中田総合法律事務所

第23回 2010.03.25 ON AIR (最終回)

2010/03/25

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
____________________________
 
 ○注目のニュース
  
  内部告発

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  枝野行政刷新担当大臣は、先月16日の記者会見で
  公益法人や独立行政法人を対象にした
  “事業仕分け第2弾”の4月からの実施を前に
  関係者からの“内部告発”を募集する考えを示しました。

  政府の行政刷新会議が設けたインターネットと、
  郵便による通報窓口「ハトミミ.com」を活用し、
  4月上旬に仕分け対象事業を選定する際の参考とします。

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  ◆ポイント1 “内部告発”が注目された 2007年 食品偽装問題

  中田 「中のことは中の人が知っている――ということで
       事業仕分けのやり方として“内部告発”を利用しましょう
       ということなんですね」

  吉田 「大胆ですよね」

  2007年に社会的問題となった食品偽装問題により
  “内部告発”が注目されました。

    そのほか、自動車のリコール隠し、愛媛県警の裏金プール問題、
    病院の医療ミスなども内部告発によって発覚した例があります。
____________________________
 
  ◆ポイント2 “内部告発”の今と昔
 
  法人や組織内部の問題を、
  外部の人・機関が発見することは容易ではありません。

  内部告発によって、問題を表面化させることは
  問題解決を図るために重要な
  交易的な役割を果たしているといわれています。

    以前は、
    会社や所属する団体に対する“裏切り行為”である
    という風潮や、
    自分に不利益が及ぶことを恐れることから、
    内部告発をする人は多くありませんでした。

  しかし、近年は、コンプライアンス(法令順守)の意識向上や
  “良心の呵責”などによって
  内部事情に精通している人からの、勇気ある告発がなされています。

    そこで、内部告発者を保護するため
    「公益通報者保護法」が2006年1月から施行されました。

  吉田 「それまでは、内部告発をした人を
       守る法律ってなかったんですか?!
       意外な気がします」

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  ◆ポイント3 公益通報の対象となる法令違反とは
 
   「刑法」「食品衛生法」「薬事法」
   「消費者保護」「環境保全」「公正競争の確保」・・・など
   国民の生命、身体、財産党の保護に関わるものが
   “公益通報の対象”となります。

   (法令違反…刑罰違反に違反する行為/刑罰規定につながる行為)
____________________________
 
  ◆ポイント4 労働者すべてが公益通報可能
 
  公益通報をすることができるのは
  正社員、派遣労働者、アルバイト、パートタイマーなど
  自らの労力を事業所に提供する“労働者”すべて。
  (公務員も含まれる)

    法令違反行為が“今なお続いている”場合だけでなく
    “これから発生するかもしれない”(確実性が高い)場合も
    通報の対象となります。
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  ◆ポイント5 通報「先」は?
 
  公益通報をする場合、どこに通報すればよいのでしょうか?

  働いているところ(労務提供先)

  監督官庁・行政機関

  外部 (報道機関/事業者団体/消費者団体)

  中田 「“環境保護”の保護法令に対する違反だった場合
       『地域住民』も通報先になるんです」

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  ◆ポイント6 公益通報者を保護する要件

  『行政機関』に“公益通報”をして 保護されるには、
  次の要件を満たす必要があります。

  不正目的ではない
  通報の内容が真実であると信じるに足る相当な理由

  吉田 「噂話じゃダメってことですね」

  事業者の外部に“公益通報”をする場合、
  さらに、要件が細かくなって・・・

  事業者内部や行政機関に通報した場合、
   (通報者自身に対して)不利益な取扱いを受けてしまうのではないか
   ――と信じるに足る相当な理由

  中田 「内部通報したら、自分か解雇された――
       ということが起こるのではないか、と
       信じるに足る理由がなければダメなんです」

  事業者内部に通報した場合、
   “もみ消される”と信じるに足る相当な理由

  上司や行政機関に通報したら口止めされた

  書面によって公益通報をしたものの
   20日過ぎても、対応されない場合、
   行政機関が(正当な理由なく)調査しない場合

  生命・身体に危害が発生する
   発生する危険性が高い場合

  これらの中の一つを満たさなければいけません。

  中田 「簡単に“公益通報”として保護されるわけじゃない
       ということになってくるんです」

  吉田 「でも、この要件を満たしていれば
       告発した人は守ってもらえるんですか?」

  中田 「守ってもらえます。
       解雇・降格・減給される――という
       “不利益処分を受けない”保護をされます」

____________________________
 
  ◆ポイント7 “事実上”も通告者が保護されるか

  吉田 「内部告発先が勤務先だと、
       通報を“躊躇”するという方も多い気がしますね」

 
  中田 「“内部通報”そのものは不正目的がなければ、
       自由に、積極的にやってください
       ――ということなんですけど・・・
       外部や行政機関に通報する場合は
       要件が厳格なんです」

  積極的に運用することができてしかるべき――と考えられますが
  現状では、
  内部告発をした人が保護されるべき法律にも拘らず
  (要件を厳格にすることで)
  内部告発を“制約”することになるのでは――という声があります。

    また、内部告発者に対する不利益が「ない」とは
    必ずしも言えないようです。

  ◆正規の人事異動を名目として、降格・減給されることも

  中田 「法的には守られても
       “事実上”そういう(不利益につながる)ことをされたら
       どうなのか――という問題は残るんです」

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  ◆ポイント8 公益通報者保護法はあくまで“バイパス”

  コンプライアンス(法令順守)態勢が確立している企業などでは
  内部告発によって、自主的な問題解決が期待できますが、
  体制が確立していない事業者などでは、
  告発が放置される、または
  告発者に(事実上の)不利益が生じる可能性があります。

  中田 「『公益通報者保護法』は“バイパス”なんです。
       コンプライアンス体制がきちんとできていれば
       『公益通報者保護法』の目的は達せられているはずなんです。
       “本流”が機能しないことをふまえて
       この法律はバイパス=傍流として
       定められていると考えるべきだと思うんです。
       だから“内部告発の奨励”をしているわけじゃない
       “バイパス制度”を整備することによって
       “本流”の流れを良くしましょう――ということなんだ、と
       考えなければうまくいかないと思います」

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(中田)
 個人が自立しなければいけない
 自己決定、自己規律
 お互い正しいことをして、正しい社会・皆のためになる社会を
 作っていきましょう――と促進する法律だととらえるべきなんです。

 各事業者や組織・行政機関が
 自覚的に取り組んでいかなければいけない――
 そのことによって
 『公益通報者保護法』はなくてもいい法律になる、
 その時が来ると信じて・・・信じたいと私は思います」

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____________________________
 
番組をお聴きいただいた皆さんへのメッセージ

(中田)
「“法”というものはどういうものなのか――
 どういう風に物を考えるのか――


 あるいは、この社会が何を目指しているのか――
 その中で自分がどうやって生きていくのか、
 何を目指すのか、何が幸せなのか、
 何が正しく、何が正しくないのか、
 自分の力で考える――ことが
 実は“法”に基づいてものを考えることになるんだ・・・
 ということを、最後に申し上げたいと思います。
 ありがとうございました」

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半年間のご愛聴ありがとうございました。

投稿者 senpatsu : 2010年03月25日 21:00

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第22回 2010.03.18 ON AIR

2010/03/18

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  法科大学院のあり方

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  司法試験の合格率が年々下がっている
  『法科大学院』のあり方を検証するため
  政府が新たに設けた作業チームの初会合が開かれました。
  
  メンバーは、法務省と文部科学省の副大臣を中心に、
  裁判官や、検察官、弁護士らで構成されていて、
  出席者からは、
  「司法試験の合格者が極端に少ない法科大学院を
   特に問題にすべき」
  「法科大学院の数が多すぎるのではないか」
  という指摘が相次ぎました。

  作業チームは月に2回程度のペースで会合を開く予定で、
  今後、法科大学院の教授や学生から
  ヒヤリングを行うなどして議論を重ね、
  全国で74ある法科大学院の再編成も含めた
  抜本的な見直しを検討し、
  今年の夏をめどに改善策をまとめることになりました。

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  ◆ポイント1 法曹人口の問題

  1980年代の日米貿易摩擦、バブル経済の裏では
  “法曹人口”の問題が起きていた!!!

  日米貿易摩擦の陰では、
  アメリカから「日本は弁護士の数が少ない」
  「とても法治主義が全うされているとは思えない」
  ――と批判されました。

  中田 「“ビジネスローヤー”として
       経済活動を主要な仕事とする弁護士が成立してきたし、
       『弁護士の数が少ない』と
       “外”からの圧力、“中”からの声として
       弁護士の数の問題が起きてくるんです」

  

  中田 「バブルが起きてくると、今、私には全然 縁がないけど
       『お金が儲かる』という意識があって
       裁判官、検察官に任官する希望者が激減したんです」


  こうして法曹人口の問題が発生。

  吉田 「貿易摩擦とかバブルとか…その裏で、
       『こんなことが起きていたのか!』と思いました」

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  ◆ポイント2 法曹養成の問題へ
 
  『試験が難し過ぎるから、若い合格者を確保できない』
  『若い合格者を中心にして、合格者を増やすべき』
   
  弁護士、裁判官、検察官の【法曹三者】の中から、
  こうした声が出てきたことから
  司法試験合格者を増やす方向性が作られていきますが・・・


    合格者が増えれば、司法研修所の施設の規模や
    予算をオーバーするなどの問題が起き・・・

  中田 「『これまで通りではダメ』と
       ここから法曹養成の問題が発生してくるんです」

____________________________
 
  ◆ポイント3 法曹養成の問題は、市民社会全体の問題
 
  1997年、当時の与党・自民党、政府から
  ロースクールについて検討する議論がなされ
  日本版ロースクール=法科大学院の構想がスタート。

    2000年には、構想が固まり、
    ここに【法曹三者】が加わり、
    法科大学院創設の方針が固まっていきました。

  ここで考えなければいけないことは・・・時代の背景。

    ソ連の崩壊、冷戦の終結、グローバリズムの始まり…
    市民社会の構造転換が行われている真っただ中において、
    新しい司法社会の構築が必要――と
    「裁判員制度」や「検察審査会」などの制度ができています。

  中田 「そういう意味では司法だけの問題というよりは
       市民社会全体の問題に、すでになっているんです」

____________________________
 
  ◆ポイント4 法科大学院の問題点
 
  法科大学院の創設に対しては、
  すべての大学の参加が可能となりました(=全大学体制)。

    これにより、既存の大学が
    “司法試験合格者の確保”
    “それによるステータスの維持・向上”
    目指すことにつながりました。

  中田 「『適正な法曹人口とは?』
       『合格者の質を維持するために適正な合格者数は?』
       という議論は、おいてけぼりになってしまったんです」

  したがって、既存の大学が“我も我も”と
  法科大学院の創設に参加。

  それまで司法試験に実績があった大学は
  合格者枠・定員枠を要求。
  実績のなかった大学も『合格者の定員枠』確保に奔走。

  中田 「そういうものを無視するわけにはいかない状況の中で
       議論が進む――ということになってきたわけです」

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  ◆ポイント5 合格者『3千人』の根拠は???
 
  2002年、司法試験の年間合格者を
  「2010年頃に3千人に増やす」計画が閣議決定されました。(※)

  中田 「(司法試験合格者)『3千人』という数字が
       どこから出てきたのか、実はよくわからないんです」

  吉田 「はじめに『3千人ありき』で、スタートしたんですか?!」

  中田 「定員から考えれば絶対無理、初めから無理、
       計算すればはじめからわかる話なんです」

  (※)計画は下方修正する方向で見直す方針が固まりました


  ■全大学体制で構想したことは正しかったのでしょうか?

    大学間で、偏差値を物差しに『序列』が確立された中で、
    法曹の質を維持する制度になっているのかどうか――が
    見直されています。

    一方で、現在、法科大学院に在学している皆さんや
    これから目指す皆さんにとっては、
    簡単に制度をコロコロ変えられたら
    『たまらない』という思いを抱いて当然。

  中田 「日本の国の通弊で
       まるで(意味もなく)何回も掘り起こす
       “道路工事”みたいなことが、ここでも起きちゃったんですね」

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  ◆ポイント6 法曹資格制度を一元的に!

  中田 「さらに問題視されるのが、
       『法曹一元』という制度になっていないんです」

  “法曹養成は一元的に”――ということになっているものの、
  弁護士、裁判官、検察官の資格は、
  法曹資格としては統一されていながら
  キャリアはまったく別々

  中田 「裁判官のキャリアを積んだら、
       裁判官で一生終わるのが普通。
       弁護士も途中で“任官”する道はあるけど、例外的」

   裁判官と検察官との任用が変わらない限り、
   結局“弁護士を増やす”ということ以外の意味はないのでは?

  中田 「結局、今の法曹資格制度が
       本当に“一元的”になっているのかどうか――、
       “試験はひとつ、養成も一つ、
       でもそのあとのキャリアは別々”でいいの?――
       ということも議論されるべきじゃないのでしょうか」

____________________________
 
(中田)
「“社会システム”として“法曹システム”をどう考えるのか――。

 あるいは“弁護士は何をしてくれる存在なのか”
 社会や経済との関係で、どういう役割を果たすべき人たちなのか――
 そういうことから
 “人口はどの程度が適正か”
 “『質』はどういったことを基準に考えるべきなのか”
 こういったことは、新しい制度を構築するくらいの気持ちで
 やらないといけないと思うんです。

 既存の制度を、ある一定の程度維持するのはいいんだけど
 最後まで、それでやろうとすると、結局のところ、
 維持できない → やり直し → 見直しの繰り返しで、
 抜本的な対策は何もできないということになりかねないと思うんです」

次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2010年03月18日 21:00

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第21回 2010.03.11 ON AIR

2010/03/11

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  児童虐待

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  去年11月、兵庫・三田市で
  当時5歳の寺本夏美ちゃんが自宅絵で意識不明となり
  搬送先の病院で死亡した事件で、
  警察は、逮捕した母親が
  日常的に暴力をふるっていたとみて調べています。
  
  警察は、先月11日、夏美ちゃんの顔をたたいたとして
  母親の浩子容疑者(27歳)を、傷害の疑いで逮捕しましたが
  警察の調べによりますと、浩子容疑者は、なつみちゃんに対し、
  日常的に暴力をふるっていた疑いが強いということです。

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  ◆ポイント1 2000年に“児童虐待防止法”制定
 
   2008年度、児童相談所が対応した虐待の件数は…42,662件

  中田 「虐待事件は最近、後を絶たなくて、過去最悪です」

   ●児童虐待の特徴と問題点

   ・加害者が親(親権・監護権を持つもの)

   ・家庭内で虐待が行われ、表面化しにくい

   ・親の養育力が問題視される

   ・監護・親権者へのケアや支援が必要

  かつては『地域社会』があり、人間関係が濃厚でしたが、
  現代社会では『地域社会』の機能は失われている(失われつつある)。
  児童虐待の問題に対処するには
  それらにかわる『社会システム』の構築が必要・・・

    このような背景をもとに、
    2000年、通称“児童虐待防止法”が制定・施行されました。
____________________________
 
  ◆ポイント2 虐待の定義
 
  (児童福祉法の定義から)

   ●児童とは:保護者が監護する児童=18歳未満

   ●『虐待』の定義(以下の要件を禁止しています)

   ◆身体的虐待
   ◆性的虐待
   ◆ネグレクト(育児放棄)
   ◆心理的虐待(いじめ)
    ※情緒不安定にさせる・自尊心を傷つける など
____________________________
 
  ◆ポイント3 虐待を早期に発見するために
 
  子供に接する機会の多い職種、
  医師、弁護士などに対して、虐待を早期に発見する努力を促し、
  広く国民一般に対しては、
  虐待を発見した場合、通告する義務が科されています。
____________________________
 
  ◆ポイント4 国際評価の低い日本の取り組み

  国連児童憲章の流れの中に制定された“児童虐待防止法”ですが
  日本に対する国際的評価は、残念ながら低いようです。

  2004年には、日本の児童虐待への取り組みについて
  国連・子どもの権利委員会から懸念が表明され、
  勧告を受けています。

  ■…訴追された事件数が極めて少ない=発見例が少ない

  ■…被害者の回復及び、カウンセリングのためのサービスが不十分

  “児童虐待防止法”は04年、07年に大きな改正が行われましたが
  まだ、十分なものではない――といわれています。
____________________________
 
  ◆ポイント5 “児童虐待防止法”の問題点

  ◆“児童虐待防止法”の特徴◆

  ●国、地方公共団体に制度の構築義務を負わせている。

  ●地方公共団体は、福祉事務所、児童相談所を中心に
   児童虐待の防止に関する措置を講ずる権限を与えている。

  ●児童虐待は、『家庭問題』(民事)ではなく
   『犯罪』であることを明確にし、
   “虐待が疑われた段階”から強制介入ができ(親権の一時停止)
   また、警察の支援も受けられる。

  ●虐待の発見について、
   広く一般市民に対して通報の義務を認めている。
  
  ●未熟・身勝手な保護者の指導のために
   虐待をした親に対して、カウンセリングの受講を義務付けている。

  これらの特徴は、一見、正しいようですが
  “児童虐待防止法”が目的として掲げる
  “将来の世代の育成”――という点からみれば、
  “児童虐待防止”は地域の問題ではなく、
  国・全市民をあげて取り組むべき問題。
 
  中田 「地域の問題に止まるような対応は良くないです。
       虐待の発見が遅れた場合、
       児童相談所の職員のせい――というわけにもいかない…
       やっぱり“制度”の問題と言わざるを得ないんです。
       福祉・捜査・医療の現場における連携への目配りが
       あるかというと、ないんじゃないかと考えざるを得ないんです」

  ◆二重の分断◆

  ■福祉・捜査・医療の各機関で権限が分断されている
  ■地域で分断されている

  中田 「法律を広めていくには
       『新しい制度を構築するんだ』という姿勢で臨まないと
       児童虐待の実態は、ますますひどくなるんじゃないか――と
       懸念されるんです」

____________________________
 
  ◆ポイント6 アメリカの制度
 
  虐待の通報が入るセンターが作られ
  福祉・捜査・医療の専門家が招集され、チームが形成されます。

  チームには、専門職の『司法面接師』がいて
  必要な情報が集められ、
  包括的・分野横断的戦略を立て、対策が図られます。

  中田 「“包括的”かつ“分野横断的な戦略の構築”
       という意味では、アメリカの制度は大きな参考になるんです」

____________________________
 
(吉田)
「『児童虐待かな?』と発見したら、
 通告したり(通告する)義務があるんだ――ということを、
 まず、ひとりひとりが、思うことが大切ですね」

次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2010年03月11日 21:00

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第20回 2010.03.04 ON AIR

2010/03/04

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  夫婦別姓

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  選択的夫婦別姓の、今国会での成立を目指す
  千葉景子法務大臣は、先月15日の衆議院予算委員会で
  実現に向けた民法改正の方向性について説明。

  夫婦別姓を行った際の子供の姓は
  父母のどちらか一方の側に統一する意向を示しました。

  従来の民主党の案では、
  子供それぞれの判断で、
  父親か母親のどちらかの姓を選択することが可能とされ
  兄弟姉妹で姓が異なるケースが起きうることを認めていました。

  千葉法務大臣は、方針変更の理由について
  「姓は父母どちらかの側に統一すべきだとする法制審議会の意向を尊重したい」
  と答弁しました。

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  ◆ポイント1 法律で定められている夫婦同姓
 
   1970年ころから議論がなされている『夫婦別姓』問題――。
   (法律用語では『夫婦別[]と表現)

   日本の民法では、婚姻前の夫婦の一方の姓を名乗ることが定められています。
   
  中田 「いうならば『夫婦同姓強制主義』という考え方で
       “法律婚”をする約98%の夫婦が『夫』の姓を名乗っている――
       といわれていることを考えると
       (事実上)“夫の姓を強制していることにならないか”
       という議論が前提にあるんです」

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  ◆ポイント2 夫婦同姓に従いたくない場合
 
   ◆ケース1:旧姓を“通称”として使用する。

   ◆ケース2:法律婚をせず、事実婚を選択(籍を入れない)。

  中田 「今は、こうした選択の方法しかない、
       ということになるわけです」

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  ◆ポイント3 夫婦別姓を認める方法
 
   ◆ケース1:選択的夫婦別姓 A案

    子供の姓は、夫婦どちらか姓に統一する。

   ◆ケース2:選択的夫婦別姓 B案

    子供の姓についても「選択を認める。

   ◆ケース3:例外的夫婦別姓

    夫婦同姓を原則としながらも、 例外的に夫婦別姓を認める。
    (実質的には、ケース1、2と変わらない――といわれている)

   ◆ケース4:家裁の許可を得て、夫婦別姓を認める

    (例)お墓を守る――など、文化、習俗の観点から、
       必要性がある場合に限定して許可をする考え方。
    (例)職業上の理由で、一定の場合に許可をする考え方。

   ◆ケース5:通称使用を法律的に認める

    戸籍上は「夫婦同姓」としながらも
    法律的に「通称の使用」を一般的に認める――考え方。

  吉田 「“夫婦別姓”って、ひと言でいっても
       本当にいろんな種類があるんですね!?」

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  ◆ポイント4 『姓』と『氏』の違い

  中国や韓国などでは、
  女性が結婚後も出身一族の姓を担う考えから、夫婦は別々の姓を名乗ります。
  (父系氏族文化)

  【姓】・・・男系の先祖を表す

  【氏】・・・家の名前と考えられ、先祖が誰であるかは考慮しない。

  戦前の日本では、姓と氏は厳密に区別され、姓は生涯変わらず、
  氏は結婚・縁組で変わるもの――と考えられていました。


  中田 「中国で考えるのは『姓』、日本で考えるのは『氏』
       日本で考えるのは夫婦別氏の議論なんです」

 
  “中国、韓国と同じように”『夫婦別姓』でもいいのでは?――と
  考える場合もあるかもしれませんが、
  文化的背景の違いから、
  日本の“夫婦別氏”とは、議論の根本の考えが異なるのです。
____________________________
 
  ◆ポイント5 夫婦同姓が一般的なアメリカ

  『夫婦別姓』が最も進んでいそうな国は・・・?

  吉田 「アメリカですか?」

  中田 「法律の規定はないんだけど、アメリカは
       夫婦同姓が一般的なんです」

  ◆旧姓をミドルネームにするケースがあります
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  ◆ポイント6 結婚したら家族一体/夫婦同姓のイギリス
 
  イギリスでは、結婚した場合「家族は一体」である――という考えが強いため
  アメリカ以上に、夫婦同姓の考えが一般的といわれています。

  ◆英語圏の国では、夫婦で統一するケースが一般的。
  ◆ただし、統一しなければいけないわけではありません。
____________________________
 
  ◆ポイント7 スペイン語圏の国のケース
 
  スペイン語圏、ポルトガル語圏の国では
  父方、母方の祖父 両方の姓を名乗る習慣があります。

  中田 「法律の強制はないんですけど、
       みなさん、そうしてるんです」

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  ◆ポイント8 『姓』がないアイスランド
 
  アイスランドでは『姓』がなく、名前に“父”の名前をつけます。

  吉田 「中田先生が私のお父さんだったら
       光一知[こういち] 涙子』ですか?」

  中田 「“光一知さんの娘”ということなんですね」

  吉田 「面白~~い!(笑)」

____________________________
 
(中田)
イギリスの例のように“家族が一体となる感覚・観念”は大切にすべき――
という考え方もありますが、
いろんな考え方がありますから
“夫婦同姓を強制する”ことは必要なのか――?という議論はあってしかるべき。

“強制すべきではない”――という意味で“選択的”にする方法もあるのでは。

この問題は、十分な議論を尽くさなずに決めると
容易には元には、後に戻らなくなりますよ――ということだと思います。

 
次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2010年03月04日 21:00

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