どこにいつまで住めばいい? 原発事故の「自主避難者」が抱える苦しみ

どこにいつまで住めばいい? 原発事故の「自主避難者」が抱える苦しみ

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、6月4日の放送に調査報道記者の日野行介が出演。「原発事故から14年、今も続く自主避難者の苦闘の理由」をテーマに、自主避難者と呼ばれる人々の現状について解説した。

日野行介「国が避難指示を出した地域から身を逃れた人は『強制避難者』。強制ではない、避難指示の範囲外から避難した人が、原発事故の『自己避難者』となります。避難指示の基準は何か。当初は原発がなんキロ、と距離でした。しばらくしてから40キロ離れた飯舘村の汚染が明らかになって。政府は事故が発生して1ヶ月後に、年間1ミリシーベルトという恒例の基準ではなく、緊急時だという理由で年間20ミリシーベルトを避難基準にした」

長野智子「はい」

日野「簡単にいえば20ミリシーベルトを超えていない地域から逃れた人が、後付けで『自主避難者』とされてしまった。1ミリにすると福島県の全域も入ってしまって。本来なら1ミリシーベルトしか根拠となる数字ではないけど、それではもたないから20ミリシーベルト、と。急場しのぎといっていい。ただ結局、急場しのぎだったけど急場しのぎのまま来てしまった、というのが自主避難者の話で」

長野「人数はどれぐらいいらっしゃるんですか?」

日野「ピーク時はどんどん戻っていく人もいたんです。実数は把握されていないけど10万人ぐらいいたのでは、と。仕事が辞められないお父さんを残して、お母さんが子供を連れて関東、新潟、山形などに逃れる『母子避難者』という存在が象徴的だといわれています」

長野「この自主避難者の方々がいま大変で、戦われていると」

日野「ちょうど1週間前、原発訴訟、自主避難者の訴訟の取材をするために東京地裁へ行ったんです。原発事故の自主避難者が福島県に対して損害賠償を求めている訴訟があって。『なんで?』という話です。ここの経緯が複雑で。もともと災害救助法というものがあります。地震や水害のあと、プレハブの仮設住宅ができるでしょう?」

長野「はい」

日野「あれをつくるとき、被災地の都道府県知事が責任者となって、国がその費用を補助しますよ、という法律に基づいていて。これも急場しのぎで、ほかに避難者に家を与える法律がない、ということで当時、災害救助法を所管していた厚労省が2011年4月でしたか、各地の自治体に、避難者に家を提供してください、と」

長野「はい」

日野「遠くに行くわけだから、プレハブの仮設住宅じゃなくていい。国家公務員住宅、公営住宅、マンションの空き部屋を借りて、自治体が無償で提供してください、と。そもそも国が、提供を求めた。ところが、いつまで、というのが災害救助法で決まっていない。プレハブの仮設住宅って耐久性がないから2年が目安とされているけど、法的に明文化されているわけじゃない。よく自然災害なんかで仮設住宅、いつ閉めるの、と話題になります」

長野「はい」

日野「相場感で2年みたいにいうけど、原発事故だといつになったら提供終了など、決まっていない。おまけに、仮設住宅ではなく『みなし仮設住宅』、借り上げた住宅のことです。耐久性が問題にならない。国は困るわけです、なぜかというと、この人たちを追い出したくても追い出す根拠がない」

長野「事故だって終わっていないし、修復していない」

日野「どうしようか、と福島県との間で延々と交渉する。東雲住宅など、全国各地にみなし仮設住宅はある。国の指示なのに、災害救助法で被災地の都道府県が責任者、となっているから、場所は県外なのに福島県知事が後付けで責任者、というかたちになっているんです」

「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時30分~5時、火曜~金曜午後3時30分~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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