【12月1日】今月のシネマログ

【12月1日】今月のシネマログ

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上地    上地由真のワンダーユーマン! 今週もよろしくお願いします。
今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。
映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんとお届けしていきます。よろしくお願いします。

荒木・東  よろしくお願いします。

上地    シネマログ、もう年内最後の放送ですよ~。

東     早~!もう12月かぁ。

荒木    12月1日、今日はね、それにも相応しい映画の日ですよね。

東     おっ、そうだ そうだ。

上地    12月1日、映画の日?

荒木    映画の日。ところで2人は、日本人が映画を年に1回以上観る人、何パーセントの人が年に1本以上映画を観るのか?

東     少ないんですよね、これね。

上地    映画館に行くってこと?

荒木    映画館に行く方です。

東     10パーセントぐらい?

荒木    そんなに低くはないです。

東     あっ、そうなんですか?

荒木    40パーセントです。

上地    えーっ!意外・・・

東     私、もうちょっと少ないイメージでした。

荒木    40パーセントのうち、2本以上観るのがその半分。3本以上観るのがその半分。つまり60パーセントの人が映画館に行っていないんですよ。といわれています。

東     なるほどね、そっか・・・うんうん。

荒木    だからね、そういう映画業界に関わる由真さんとか東さんもね、やっぱり映画の日ということなので「みなさん映画に行きましょうね!」というふうに言わないと。

上地    映画館にね!

荒木    お客様さんをね、いっぱい引っ張ってこないといけないですね。

東     はい。でもね、実際に映画館で観た映画は体験になってね、一生の思い出になったりするのでね。

荒木    そうですね。見るというだけじゃなくて、「映画体験」ですよね。今年もね、そういう映画がいっぱいあったと思いますが、あとでね、また。

上地    では、12月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみんが「これは観てほしい!」と思った注目作をピックアップしました。そして今日は年内最後の「シネマログ」ということで後半は映画業界の2025年を振り返ります。
荒木さん、解説をよろしくお願いします。
では、最後は3人それぞれの今年のベスト映画も紹介したいと思います。それではまず
さゆみんの方からおすすめ作品をお願いします。

東     私がご紹介するのは、12月12日から公開されるジャッキー・チェン主演の映画『シャドウズ・エッジ』です。こんなお話です。
舞台はネオン煌めくマカオ。華やかな街の裏で正体不明のサイバー犯罪集団が大胆な犯行を繰り返しています。警察は手詰まりになっていて、最後の切り札として呼び出されたのが、かつて追跡の神として呼ばれていた元刑事。
ジャッキー・チェンが演じています。すでに現役を退いていたものの若き刑事チームと再びタッグを組んで、最新テクノロジーと昔ながらの捜査術を融合させて、犯罪集団の影を追い詰めていく、そんなお話です。
主演はアクション界のレジェンド、ジャッキー・チェン、元マカオ警察のスペシャリストとして若手刑事と共に、巨大サイバー犯罪組織に挑みます。
この作品なんですけど、今年のクリスマス映画では、私、間違いない、っていう体感の面白さでした。
巧みな変装、高度なサイバー技術、仕掛けられた罠、もうなんか体感、ここらへん、『オーシャンズ11』っぽい軽やかさがあって、盗みのテクニックがもはやサーカス芸の領域でございました。ジャッキー・チェンを起点に、身体能力の高い巧みなアクションが次々と展開していくんですけど、そこに疑似家族的なチームの関係性も描かれていて、その疑似家族っぽい要素が、正義にも悪にも転びうる危うい魅力みたいなものを生んでいるのも、また非常に興味深くて。もう本当にね、これもジェットコースターに乗ったような体感で観られるタイプのアクション映画だったなと思うんですけども、荒木さんはご覧になりました?

荒木    はい、もちろん観ました。ジャッキー・チェン、軽く70を越しているんですけども・・・

上地・東  あっ、そうなんだ・・・

荒木    うん。まあメイクしていると言っても、とても70歳越しているとは思えない。彼はね、『酔拳』と作品で、コメディとカンフーを融合した独自スタイルで大スターになった人。もちろんハリウッドにも進出しましたよね。あれは『ラッシュアワー』でしたかな?ということで今回、往年のアクション、全開しているんです。
一度ね、今年だったかな?ちょっと引退してね、『ベスト・キッド:レジェンズ』では、師匠的な役割で主人公をバックアップするという立場になったのですが、この映画だとまた完全に復活していますね。

東     ほぼ動いていて、ほぼ覚醒している感じがしましたよね。

荒木     本当、覚醒ですよね。お相手が、レオン・カーフェイというですね、こ
れも有名な『愛人 ラマン』とかに若い時に出てた、非常にハンサムな、というかイケメンな・・・

東     かっこよかった~。

荒木    この人と、アクションをやるわけなんですよ。この人は67歳。2人合わせて140歳。

上地    すごいね~!

荒木    物はぶっ壊すわ、上から落ちるわ、死ぬんじゃないかと思うぐらい。

上地    身体、心配になりますね。

荒木    もう本当にね、すごい衰えのなさを見せてもらったんですけども、見ていてかわいそうになりましたよ。

上地    かわいそうになったの?

荒木    そりゃ。だって私と同じ世代ですよ。ほぼ。終活世代のおじいちゃんがふたりで組んずほぐれつ、あれ15分ぐらいやっているのかな?動きハンパじゃないですね。
まあいわゆる香港映画をルーツにもつアクションですよね。そこにさっき東さんが言ったような、ちょっとスタイリッシュなそれこそITとかね、いろんなゲーム的な要素がありましたよね。

東     そうですよね~。少しずつ敵を倒していく感じといいますか。あとそのレオン・カーフェイとジャッキー・チェンが20年ぶりの共演だったという話もうかがって、そういうのもなんか、こう頑張り続けている、この業界で。またこういうトップオブトップみたいな形で再会するんだな、っていうところもエモいなと思いつつ。

荒木    そういう意味では家族的要素も入っていたし、あとオールドと最新の対比、徹底的な監視社会でカメラがすべて用意されていて全部操作もセンターがあってそこから指示飛ばすわけですよね。
『シャドウズ・エッジ』・・・もうちょっと日本語タイトルが面白そうなものだと良かったんじゃないかと思いますけど。これ、拾い物ですよ、この映画は。

東     ぜひクリスマスはね、映画館でスカッとしてほしいなと、今年は願いを込めてこの映画を紹介しました。
私がご紹介したのは12月12日から公開の『シャドウズ・エッジ』でした。



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上地    続いて紹介するのは私のいちおし作品、12月5日公開の映画『殺し屋のプロット』です。この作品はですね、監督・主演・製作を務めたのはあのバットマンシリーズでお馴染みの俳優マイケル・キートンです。彼がキャリアの集大成として挑んだのが、病気でどんどん記憶を失っていく老いた殺し屋ジョン・ノックスでした。
ノックスは博士号を持つ異色の経歴の持ち主の殺し屋で、これまで犯行現場に一切痕跡を残さず完璧に姿を消してきました、まさに伝説の殺し屋。
ところがある日、急激に記憶が失われていくヤコブ病を発症し医師から、数週間ですべてを忘れてしまう、と言われるんですね。この病気を機に殺し屋の引退を決めたノックスだったのですが、その矢先、長年絶縁していた息子マイルズが訪ねてきて「人を殺してしまった」という衝撃の告白をします。
ノックスは息子を守るために、人生最後の完全犯罪を計画します。その一方でノックスの病状は急激に悪化。自分で立てた計画でさえ少しずつ思い出せなくなっていきます。
追い詰められたノックスが頼ったのは殺し屋としての師匠、アル・パチーノ演じるゼイヴィアでした。彼の力を借りながら、ノックスは残された記憶を辿り、分が描いたプロットと向き合っていきます。果たしてノックスのプロットは最後にどんな結末を迎えるのか・・・最後まで本当に息を吞む展開が続くサスペンスドラマです。
・・・記憶がどんどんなくなっていく中で、この最後の任務を全うしようとする姿はかっこよくもあり、なんかちょっと切ないなっていうふうな気持ちになりました。さゆみん、どうでしたか?

東     私、マイケル・キートンすごく好きなんですけど、なんかマイケル・キートン演じる主人公の記憶がこぼれ落ちていく感じが本当にもう繊細で、怖いほどリアルだなと思いました。 表情の中にもふとした空白とか、なんか説明に言葉が途切れちゃう感じとか、体が小さく揺れたりとか、この人、今、記憶を失っているんじゃない?と本当に思わせてしまうようなリアルなお芝居だったなと思いましたね。

荒木    マイケル・キートン。監督・主演・製作、三役やっているんですよね。
監督としては2作目で。この人は『バットマン』で有名になった人で他にも『ザ・キラー』だとか、あとは『バードマン』あるいは『無知がもたらす予期せぬ奇跡』なんかでね、
主演をされていますけど。これもう彼にとってこの映画、キャリア集大成ともいえる作品ですよね。記憶を失いつつある殺し屋っていう設定はこれまでもあるんですよ。例えばニコラス・ケイジとか、リーアム・ニーソンとかね。
厄介な関係ですよね、痴呆と殺し屋っていうのはね。

東     忘れていくのに、ミッションをしなきゃいけないって、すごい状況ですよね。

荒木    そういうことですよね。一番まずい状況ですよね。アルツハイマーのさらに上をいく病気なんですよね、今回の場合は。

東     ヤコブ病っていうやつですよね。

荒木    そう、ヤコブ病。クロイツフェルト・ヤコブ病って、急速に記憶が失われていく中で、さっきの目の演技だとかね、体の演技。素晴らしかったと思います。彼は監督としてね、殺し屋映画を撮るのではなくて人間関係、特に家族と、親と子の関係を描きたかったというふうに言っているわけですね。ただの殺し合いじゃなくて。まあ本当に複雑に絡み合うプロットの中で上手く絡み合っていますよね、人間関係という意味で。
本当に短い時間で撮ったらしいんですよ、25日しかかからなかったらしい。

上地・東  え~っ!!

東     すごい。そうなんだ・・・

上地    すごい短期間。

荒木    うん。その中で撮ったらしいんですけども、だけれども、自分が監督をやることによって自分の役者としての素質も考えながら撮っていて、とっても上手くできた、と言っていますよね。終活の物語としてもこれはもう本当に味がありますよね。

上地    私、上地由真がご紹介したのは12月5日公開の映画『殺し屋のプロット』でした。



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この後は 映画業界の2025年を振り返っていきましょう!
今年も本当に多くの話題作がありましたが、まずは荒木さん、今年の映画シーンはどんな一年でしたか?

荒木    今年はですね、日本の映画界にとっては歴史的な一年になりそうなんですよ。

上地    歴史的?!

荒木    うん。今年の日本の総収入、つまりお金を出して映画館に行って映画を観たというのは、業界規模ですよね、だいたいいくらぐらいのもんでしょう?っていうクイズを出します。

上地・東  はい。

荒木    ①約250億円前後、②2500億円前後、③5000億円前後、④2兆5000億円前後。

東     これは・・・(笑)いいですか、私、答えて?

荒木    はい。

東     ②です。

荒木    ②ですね。今まではね、2019年の過去最高の売り上げで、2612億円なんですね。たぶんこれを上回るだろう、と。だから2700から2800ぐらいいくのかどうか、と。

東     いや~、嬉しいね~。

荒木    2500~2600億円という、業界規模ね、まあ映画収入。この売り上げはどの業界と同じでしょう?だいたい規模が。というのが次の問題です。

上地・東  はい。

荒木    ①ネイルサロン、②納豆業界、③テレビ業界、④トヨタ自動車。

東     私、ここは納豆でいこうかな。わからない(笑)

荒木    由真さんは?

上地    じゃあ・・・自動車?

荒木    トヨタ自動車?

上地    トヨタ自動車。

荒木    トヨタ自動車は1社で45兆円ですよ。

上地・東  あはははは!!

上地    そうだよね(笑)

荒木    ちなみにネイルサロン業界というのは、業界で1500億ぐらい。テレビ業界は2兆3000万みたいですね。

上地    えっ、じゃあ、まさかの・・・?

東     まさかの?!

荒木    納豆業界と同じ。全国の納豆と同じぐらいの売り上げ。

上地・東  え~っ!!

荒木    そんなもんなんですよ。業界規模は・・・ 日本の映画界にとって歴史的な一年になったというのですが、これ2つあります。ひとつはアニメ。由真さんも観たでしょ?

上地    コナン。

荒木    『鬼滅の刃』と『名探偵コナン』です。

上地    さゆみんと行きましたよ。

東     ね~!

荒木    コナンは今年『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』150億ということで、軽く150億を突破したんですよね。もう一方の・・・

上地・東  『鬼滅の刃』?

荒木    はい。

東     今、どのくらいなんだろう?

荒木    今ね、この時点で400億。

上地・東  すごーい!!

東     これ、無限列車が420億ぐらいですよね、たしか?

荒木    そうですね、408億でしたから・・・

東     あ、じゃあ超しちゃう?

荒木    超しちゃいますよね。今、ほら海外でもすごいヒットしていますし、世界5位ぐらいになるんじゃないかな?

上地    私、行きたいと思いながらまだ行けていないんだよね~。

東     えっ、そうなんだ?!じゃあもう一回行こう、私、もう一回行きたいから。
鬼滅観ているけど!行きましょう、行きましょう。

荒木    これね、なんでこれだけヒットしたかというと、これSNSが原因ですね。
若い人たちに対してのSNS戦略。それと行くたびにおまけがつくんですよね。

東     結構そのおまけがね、変わっていたり、タイミングによって。

荒木    おまけが全部欲しいから観に行くっていう人とかも、観客動員数を大きく伸ばす要因になっていますよね。

東     実際、何回観てもね、面白い作品だと思うんですけどね、本当に。

荒木    もう一個、要因があります。これは実写映画の方ですけど・・・

東     『国宝』!

荒木    そうですね。

東     なんだろうね、これ、歴史を変えていますよね。今もまさに『国宝』を観たら納得の素晴らしさなんですけど。『国宝』こんな作品になっていくなんて、試写室で観た時、すごいとは思ったけど・・・

上地    ね、ふたりで観たよね。

東     観たよね、由真さんと隣同士で観たんですけど。ね~、時代を代表していますもんね。

荒木    あとでね、そのあたりもお話しようと思うんですけど。
さて 洋画ですけれども、今年は『ミッションインポッシブル』とか『ジュラシックワールド』シリーズがあったんですけれども。まあヒットはしているんですけれども、邦画の大ヒットの前に洋画の話題はかすみがちですよね。そういう意味では、圧倒的に洋画が今年は振るわなかったというよりも、日本映画が振るい過ぎということですよね。これはね、洋画が2020年頃、ハリウッドでストライキだとか、それが今ここで波にきているんですよね。日本だけじゃなくて、世界市場でちょっとやっぱりハリウッドが陰りを見せているので、まあ日本の映画が今、本当にアニメがもちろん一番の推進力なんですけども、実写にもだんだん希望が出てきているので、そういう意味で、日本の映画界もまたどんどんどんどん復活してきているんじゃないかなというふうに思います。

東     未来は明るい!

荒木・上地   はい。

荒木    2025年の映画業界をちょっと振り返ってみました。

上地    では、ここからは私たち3人それぞれの今年のベスト映画を発表していきましょう!まずはさゆみんからお願いします。

東     もう~、こんなに悩むの、なかなかないですよ、ベスト映画ってね~。私はこれを選びました。『教皇選挙』!
はい、選びましたね。あの世界14億人の人口がいるといわれるカトリックのトップを決めるコンクラーベの内情を暴露していくという作品なんですけども、本当に人間ドラマと政治サスペンスのど真ん中にあるような映画でものすごく私の印象に残っています。
カトリックの内部という、ちょっと身構えてしまうようなテーマを扱っているんですけど、物語の重さとスリルのテンポの刻み方が本当に絶妙で重圧感もあるんですけど、観客を絶対に置いていかない賢いのにちゃんと温度がある作品で、本当に、見どころばかりでしたね。レイフ・ファインズも素晴らしかったです。今年の流行語とかにもね、「教皇選挙」選ばれているくらいね。

上地    うん、入っています。

荒木    ちょうど今年、教皇選挙が行われましたからね。

東     そう。実話なんじゃないの?みたいに言われながらね、みなさん観に行っていましたよね。

荒木    ミステリーとしての完成度もすごかったです。ミステリー度が強すぎてアカデミー賞には外れた、なんていう声もあるんですけども、本当に『教皇選挙』、聖職者も人間である、というね。

東     そうなんですよね~。

荒木    当然のことを思い知らされましたよね。それからやっぱり世界の断面図、つまり、何ていうのかな・・・

東     縮図みたいになっているところもありますよね。

荒木    リベラルと保守の対決とかね。本当に人間っぽい、状況がよく表されていましたよね。人間の本質を炙り出すといってもいい映画でした、『教皇選挙』ね。

東     はい。私は『教皇選挙』やっぱり推したいですね。まだ観ていない方もぜひチェックしていただきたいです。

上地    私はですね・・・

東     何、選ぶんだ?

上地    印象に残っている映画は『異端者の家』!

荒木・東  おお~!

上地    私たちの大好きなイケオジなヒュー・グラントさんが、あの甘いマスクを捨てて悪役を務めた作品ですよ。

東     本当、しばらくトラウマになるくらい、ヒュー・グラント見られなくなるぐらい怪演がね、すごかった。

上地    不況のために訪れた家で、あの2人のシスターが軟禁されるという。それで軟禁していたのが、ヒュー・グラント演じるおじさんね。もうあの笑顔が怖かったよね、ずっと最後まで。

荒木    笑顔が怖い人って本当怖いですよね。佐藤二朗さんなんかも・・・

上地    あ~!

東     今も話題の『爆弾』でもね。笑うシーン、多いですね。たしかに。

荒木    『爆弾』でも怖いでしょ、イケオジ代表、日本の。

上地    誰?荒木さんが?

荒木    私の笑顔。

上地    荒木さん、ある意味怖いよ(笑)

東     あっはははは!

上地    『異端者の家』これが私、2025年、面白かったなと思いました。荒木さんは?

荒木    私はですね、もう『国宝』なんですけども、『国宝』はねおふたりも観に行っていただいたんですよね。どういう感想でした?観に行った時は。

上地    脳を使い過ぎて、終わった後にミスドに行きました。

東     糖分を欲して。その後にね、試写室から一駅歩いたんですけど、ほぼしゃべれなかったよね。こういう体験だったって想像していなかったので。

荒木    まず、これ、前にも言ったけど原作を読んだ時、スケールが大き過ぎてこれ映画にならないだろうと思っていました。
歌舞伎ということもあってね、非常に複雑で撮るのは無理だろうな、と。アニメなんかにしたらいいんだけど、それはちょっとね、テイストを損なうし、と思ったんですけど。
とにかく原作が大きな葉っぱがいっぱいある巨木みたいなもので、それをですね、鋭いなたでバッサバッサ切ってですね、ちょっとダイジェスト感はあるんですけども、エッセンスを損なわずに残しているという演出にまずびっくりしました。脚本ね、監督に言わせると、骨髄をちゃんと残した切り方をしましたよ、と言うんですが、まさに骨髄が味わえましたよね。  それから役者さんがすごかった。鬼気迫るなんていうレベルじゃなくてですね、今、現在生きている俳優の中で最高のレベルでしたよね、横浜(流星)、吉沢(亮)は。そういうふうに評価せざるを得ない。あとね、技術的にはCGをとっても使っているんですよね。たぶん気がつかない人も多いんですけども、客席だとか、あと眼の光、それから着物の刺繡。

上地・東  あっ、そうなの?!

荒木    そうなんですよ。きちんと見えるように描いているんですよね、CGで雪も。そういう細かいことに目を付けて工夫をしたということも、見えない努力も重ねているんだな、というふうに思いました。まあね、私も年間年間350本ほど何十本、新作を観るんですけど、いつもだいたい観賞態度というのはあまりこう、なんていうんですか、感情を入れないで観ようと、分析的に観ようと思っているんですね。だけど年に何本か、そういうのがどっか行っちゃう時があるんですよ。

上地    入り込んじゃう?

荒木    入り込んで。もう感情のままにね。それはまあ、ちょっと私たちの商売や東さんたちみたいだと、ちょっといけないことかもしれない。だけどね、この映画はやっぱりそうでしたよね。もうとにかく、さっき言った映像体験というかね、体験したということで、もう本当にそこで身を浸したというか、取り込まれたというか、そういう映画でした『国宝』。

東     スクリーンで観る価値って、こういうこと。あの美しさを大画面で触れているだけで、どこか浄化されるような感じでしたよね。

荒木    そうでしたよね。

上地    こうして並べてみると、本当に今年の映画は豊作でしたね。

荒木    そうですね。また来年も楽しみですけどね。

上地    はい。映画評論家の荒木さん、そして映画ソムリエの東紗友美さん、本日はありがとうございました。

荒木・東  ありがとうございました。

上地    来年も引き続きよろしくお願いいたします。

東     お願いしまーす!

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上地由真のワンダーユーマン

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月 21:30~22:00

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上地由真がメインパーソナリティを務め、アシスタントとして、山田みきとしアナウンサーが進行役を務めます。 番組では毎週テーマを設け、“由真的”テイストで進行。音…

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