
なぜ「コメは買ったことがない」発言、なぜ後任に小泉進次郎氏
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、5月22日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。江藤拓(前)農林水産大臣の「コメは買ったことがない」発言の背景、後任に小泉進次郎氏が選ばれた理由などを解説した。
長野智子「(前農林水産大臣)江藤拓さんはなぜあんなことを言ってしまったんでしょう?」
常井健一「大物の政治家にとって、致命傷になる失言の、まあ9割が内輪向けの会合での発言ですよね。それが外に漏れて大炎上するケースばかり。例を挙げると森喜朗さん、2000年の『神の国』発言。あれも神社関係者が集まった会合で出た。民主党政権でも柳田法務大臣、『大臣の国会答弁は2つおぼえておけばいい』。これも地元広島での会合でした」
長野「はい」
常井「(ほかにも例を挙げて)仲間内だから通じるだろう、うまいこと言ってやろう、と狙ったつもりが、言葉がすべってしまって。外に漏れた瞬間に世の中の9割を敵に回して大惨事に至る。そもそも政界の常識というのは世間の非常識なんです」
長野「でもそう言っているということは、内輪とはいえ本音だとそう思っている、とバレる、ということですよね」
常井「そうです。今回、佐賀県で江藤大臣が『コメは買ったことありません』という発言が物議をかもした。生産者に向けたリップサービスで、消費者を敵に回したケースだ、と見ています」
このあとも江藤前農林水産大臣の発言や反響についての解説が続いた。さらに話題は、後任に小泉進次郎氏が選ばれたことへと移る。
常井「(小泉農水大臣の就任について)最初に聞いたとき、農協の人たちは、トランプがイーロン・マスクを政権に入れたときと同じぐらいの衝撃を感じているだろうな、と思いました。今回、小泉さんがなれたのは、自民党農林族のラスボスである森山幹事長が打診したからなんです。じつは森山さんって、小泉さんの農林部会長時代は、彼の手腕に疑問符をつけた小泉批判の急先鋒だったんです」
長野「ほう」
常井「そもそも、小泉純一郎さんが仕かけた郵政解散で森山さんは造反して刺客を立てられた、という過去を持つ。ものすごい因縁があるんです。いま小泉さん、農政に明るいと報道されていますが、確かにこの10年間、勉強して、農業、林業、漁業に詳しくなりました。一方で部会長時代に、農業改革でスタンドプレーばかりしていて。農政ってムラ社会の合意形成が必要な世界なのに、交渉が不得意なんです。敵をたくさん作ってしまう」
長野「なるほど」
常井「10年前の農林部会長のときは、小泉(純一郎)さんの秘書をしていた飯島勲さん、あの方が西川公也さんという、当時の農林族議員のラスボスに後見役になってもらって。小泉(進次郎)さん、西川さんのおんぶにだっこ状態だったのでそれなりにこなせた。でもそのとき小泉さんの体たらくを見て見切りをつけた中堅、若手がけっこういた」
長野「そうなんですね」
常井「この人たちが流れに流れて。小林鷹之さん、コバホーク陣営に、小泉さんに見切りをつけた人が集まっている。話を戻すと、以前はダメ出ししていた森山さんが小泉起用にゴーサインを出したわけで。農林族を説得する後見役を森山さんが買って出た、というかたちになったわけです」
「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時30分~5時、火曜~金曜午後3時30分~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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