
「参院選総括巡り不穏な空気漂う自民党」
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文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
自民党は8月29日、総括委員会を開き参院選の総括報告書の素案を示したが、出席者から意見が相次ぎ、了承を見送った。
委員会のトップを務める森山幹事長は会合終了後、「いろんな議論をして、意見も賜った。それを整理し、9月2日にもういっぺん、委員会を開き成案を得て両院議員総会に臨みたい」と述べた。会合で出された意見の中身については「コメントを控える」と述べ、明かさなかった。
総括委員会が29日の了承を見送った背景には、党内にくすぶる石破おろしの動きがある。
総括案には、石破総理個人の責任は記載しない方向で調整されてきた。責任論に言及せずそのまま了承すれば、石破おろしや総裁選前倒しに声を上げる議員を刺激する可能性があるからだ。
また、31日には、総理官邸前で「石破やめるな」ではなく「石破やめろ」のデモが計画されていて、不穏な動きを封じたいという思惑も透けて見える。
森山幹事長ら、素案を取りまとめた執行部は、意見を踏まえて追加・修正するという。
ただ、幹部の一人は「大きな変更はないだろう」との見方を示していて、責任の所在があいまいなままの総括が2日に予定される両院議員総会に示されれば、総裁選前倒しに向けた動きが活発化する可能性がある。
党内では、総裁選前倒しをめぐる会合が日々、開催されているほか、石破政権の副大臣、政務官の一部からも総裁選前倒しを要求する声も上がり始めている。小林史明環境副大臣と神田潤一法務政務官は、辞任の可能性にも言及した。
旧安倍派の議員は今の状況について「嵐の前の静けさ」と表現した。
総括案が中途半端だと受け止められれば自民党内に吹き荒れる嵐は暴風雨となるかもしれない。
2007年に大敗した参議院選挙の総括では、「安倍総理(当時)が、年金記録漏れ問題の初動対応を誤り、深刻な不信感を招いた」「国民ではなく政治家の側に立っているようなイメージを持たれた」など、総理の責任にも踏み込んだ。今回の総括でそれを超える内容となるかどうかが焦点だ。