トランプ大統領も手を出し注目。自分有利に選挙区を変えるゲリマンダー

トランプ大統領も手を出し注目。自分有利に選挙区を変えるゲリマンダー

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、8月27日の放送に元・日刊スポーツ編集局長の久保勇人が出演。トランプ大統領によって現在、アメリカで話題の手法「ゲリマンダー」について解説した。

長野智子「(トランプ大統領によるゲリマンダーについて)アメリカではたいへんな騒ぎですけど、日本でほとんど報じられていません」

久保勇人「日本の方には、あまりなじみのない言葉ですよね。ただアメリカにいると時々『ゲリマンダーやるんじゃない?』など、話の文脈で出てきます」

長野「サラマンダーという、トカゲみたいな伝説の怪物がもとですよね」

久保「そう。アメリカの選挙で、自分の党の候補者に有利となるよう、選挙区の区割りを変更する、というのがゲリマンダーです。1812年にマサチューセッツ州のゲリーという知事が自分の党に有利なように選挙区の区割りを変更して。そのとき変更した形が、地理的に見てサラマンダーのようだった。それで造語が生まれたと言われています」

長野「ゲリー知事とサラマンダーでゲリマンダー。要は自分の都合のいいように選挙区を変えることですね」

久保「トランプ氏が今回、どういうことを仕掛けているか。州知事も州議会も共和党が優勢なテキサス州。南部にある、アメリカの中でもとても大きな州です。23日に共和党が多数派を占める州議会の上院が、来年の中間選挙で争われる連邦下院選の区割り変更案を可決しました。テキサス州では下院が既にこの法案を通過していて、手続き上はこの共和党のアボット知事が署名すれば法案は成立します」

長野「はい」

久保「これによって民主党支持の多い、ヒスパニック系の方がたくさん住む地域が分断されるなどして、来年の中間選挙のテキサス州の連邦下院選で協和党が、議席が5つぐらい増えるような操作になっています。トランプさんはテキサス州の動きを受けて、連邦議会支配を維持するための絶好の機会が訪れている、と称賛しているんです」

長野「こんな勝手なことが、ね」

久保「州の人たちが『勝手に選挙区を変えられる』と思いますよね。日本でいうと何々県の国会議員の選挙区を変えていいよ、ということはできない。アメリカはできるんですね。連邦下院は全部で435議席あって。区割りは10年ごとの国勢調査に基づく人口比によって、まず各州に割り振られます。何々州は何議席、と。割り振られた議席を各州の議会が、自分のところで、議席を選挙区にどう割り振る、ということを決められるんです」

長野「はい」

久保「議会が可決して州知事が署名すれば、だいたい決まります。なぜ選挙区を変えることによって共和党、または民主党が有利になるか。長野さんもご存じでしょうけど、アメリカは人種や文化的、社会的背景の同じ人たちが同じエリアに住む傾向が強い。マンハッタンだと日本人街があり、コリアン街もあり、中華系のエリアもある。選挙区を巧みに切り分けることによって、州全体で共和党、あるいは民主党を支持する人が多いところを増やそう、ということができやすい、というところがある」

長野「そうかあ」

久保「ただ手続き上、知事と州議会の上下両院で同じ政党が優勢な州でないと難しい。いま全米で共和党が知事と州議会を握っているところがだいたい23州あります。民主党は15州ぐらい。テキサスは20年の国勢調査のあと21年に区割りを修正したばかりだった。いま連邦下院はテキサス州にだいたい38議席、割り振られていて。共和党が25議席、民主党が12議席、欠員1議席という現状です。ただ今回のゲリマンダーによって共和党は30議席に増えて、民主党は6、7議席ぐらいに減りそうだ、となるわけです」

「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時、文化放送(FM91.6MHz、 AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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