生運動に参加していた
   経歴をもとに不採用となったことは違法と訴えた
   三菱樹脂事件は、昭和48年の最高裁で
   『企業の不採用を違法とすることはできない』という
   判決が下りました。
   
  最高裁の判断は
  企業側は
  『「思想信条」を理由に不採用にしたものではなく
   過去の「行動」を理由に不採用にした』
として
  “不採用”を支持。
 
  中田 「この場合は過去の行動が
       “思想信条に関連していた”というだけであって
       “思想信条”を理由に不採用にしたわけじゃない
       という理由で、負債要素指示したんです」

  吉田 「学生運動に参加していた事実を
       どこから見るか、という見方の違いですね」

  中田 「“行動”を理由に不採用にできる――
       という風に言った、となるわけです。
       そうだとすれば“喫煙する自由”がどこから発しているのか
       ――ということは別にして
       “行動・習慣”を理由に不採用にすることは
       できるんじゃないか――ということです」

  吉田 「難しいところですねぇ・・・」
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  ◆ポイント6 採用後の喫煙発覚は?!
 
  「禁煙・非喫煙」という採用条件がありながら
  入社後に「喫煙」が発覚した場合・・・

  中田 「ことを分けて考える必要があります」

  「喫煙」がわかれば、重大な虚偽事実の申告
  解雇の事由になる。
  (ほかの例でいえば「学歴」「職歴」虚偽申告)

  就業規則に「禁煙」のルールがあれば
  (解雇も含めて)懲戒されることもありうる。

  一方で、プライベートではどうなのでしょうか??

  中田 「生活上の行為まで就業規則に縛られる
       となると、それは行き過ぎだと思います。
       だから生活上の行為は基本的にフリー。
       家で吸ったことに対して【解雇・懲戒】は
       できない――ということもあると思います」

 
  吉田 「吸う人・吸わない人が共存していけることが
       一番いいんことではあるんですけど
       なかなか難しいことですね」

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中田先生セレクションの1曲

 Fiesta / SUITE VOICE
 
  中田 「女性4人グループの歌で、ラテンのリズムでかっこいいです」
 
次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2009年11月26日 21:00

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第5回 2009.11.19 ON AIR

2009/11/19

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  薬物事件の裁判と 取り締まる法律

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  この夏、大きな話題となった芸能人の薬物事件の裁判が、
  先月下旬に相次いで行われました。
 
  10月23日
  合成麻薬MDMAを使用したとして
  麻薬取締法違反の罪で起訴された
  俳優・押尾学被告の初公判。
 
  10月26日
  覚せい剤取締法違反の罪で起訴された
  女優・酒井法子被告の初公判。

  いずれも東京地裁には傍聴希望者が殺到しました。

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  ◆ポイント1 覚せい剤使用は重大な犯罪
 
   覚せい剤の使用は10年以下の懲役
 
   これは傷害、窃盗、詐欺などの罪と同じ刑で、
   自動車運転過失致死傷(7年以下)よりも重い刑。
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  ◆ポイント2 裁判員制度の対象となる場合も
 
  薬物犯罪の中でも、裁判員制度の対象となるものがあります。
 
中田 「裁判員制度は重大犯罪に適用されるので
     “無期懲役”があるということです」

  ●対象となるのは・・・
 
  ◆営利目的の 覚せい剤の輸出入及び製造
  ◆営利目的の ヘロイン等の輸出入及び製造
  ◆違法薬物の輸出入・製造・所持・譲り渡し・譲り受け等

中田 「裁判員制度の対象となっている以上は
     皆さんも裁判員になる可能性があるわけですから
     どういう犯罪で、どういうことが問題なのか
     よく知っておく必要があると思いますね」

吉田 「薬物に手を出しちゃいけないと
     自分に戒めるだけじゃなくて、
     我われは 基礎的なことが分かってないと
     だめなんですね」

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  ◆ポイント3 薬物関連の法律「薬物四法」
  
  ◆麻薬及び向精神薬取締法
  ◆大麻取締法
  ◆アヘン法
  ◆覚せい剤取締法

  この四法に加え、シンナー、トルエンなどは
  ◆毒物及び劇物取締法 によって
   それぞれ規制されています。

  ●「覚せい剤取締法」

  「覚せい」というように
   “興奮作用”があるといわれている
  覚せい剤の
  輸入・輸出・所持・製造・譲り渡し 譲り受け・使用
  取り締まっています。

吉田 「覚せい剤に関わったら
     処罰の対象になるということなんですね」

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 ◆ポイント4 違法ドラッグ
  
  違法ドラッグは「薬物四法」以外に
  「薬事法」「関税法」「関税定率法」によって
  取り締まられています。

  「関税定率法」により輸入禁制品と定められた
  違法ドラッグを輸入すると
  「関税法」によって“5年以下の懲役”が科されます。

  また「薬事法」によって指定された薬物は
  治療や研究目的以外に使用を禁じられています。
 
  (例)ラッシュ、マッシュルーム
 
中田 「規制される違法薬物はどんどん増えています」
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 ◆ポイント5 大麻は誰もが日常的に接している!?

去年、大相撲の現役幕内力士が、
大麻取締法違反容疑(所持)で警視庁に逮捕されました。

この件は「所持」により逮捕に至りましたが
尿検査で大麻の陽性反応が出た――という事実だけでは
逮捕することはできません

   なぜなら・・・
   「大麻取締法」では
   大麻の所持、栽培、譲受、譲渡、
   “研究のための使用”は禁止されていますが
   一般的には“使用”は禁止されていないのです

  これは、大麻の成分は日常的に接していて
  元々、体内にも微量ながら存在しているため。

  大麻の成分「カンナビノイド」
  七味唐辛子 麻の実にも微量に含まれるといわれ、
  また“食欲増進”の効果があることから
  医薬品にも使用されています。

  さらに、
  麻の茎は歴史的に繊維材料として使用していることなどから
  不要な葉を焼却する際、
  大麻の成分を吸引してしまう――ことがあります。

吉田 「そうか! 焼いた直後に尿検査をすると
     反応が出ちゃうんですね」

 
中田 「元々、体内にもあるから
     今、検査をしたら、スタジオにいる人みんな
     “陽性かもしれない”という話なんです。
     『所持』を禁止しても
     本当に“禁止大麻”を使ったのかわからないんですね」

 
中田 「一般的に“薬物犯罪”といいますけど
     細かく見ていくと、法律もたくさんあるんです」

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中田先生セレクションの1曲

 Joy Summer / 吉岡靖高
 
 
次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2009年11月19日 21:00

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第4回 2009.11.12 ON AIR

2009/11/12

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
 
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 ○注目のニュース
  
  ノーベル平和賞の賞金は課税される?

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  アメリカのバラク・オバマ大統領へ
  2009年 ノーベル平和賞授与が発表されました。
 
  大統領へは、ノーベル基金から
  1,000万クローナ(約1億3,000万円)が贈られ 
  この賞金について、大統領は
  「慈善事業に寄付する」と話しています。

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  ◆ポイント1 賞金に税金はかかるの?
 
   もし、日本に居住する人が、ノーベル賞を受賞した場合
   賞金に税金はかかりません。

 
   「所得税法」により
   “ノーベル基金から”ノーベル賞として交付される
   金品は非課税とされています。
 
   1949年(昭和24年)湯川秀樹さんが日本人として初めて
   「ノーベル物理学賞」を受賞した際
   「課税対象になるのか」問題となったことから
   所得税法の改正へとつながり、非課税となりました。
 
  中田 「もし、この規定がなければ
       “一時所得”として課税されます」

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  ◆ポイント2 「ノーベル基金から」の金品が非課税に
 
  ノーベル賞の賞金は
  すべて“ノーベル基金から”出るわけではありません。

  「ノーベル経済学賞」
  スウェーデン中央銀行の基金から出るため
  現在の規定では、非課税にはなりません
  
  ※2009年時点で、これまで、
   日本に居住する人の経済学賞受賞例はありません
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  ◆ポイント3 財務大臣が指定すれば非課税に
 
   所得税法の規定では
   財務大臣が指定する外国団体の基金から交付される
   金品は“非課税”にすることができます。
 
吉田 「ノーベル経済学賞も
     財務大臣が指定すれば(賞金は)非課税になるんですね」

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  ◆ポイント4 オリンピックの報奨金の場合
 
   オリンピックでメダルを獲得した選手へ贈られる
   報奨金も、非課税です。
 
 現在、
 金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円
 JOC(日本オリンピック委員会)から報奨金として贈られますが
 初めて報奨金が贈られた
 1992年バルセロナ五輪「競泳女子200m平泳ぎ」
 金メダルを獲得した
 岩崎恭子選手のケースでは“課税”されています。
 
   このときの世論の批判により
   その後は、租税特別措置法によって
   “JOCから出る報奨金は非課税”となりました。   
 
 ただし、各競技団体、スポンサー、選手の所属企業などから
 贈られる報奨金は従来通り、課税対象になります。
 
  中田 「“所得”と認定されたら
       税金がかかるのが原則ということなんです」

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  ◆ポイント5 宝くじの当選金は非課税(申告が必要)
 
  当選金付証票法により、
  当選金品は、所得税を課されることはありません。

 
  しかし、税務署からのチェックが入った場合
  本当に「宝くじの当選金」であると
  信用してもらえるでしょうか?
 
  そこで、みずほ銀行では
  申請があれば「当選証明書」を発行しています。

吉田 「一回でいいからもらってみたいな」
 
  ◆50万円までは特別控除
 
  50万円までは特別控除によって
  申告がなくても非課税となります。
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中田先生セレクションの1曲

 マイ・ハート・アンド・アイ / ソ・ウォノ
 
中田 「1984年のイタリアのテレビドラマの主題歌ですが
     2001年にスティングがカバーして有名になった曲です」

 
次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2009年11月12日 21:00

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放送休止のお知らせ

2009/11/05

11月5日(木)は
プロ野球 2009日本シリーズ 第5戦
巨人 × 日本ハム 実況中継
をお送りするため
『センパツ!情報満載スタジアム
 ~ 弁護士中田のタイムリートーク ~』は
お休みさせていただきます。

あらかじめご了承ください。

投稿者 senpatsu : 2009年11月05日 12:00

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