「参議院選挙スタート 過渡期を迎える街頭演説」
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その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
与野党双方が事実上の政権選択選挙と位置付ける参議院選挙が3日公示され、夏の戦いがスタートした。
最大の焦点は自民公明の与党が過半数を維持できるかどうかだ。そのための勝敗ラインは50議席となる。
選挙戦の幕開けとなる第一声、自民党と公明党、立憲民主党、日本維新の会は地方で声を上げた。
自民党と公明党が選択したのはともに兵庫県。
定数が3人になった2016年から自民、公明、日本維新の会の3党で議席を守ってきたが、今回は13人が立候補し激戦区となったためだ。
立憲民主党はコメの不適切発言で辞職した江藤前農林水産大臣の地元、宮崎県で声を上げた。
宮崎県選挙区は、自民の現職に参政、立憲、NHK党の新人が挑む構図となっている。稲が実る田んぼを背に演説した野田代表はこの地を選んだ理由について
「1人区でどれだけ議席を取れるかで勝負は決まる。宮崎からドミノ倒しで九州から日本を変えていく」と強調した。
日本維新の会は定番の地、大阪なんば高島屋前で支持を訴えた。定数4の大阪選挙区には、現職1人、新人18人の計19人が立候補。
2016年から擁立した2人の当選を続けてきたが、今回は新興政党の登場もあり、2議席死守には票割りに課題が残る。
一方、東京都内で声を上げたのは国民民主党、共産党、れいわ新選組、参政党、日本保守党、社民党の5党だ。
欠員1の補充を含む7議席をめぐり全国最多となる32人が立候補した。
新宿駅南口で第一声を上げたのは、れいわ新選組と社民党。場所だけでなく時間まで被ってしまい、社民党が30分繰り下げ事なきを得た。
場所被りしたのは国民民主党と日本保守党。9時40分頃から国民民主党が演説。10時30分頃から日本保守党と時間をすみ分けて行った。
同じ場所で、時間差で演説を行う場合、どちらの党の方が聴衆を集めていたか、その差が顕著にわかるため、党関係者は神経を使う。
共産党は新宿駅西口で第一声と最後のマイク収めを行うのは慣例となっていたが、工事中のため、昨年の衆議院選挙と同様、池袋駅前で行った。
党本部に近い新宿が定番の地になっていただけに、直前に行われた東京都議会議員選挙の第一声は新宿駅東南口で行ったが、
動員した人たちが集まりにくいという事情もあって、今回も池袋となったという。
参政党は銀座三越前。昨年の衆院選では大阪で第一声を上げたが、今回は東京選挙区での1議席獲得に熱が入るようだ。
前回の参院選の第一声に比べ、聴衆の集まりはどの政党も芳しくないようだ。都議選でも演説会場の人出が思わしくないという声が複数の政党から漏れていた。
暑さの影響も否めないが、1年前の東京都知事選挙の際には、平日の昼間でも人であふれていた会場がいくつもあっただけに、ある政党幹部は「うすら寒さを感じる」とこぼした。
インターネットで演説会の様子をライブ中継する政党も多く、熱中症になる危険を冒して演説会場に足を運ぶまでもないと考える有権者が増えてきても不思議ではない。
照り付ける太陽により、演説に必要な音響機材が熱を持ち、冷やさないと使えない事態になった政党もあった。
SNSでの選挙運動も今や常識となった今、街頭演説は曲がり角を迎えているのかもしれない。