イギリスで住民が警戒する、中国の「スーパー大使館」計画
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、11月26日の放送に毎日新聞論説委員でノンフィクション作家の小倉孝保が出演。イギリス・ロンドンで進み、住民が警戒しているという、中国の大規模な大使館の建設計画について解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「ロンドン中心部で中国による、とにかく立派で大きな大使館の建設計画が進んでいます。それに対して住民らが警戒を強めていると。もともと非常に格式、風格のある建物で、ロンドンの古い造幣局を購入したものです」
長野智子「どうした経緯でこうなっているんですか?」
小倉孝保「日本がいま中国との関係、難しくなっているじゃないですか。ヨーロッパもけっこう、中国とは難しい関係を抱えているんです。台湾の前の総統、蔡英文さんがドイツを訪問して中国がそれに抗議してね。現在の副総統がこの間、ブリュッセルに行って。台湾の人がヨーロッパとの外交関係を良くしよう、としています。イギリスはどうか。僕がきょう、お話をしようと思ったのは、イギリスと中国の関係が難しくなっている、ということ」
長野「ええ」
小倉「イギリスと中国は19世紀ごろから様々な問題を抱えながら深い付き合いをしてきました。日本人にもなじみがある、1840年からのアヘン戦争で香港を割譲して。イギリスが香港を支配すると。中国は非常に屈辱的な思いをしていたわけです。でも第2次世界大戦では中国とイギリスが一緒になってドイツや日本と戦うと。中国は当時、国民党政権で、いまの共産党政権とは違うというものの、前の大戦で一緒に戦った仲でもある」
長野「はい」
小倉「そういう意味で、親しくなったり離れたり対立したりした歴史を200年ぐらい繰り返している。イギリスから日本が学ぶことはすごく多いと思います。民主的な国家が権利主義国家とどう向き合ってきたのか、ということがわかる気がします。今回、『スーパー大使館』(『メガ大使館』とも)といってイギリスのメディアは大騒ぎしているんですよ」
長野「『スーパー』ってついている……」
小倉「なぜかといえば、すごく大きいから、とかね。もしなったら、ヨーロッパで最も大きな中国大使館らしいんですよ。でも調べてみたら、そこまで騒ぐ話か、という気もして。敷地が2万平米というけど、たとえば甲子園球場のグラウンドの部分だけで1万3000平米。東京のアメリカ大使館はどれぐらいあると思います? 調べたら1万8000平米」
長野「そんなにあるんですか」
小倉「あるらしいんです。バグダッドのアメリカ大使館はものすごく大きい。そうでないと攻撃もされる。42万平米なんです。だから2万平米がそこまで『スーパー』と騒ぐほどではないと思う。でもイギリス人からすれば、あの大きくなった中国が、前の造幣局をドーンと400億で購入して。そこを大使館として使う。ロンドンシティのすぐ隣なんです」
長野「ああ。そうか」
小倉「そういう敷地のところにこんなのができる、ということで大騒ぎになっている」
長野「写真があって。造幣局跡地のところに『STOP CHINA』というパネルみたいなものを掲げている人がいますね」
小倉「地元の住民がすごく反対している。反対している理由は何か、ということです。すごく大きな理由は、ここがスパイの巣窟みたいになること。香港を返還するとき、もしくは最近の香港のゴタゴタでイギリスにたくさんの香港の人が逃げてくるなどしているわけ。その人たちの監視や、そういうことに使われるんじゃないか、とイギリス人が警戒している。香港に昔いた人なんかが中心になって反対しているわけです」
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