イスラエルによるイランへの先制攻撃、もはや自衛権の乱用?

イスラエルによるイランへの先制攻撃、もはや自衛権の乱用?

Share

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、6月25日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演した。イスラエルとイランの停戦合意を受け、中東情勢の現状、これまでの経緯などを語った。

長野智子「イスラエルが単独でイランを攻撃して、そのあとアメリカが核施設を攻撃して、という一連のニュース。これを聞いたとき、どう思われましたか?」

小倉孝保「僕が特派員として中東を担当していたのは2000年から2005年なんですね。20年間ぐらい中東中心に見ていました。イランの核開発疑惑って2002年に発覚しているんです。当時からずっと、この問題はくすぶり続けた。いずれイスラエルが軍事行動を起こして叩き潰すんじゃないか、という人はけっこういた。でもそれが現実にできるのか」

長野「はい」

小倉「たとえば航空機でどう飛んでいくか、飛ぶならサウジ、ヨルダンの上空を飛べるのか、など。具体的なことになると難しいぞ、という見方が強かった。でも実際にそういうことが起こったわけじゃないですか。時代が変わったな、というのが第一印象でしたね」

長野「時代が変わった」

小倉「2000年代初めのころとは世界の姿が変わっている。特に2022年、ロシアがウクライナに侵攻した、それを国際社会が止められなかった。『あ、力のある者が弱い者に先制攻撃を仕掛けて侵攻、攻撃しても大したおとがめはなさそうだ』となったのでは、と。イスラエルにしてみればガザとの紛争でハマスを徹底的に攻撃したわけで。しかもレバノンにいるヒズボラをほぼ壊滅させて。シリアのアサド政権が崩壊して、ということで自分たち、イスラエルにとって直接の脅威はレベルが低くなっていた」

長野「はい」

小倉「これでいけるんだな、と思って現実的に攻撃したんだろうと。イスラエルを取り巻く情勢、先制攻撃をしても国際法違反だという批判をさほど浴びないんじゃないか、という大きな流れの中で、今回の問題は捉えるべきだと思います」

長野「そこで大国、民主主義国家のアメリカさえも予防攻撃というかね。連邦議会の承認もとらず。ほかの国の核施設を攻撃する。異常事態じゃないですか」

小倉「今朝の毎日新聞で大きな社説を載せていて。僕がきのう、非常に今回の件は禍根を残すよ、と書いたものです。第2次世界大戦の反省、もっといえば20世紀初めの大きな二度の戦争の反省から、人類、国際社会は揉め事を戦争で解決してはいけない、話し合いましょう、でも戦争を認めるなら2つだけに絞りますよ、というのを決めている」

長野「はい」

小倉「1つは自衛のための戦争。もう1つは国連の安全保障理事会の決議にのっとった、国際社会、国連が『この国危ない、やっていることがおかしい』と認めて、武力攻撃をしましょう。この2つしか認めない。80年間、基本はそれでやってきたわけじゃないですか。今回の問題、イスラエルは『自衛権だ』と主張している。国際法上の自衛権と考えると今、ロケット弾が撃ち込まれるかもしれないよ、というときにそこを叩く、というのは自衛権の範囲、と考える人もいます」

長野「はい」

小倉「でも今回のイスラエルのイラン攻撃については、まさにイランとアメリカが核交渉を15日にやりますよ、という話になっていたとき、急に行なったわけでしょう。どう考えてもイランがイスラエルを攻撃しよう、という状態になかった。それなのにやっている。そもそもイスラエルの攻撃が、自衛権の範囲を超えている、自衛権の乱用をしている、という気がします」

「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時30分~5時、火曜~金曜午後3時30分~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

Share

関連記事

この記事の番組情報


長野智子アップデート

長野智子アップデート

月 15:30~17:00 火~金 15:30~17:35 ニュースキャスター長野智子が文化放送に帰ってきます。 女子大生ブームの火付け役となった伝説の番組「…

NOW ON AIR
ページTOPへ