イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカのトランプ大統領に恩赦支援を要請。なぜそうなる
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、12月10日の放送に毎日新聞論説委員でノンフィクション作家の小倉孝保が出演。イスラエル国内で罪に問われているネタニヤフ首相が、アメリカのトランプ大統領に恩赦支援を求めた、というニュースについて解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「イスラエルのネタニヤフ首相は同国内で収賄や背任の罪に問われています。今月1日、アメリカのトランプ大統領との電話会談で、恩赦に向けて支援を要請したと。アメリカのニュースサイト・アクシオス(AXIOS)が伝えています。トランプ大統領は先月、イスラエルのヘルツォグ大統領に書簡を送りまして。ネタニヤフ首相の裁判は政治的な法廷闘争なんだ、と恩赦を求めている、といわれます」
長野智子「そもそもネタニヤフ首相にかけられている収賄、背任の疑いとはどういうものですか?」
小倉孝保「起訴された罪状は3つあるようなんですね。たとえばネタニヤフ夫妻がハリウッドの大物プロデューサーとオーストラリアの実業家から70万シェケル、3000万円ぐらいらしいけど、贈り物を受け取った。またイスラエルの新聞社オーナーと、ライバル紙を成長させないために法律を制定すると」
長野「ええ?」
小倉「仲の良かったイスラエルの新聞社に、その代わり自分に良いような報道をしてくれ、とか。イスラエルの大手通信会社に、18億シェケルというから相当のお金でしょうけど、規制上の便宜を図る。何かの規制を解除するから、それだけの利益が会社に入る、ということでしょう。その見返りに会長が管理するニュースサイトで、自分たちに好意的な報道をしてくれ、ということを積み重ねていたらしくて」
長野「ひどいな」
小倉「2015年ごろから警察が捜査に入って。2019年に起訴、2020年に初公判が開かれています。現職首相の起訴はイスラエル史上初ということで大騒ぎしている。2020年、コロナ禍当時でした。週2、3日、ネタニヤフ氏は裁判に出ながら首相の職務を継続していた」
長野「贈賄、詐欺、背任ということですね」
小倉「有罪になるかどうかは誰にもわからないと思うけど、検察側としては絶対の自信を持って起訴している。現職の首相なんだから中途半端な証拠では動かない。有罪になる確率は高いとみるのが普通だけど、ここにきてネタニヤフさんが自分を恩赦にしてくれ、と」
長野「はい」
小倉「自身でも(イスラエルのヘルツォグ)大統領にお願いしたし、トランプさんに『悪いけど、俺の恩赦、うちの大統領に言ってくれんか』と言って。トランプさんはイスラエルの国会で今年、演説したときもこのことに触れていて。これは政治的な起訴だからと恩赦を求めるようなことを言った。ヘルツォグ大統領にも手紙を書いて、恩赦にしてくれ、と。これって国家の主権の侵害でしょう」
長野「本当ですね」
小倉「他国の裁判の手続きについて、恩赦にして、と。しかも恩赦って普通、有罪になったあとに『お願いします』と言う。これはまだ有罪になっていないんですよ」
長野「本人的にも、これは相当ヤバいと思って、とりあえず言い出した?」
小倉「そうでなければね。俺は絶対に無罪だ、となったら恩赦の必要はない。戦って無罪を勝ち取ればいいんだから。恩赦を要求する時点で、自分に悪いところがあったのかな、やられてしまう、と思った。そういうことでしょう」
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