「多党制」という言葉はなぜ使われるのか
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、12月1日の放送に政治ジャーナリストの角谷浩一が出演。いまの日本の政界を表す「多党制」とは何か、なぜ使われるのか、解説した。
角谷浩一「政党がたくさん増えてくると『多党制』といわれる。変な言葉だとは思います。自民党や立憲民主党に言わせれば、派閥にも満たない、20人よりも少ない政党であって。それがワイワイガヤガヤやっている。昔は『与野党』というと、与党に反対する人たちが野党だと思われたけど、いまは賛成する野党もたくさんある。『与野党』より『多党制』といったほうがしっくりくる時代だから、こういう言葉があるのかな、と」
長野智子「ヨーロッパでこの傾向が出てきて、多党制みたいに訳されたのかな」
角谷「ヨーロッパの多党制はイタリアなんかがわかりやすいけど、小さい政党がいっぱいあるから、連立しなければ。連立政権がすぐできるんですね。その中でも外でもケンカする。よく言えば切磋琢磨するわけです。日本は『絶対にイヤだ』『あいつとは組みたくない』というところばっかりで(笑)。まとまれば政権交代はありうるけど、イヤだと」
長野「はい」
角谷「自民党ができて、社会党の右派と左派も一緒になって、日本社会党がある。この2つの大きな軸の中で社会党の下にはほかの野党がいて、というのが55年体制だった。細川内閣ができたとき、その体制は一応、終わるんですね。そのあとの体制もすぐ崩壊して、新進党のあと党が割れて、小さな党が次々とできたころが、ひとつ多党制になった時期です」
長野「はい」
角谷「でも志としては反自民、非自民みたいな政党は多かった。まとまりやすくて、それが民主党になっていった、という歴史があります。その間に選挙制度が変わって、小選挙区比例代表制が、と。これができたのは与野党ともに選挙制度についていろいろな議論があった。その中でも小選挙区比例代表で、比例代表の人たちが小選挙区で落選したのに比例で復活して、ゾンビだとか言う人がいますけど、こうしないと少数政党がなくなってしまう」
長野「はい」
角谷「すると小さな民意を拾わない政治体制になる、それは良くない、ということで当時はこれが重要、というかたちが大勢だった。でもいまの議論だと、負けたんだから消滅するのはしょうがない、有権者が受け入れなかったんだから。勝てば官軍、と。ただ政治ってそんなにはっきりとした紋切り型ではなく、複雑な要素があります」
長野「はい」
角谷「たとえば比例代表で当選して何か問題が起きた。その段階でその人が離党しました。でもこれは私たちの党名で当選したんだから、あなたが議席を持っているのはおかしい。返上しなさい、と言ってもしませんよね。無所属で続けるなど。おかしい、この党の名で入れたのに、と。そう思われるかもしれないけど、有権者の誰が入れたかわからなくても、選挙という民意を経ているので、どこにいようが議席の返上は本人の判断、ということになる。進退は本人次第、と言われる議員にも、自ら辞めろ、ということは言えないんですね」
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