女性の権利を守るための「イスタンブール条約」にいま逆風が吹いている

女性の権利を守るための「イスタンブール条約」にいま逆風が吹いている

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、11月12日の放送に毎日新聞論説委員でノンフィクション作家の小倉孝保が出演。国際的に広がってきたが、いま逆風が吹いているという、「イスタンブール条約」について解説した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「いまから14年前、2011年にトルコのイスタンブールで署名され、2014年に発効したイスタンブール条約というものがあります。正式には女性に対する暴力、家庭内暴力の防止と撲滅に関する欧州評議会条約といいます。きょうは、このイスタンブール条約について小倉さんに解説してもらいましょう」

長野智子「そもそもどのような経緯で生まれたものですか?」

小倉孝保「第2次世界大戦直後にできたヨーロッパ(欧州)評議会という国際機構があります。ヨーロッパを中心に民主主義や人権を守っていこう、と。ホロコーストの反省からできた機構です」

長野「はい」

小倉「ここが2000年代ごろから非常に、女性に対する暴力を問題視して。条約で規制していこう、なくしていこう、といって運動を起こして。2011年にイスタンブールでの会議で条約にした。それがイスタンブール条約です。女性が歴史的に置かれてきた抑圧された立場、男女の不平等など、昔からの古い考え方があって暴力が起こる、ということから、古い考え方を脱して本当の男女平等を実現しましょう。そうでないと女性に対する暴力はなくなりませんよ、というところから始まった条約なんです」

長野「はい」

小倉「多くのヨーロッパの国がこれに加盟して。日本に対しても『入らないか?』という話はしています。日本もそうですけど、女性に対する暴力、ものすごく直接的なものならともかく、夫婦間のいざこざなんかはむしろ調停や民事的なもの、話し合いで解決したほうがいいんじゃないか、という意見もあるわけで。日本なんか法体系がそうなっていて、個人の問題に国が介入すべきじゃないのでは、と。でもイスタンブール条約はそんなことしていたら女性の権利を守れないよ、ということで強制的に国が介入して暴力を防ごう、と」

長野「はい」

小倉「イスタンブールで条約ができたとき、最初に批准したのがトルコなんです。そのあとヨーロッパの国が次々とやって。いま署名は45ヶ国プラスヨーロッパ連合。批准は38ヶ国プラスヨーロッパ連合。まずトルコが抜けたんです」

長野「抜けたんですね」

小倉「いまEUに入っている国でラトビアが抜けそうになっている。数日前かな、ニュースになって。これまで加盟国が増えてきて、世界的に女性への暴力、不平等をなくそう、ということで広がってきたのに、逆風が吹いていると」

このあとはなぜ逆風が吹いているか、なぜ日本は批准しないのかなどの解説が展開した。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。

「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜午後3時~5時、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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