
日本製鉄がUSスチール買収を巡り「黄金株」をアメリカ政府に譲渡へ。これでトランプ大統領も前向きに!?
5月28日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、日本製鉄がUSスチールの黄金株のアメリカ政府への譲渡を検討しているというニュースについて意見を交わした。
就任以来、目立った手柄を立てていないトランプ大統領にとって「黄金株」の譲渡は魅力的な提案か?
寺島尚正アナ「日本製鉄がアメリカ鉄鋼大手USスチールの買収を巡り、少数の持ち分でも重要事項に拒否権を行使できる『黄金株』のアメリカ政府への譲渡を検討していることが昨日分かりました。黄金株は複数あるプランの1つで、アメリカ政府にはまだ提案していないもようです。日本製鉄は買収実現に向けアメリカ政府と詰めの作業を進めており、最終的に黄金株を譲渡しない可能性もあります。黄金株は1株でも取締役の選任・解任や株主総会決議を拒否できるなど、通常の議決権よりも強い権限を持ちます。仮にUSスチールの黄金株を持ちますと、アメリカ政府は日本製鉄の買収後も、USスチールへの影響力を保持できます。完全子会社化を求める日本製鉄に対して、トランプ大統領は25日、『USスチールはアメリカがコントロールすることになる。そうでなければ取引を成立させないだろう。そして日本製鉄は投資をし、部分的に所有権を持つ』と発言しました。今後アメリカ政府との詰めの作業が難航しますと、日本製鉄が黄金株のプランを提案する可能性もあります。日本では、資源開発大手のインペックスの黄金株を日本政府が持っていて、外資系企業からの買収を防ぐ役割を果たしています。インペックスの例ではエネルギー安定供給の担保にもなり、経済安全保障にも役立つとされています。このUSスチールの黄金株をアメリカ政府に渡すということのようですけども、森永さん、これ、どうでしょうか?」
森永康平「まずこれは日本製鉄からすると、事業としてUSスチールを買収してアメリカの市場も取りたいと。あくまでこれは事業的な観点から見たら『そうですね』と。ただアメリカからすると、日本という、彼らから見たら外国の企業がアメリカの企業を買うことによって、従業員を解雇されてしまったりとか諸々悪いことが起きるんじゃないかと。それに対して日本製鉄側は元からですね、むしろ解雇しないし、投資もむしろ増やすしと説明してたわけですよね。それが大統領選が終わって、関税云々の話が出て来て、トランプさんも認める方向に動き始めていると。日本製鉄は事業として欲しいっていうだけなので、もしそれでトランプさんがまた再度ごねるようなことがあれば、『じゃ、わかりました』と。『黄金株を渡すことで、僕たちの好きには出来ないようにさせますから、事業としては認めてくださいよ』っていう交渉のプランとして、『そういうのもありますよ』っていうカードをにおわせてるんじゃないかなと思います」
寺島「まあでも先日ね、『140億ドル(2兆円)投資します』と日本製鉄が言ってて、これでやはりトランプ大統領も『あっ、だったらいいか!』っていうような感じに、今なってそうですけどねえ?」
森永「やはりトランプさんは関税の件もまとまりきってないですし、ウクライナの戦争も止めることが出来るっていいながら何も変わっていないわけで、結構手柄がまったくない状態が続いているわけですよ。そういう意味では国内の投資を増やすこの案件っていうのは、若干風向きが変わっていて、日本製鉄からするとこれが最後の行きやすいところなんで、『ちゃんとオプションまでありますよ』と、いうところまで見せて、完璧にこの案件をクロージングしたいという姿勢が見えますよね」
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