
『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 ファンドラップは持ち続けるべき?
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2025」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
★メールまとめ
ファンドラップ、持ち続けたほうがいい?
★メール本文
3ヶ月前に信託銀行のファンドラップに入りました。その後検索したら、手数料を二重に取られて損とあったのですが解約した方がよいですか?
(埼玉県川越市 60歳女性(これがラジオネームです))さん
そもそも投資信託は
「60歳女性」がラジオネーム、とのことなので、実際に60歳なのかどうかはわかりませんが…(笑)。ファンドラップというのは…ファンドってわかります? 株を買って私が運用してあげるよ、っていうやつ。そのファンドを買うファンドが「ファンドラップ」です。ナマものがあると、それをこんな風に料理するよ、っていうのがファンドだとすると。その料理をいろいろ集めて「こういうのも買うよ、こういうのも買うよ」っていうのがファンドラップ。まとめてくれてるんですね。そもそも投資信託というのは、株だと売買の手数料しか出ないけど、「私に任せてくれれば上がるよ!」って預けてもらうので、儲かっても儲からなくても、「私」が料金を取ります。損した場合は、「それは私を信用したんだから、信用したあなたがバーカ」とか、「世の中全部が下がってるんだから、世の中並に下がるのは当然でしょう」という風に作ってあるわけです。前に話したように「世の中は下がってるのに、それほど下がらないのは素晴らしいパフォーマンス」っていうのが投資信託なんですね。
ファンドラップはお金持ちが買う
投資信託は1万円から買えます。だからそんなにたくさん種類が入っているわけではありません。でもいろいろ買いたいんだけど、どんなのがいいかしら…という、比較的お金を持ってる人を対象に「お任せください。私がいろいろ取り混ぜて投資信託を買ってあげます」というのがファンドラップみたいなもの。ファンドオブファンズとも言いますけど。確かに手数料は二重に取られます。当たり前ですけど、最初のところで抜かれてるやつを買って「そんなことを目利きでやってる私にもちょうだい」ということです。
アメリカには様々な種類が
でもなんでそれが流行るかっていうと、アメリカの場合は、ものすごくいろいろな種類のファンドがあるんですね。癖の強いやつとかが。ある種のものは、ある程度お金を持ってる人にしか売らないということなっているので、1万円では買えません。そういうのをうまく買ってやると、こう、ばっと上がったりとか上手にやれるのが一つ。ほかにも、ETFというあまり手数料がかからないやつもあります。たとえば以前にもお話ししましたが「平均値になるようにしますよ」というインデックスファンド。これは確かにすごく頭を使ってやってもいいんですけど。平均値に含まれてるやつを全部買えば何も考えないで平均値になりますよね。たくさんお金いるけどね。そういう風に作ってあるのをETFっていうんですけど、これはあまり手数料がかからない。こういうのをばっかり集めるのもファンドオブファンズでアメリカにはけっこうあって皆さん使ってます。
焦って解約しなくても
でも日本では単に「鈴木さん、無理よあなたに投信ちゃんと選ぶのは」という作り方になってるやつが多いんです。「私に任せなさい」というだけで二重に取られるっていうのは批判通りのことも現実にはあるかもしれません。ただ おそらくファンドラップに入っちゃったような方なので、それなりにお金をお持ちになっているので。いま解約したほうがいいですかと言われると、まあそんなに急がなくても買っちゃったんだったら入れとかれれば、やっぱりそれなりにうまくいくようにやってくれるので。日本はものすごく「視野が短い」やつが多いんですね。10年ぐらいやりたいのに4,5年で勝負するみたいな。それが素人にはわからないので、そういうテーマが短いやつは売ったり買ったりをしていかないといけないので、そういう意味でもやっといて構わないのと。何よりも買ったときに最初に売買の手数料をゴソッと抜かれてるので、すぐ解約したらめっちゃ損です。もう少し置いておかれればいいと思います。ただ、託した人がすごい損をした場合、もちろん故意でやったり「バカ?」っていうようなことをしたらダメですが、「リターンがあると思ってたんよ」っていう話だと文句を言うことはできないですね。最初に「信じた私がバカです」というところにいっぱいハンコ押してますから(笑)勝てることはありません。でもご相談いただいた方は、いい時期に買われていると思いますので、まずは様子をご覧になってください。
今日は「ファンドラップ」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。
家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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