
自民総裁選2025 総裁選候補の物価高対策は石破政権と同じ
9月23日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、自民党総裁選候補の物価高対策について意見を交わした。
彼らは石破さんを降ろして、石破さんと同じことを違う顔でやりたいんですよ
9月22日告示した自民党総裁選は物価高対策が大きな論点になる。消費税減税を前面に打ち出す候補は目立たないものの、メニューに所得税減税や給付付き税額控除、交付金が並んだ。
自民党は7月の参院選で1人2万円の現金給付を掲げ、消費税減税を見送って大敗した。党再生を託される新総裁は新しい物価高対策が必要になる。衆参両院で少数与党のなか、物価高対策は野党の結節点となり連立枠組みの拡大に向けた呼び水にもなる。
小泉農水大臣は9月22日の演説会で、「物価高で生活が苦しいという国民の切実な声に向き合う」と強調した。所得税の基礎控除を物価や賃金に連動させて引き上げる制度の改正に意欲を示している。
林官房長官は「実質賃金の年1%増を定着させる」と提起した。石破政権の下で進んだ賃上げの流れを継続すると訴えている。
小林元経済安全保障担当大臣は「物価や電気代の伸びに所得が追い付かない現実がある」と強調。短期の対策として、若者や現役世代を対象に所得税の定率減税を唱えた。
茂木前幹事長は、昨年の総裁選で公約した「増税ゼロの政策推進を堅持する」と表明。地方自治体が使い道を決める数兆円規模の特別交付金を創設する。
高市前経済安全保障担当大臣は、経済政策にほとんど時間は割かなかったものの、公約で物価高対策を意識している。所得税の減税、ガソリン減税に加えて、給付付き税額控除の制度設計を掲げている。
(寺島アナ)「こうした物価高対策を唱えていますが、田中さん、これはどうご覧になりますか?」
(田中氏)「全員の主張を見てみると、経済学的には“ほぼ同じ”だと言えます。野党が石破政権を意識して譲歩するのか。または財務省が認めても良いような範囲内の政策が各候補から出ていますよね。具体的には、所得税の減税っていうのは“年収の壁の引き上げ”ですよ。国民民主党が推していて、昨年は一部上がりましたが、それをさらに上げると」
(寺島アナ)「178万円にはまだいってませんからね」
(田中氏)「どのくらいまで上げるのか、っていう話になります。さらにガソリン減税。これは軽油を含めるのか、っていう議論も今石破政権でされているところです。あと給付付き税額控除。これも自公と立憲民主党の間で議論が始まっています。つまり今の石破政権がやっている政策を言っています。高市さんの発言に合わせていますが、他の候補の発言もそこに吸収できます」
田中氏は、各候補の主張について次のように述べた。
(田中氏)「高市さんは消費減税を選択肢として排除していない。総裁選は自民党のなかの話なので、今のところ国会議員で意見対立が激しいところは控えめにしている。でも本音はやることを排除していない、と色んなところで言っています。今の消費不足を解消する、物価高に負けない対策を高市さんは考えている。小林さんも“選択肢として検討はしている”と言っていますが、どうなんでしょうね? 彼は自民党税調のインナーと呼ばれている緊縮財政派の牙城の一員ですから。そのイメージを払拭することができるか? 彼の場合はより強い発言が求められます。他の人たち、茂木さんは“増税しませんよ”と言っていますが、言い換えれば“何もやりませんよ”ってことですよ。つまり隠れ石破政権の継続を言っているようなものです」
田中氏は、小泉農水大臣と林官房長官の経済政策の至らなさを指摘。
(田中氏)「林さんと小泉さんは“賃上げを目指す”とか言ってますが、そもそも賃上げというのは民間が決めることであって政府が決めることではありません。政府がやることができるのは、賃上げしやすい経済環境を目指すってことですよね? 賃上げが可能になる経済環境は、消費が向上するような物価に負けない消費が生み出される経済ですよね? そのために必要な政策をやらないといけませんが、小泉さんや林さんの回答はゼロですよ。石破政権はこないだの参議院選挙で、給付金政策は消費を盛り上げる政策としては不十分で、しかも予算の規模も緊縮発想であるところを厳しく批判されて敗退したのですが、凝りませんね。9月22日の出陣式、小泉さんと林さん合わせると147人、自民党の国会議員の半数近くになるわけです。これ懲りない人たちが自民党のなかにかなりいるんだな、と。実際、集まった人たちの石破政権に対する意見を見てみると、石破退陣を主張していた人たちが小泉さんや林さんのところに集まっているんです。彼らは石破さんを降ろして、石破さんと同じことを違う顔でやりたいんですよ。」
(寺島アナ)「顔だけ変えるんだ」
(田中氏)「顔を変えるだけを望んでいないんです。国民を舐めてもらっては困ります。こないだの選挙では“中身を変えてほしい”という意見が半数以上あったわけですよね? 自民党も焦ったわけじゃないですか。地盤が壊れ始めている、と。私の職場がある群馬県は保守の牙城ですけど、あやうく参政党に負けるところまでいったんですよ。あり得ないですよ。そういった危機感を共有していたんじゃないですか? ただお面を変えたいだけって、国民を舐めるのもいい加減にして欲しいです」
〈出典〉
〈自民総裁選2025〉物価高対策 立て直し | 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91485750T20C25A9EA2000/)
「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。