原発事故の避難計画、課題に厳しい声が集まる

原発事故の避難計画、課題に厳しい声が集まる

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、9月11日の放送に調査報道記者の日野行介が出演。原発事故の避難計画が抱える課題について解説した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「東日本大震災、福島第1原発事故から14年と半年となります。この間、原子力規制委員会の安全基準に合格した、あるいは避難計画が策定された原発が次々と再稼働しています。しかし昨年の能登半島地震では、どう考えても避難計画に問題、課題があるだろう、ということが明らかになりました。この課題、果たして解決されたのでしょうか」

長野智子「原発事故の屋内退避の指針改正案について各紙が朝刊で報じているんですけど、どの記事を読んでも何を言っているのかよくわかりません。皆さんもそうなのかなと」

日野行介「そのとおりだと思います。きのう原子力規制委員会の定例会合がありました。能登半島地震を受けたのかどうかというのも問題ですが、原発事故が起きたあとの屋内退避をどうするか、ということの指針の改定案が正式に決定されたんです」

長野「はい」

日野「まず避難計画とはなんぞや、というのを一言でいうと、原発事故が起きたら5キロ圏内の人は先に逃げて、その間、5~30キロ、UPZと呼ばれるところに住む人たちは屋内退避して、被曝を減らして。先に5キロ圏内の人を逃がしましょう、と。一応、二段階避難方式。本当にUPZの人たちを避難させようとしているのか、という疑問はありますが」

長野「いやあ。ねえ」

日野「これが原則になっている。でも能登半島地震で家がかなり壊れた。屋内退避ってできるの? というところから始まり、道路も寸断され、通信障害でモニタリングポストにデータが届かない、みたいな事態が起きて。どうするんだ、ということで規制委員会は、屋内退避のルールを検討する会議を立ち上げましたよ、といって去年の4月から始めたんです。そこで屋内退避を今後、こうします、と話し合って報告書を出して。それをもとにして、きのう、指針が改定されたと」

長野「はい」

日野「こういう指針の改定や大きな決定のとき規制委はパブリックコメントで意見を求めます。6月19日から1ヶ月間で、意見が103件かな。これもきのう公表されたんです。けっこう鋭いところが書かれている」

長野「はい」

日野「『屋内退避って具体的な措置は何もせず、適切な措置をしているかのように見せかけて国の不作為を正当化しているだけじゃないか』『最初から避難するのが、どうして5キロ圏内限定なんですか』など。あと今回、検討会議で屋内退避の継続の期間は3日間が目安になります、と言っていた。3日で危険があるかどうかなんてわかるはずないだろう、福島第1原発事故を見ていれば、と」

長野「もっともなものが多い。能登半島地震で、あれだけ屋内退避は難しいのでは、ということが起きた。それなのに検討委員会は屋内退避が有効だとしている、と」

日野「そうなんです。有効にしないとそもそも原発避難計画の二段階方式は成り立たないから、そこについては、あえて触れない。屋内退避、決まっていないことも多いから細部を詰めましょう、といって。大事なところの論点をズラして議論を始めていたわけです」

「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時、文化放送(FM91.6MHz、 AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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