「大納会」に高市首相出席 積極財政によって好循環は生まれるのか?
12月30日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、「年内最後の取引となる大納会や高市政権の経済政策」について意見を交わした。
これはデフレ大好きな人たちに、揚げ足をとる隙を与えるんじゃないかな?
高市早苗首相は12月30日、東京証券取引所の年内最後の取引を締めくくる大納会に出席する。首相が掲げる「責任ある積極財政」のもと、経済を強くする姿勢を強調する。現職首相が大納会に出席するのは2022年の岸田文雄元首相以来で3年ぶりとなる。
10月に日経平均株価は5万円を突破し、高市政権の政策や支持率の高さなどから最高値を更新し続けた。
「この動きですが、田中さん、これはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「株に関して言えば、AI関連であるとかテック企業の株高が、世界中の株高を牽引したわけですよね。特にそれが目立ったのがアメリカやヨーロッパ。その波に、今年に入ってようやく日本も追いついてきた。言い換えると、日本経済が先進国並みの水準に徐々に戻りつつあると見ています」(田中氏)
「はい」(寺島アナ)
「他方で、株が大きく上下動しがちになっています。というのも、AI関連であるとか半導体メーカーなどの一部の産業によって牽引されている裏返しで、非常に上げ下げの激しい相場になっています。株が一日で1000円とか500円とか下がっちゃうと、“高市政権の財政懸念だ”とか言って批判する人たちもいるわけです。株が上がると“AI企業の業績が良い”となっちゃって、日本のメディアのいいネタにされていますよね。そして、高市政権が打ち出している“責任ある積極財政”について、“責任ある”っていう部分は取っていいと思いますけどね。財政政策はどの政権も責任あってやってるわけですから」(田中氏)
「そうですよね」(寺島アナ)
「今の日本は“積極財政政策”が必要なタイミングだと思います。きちんとやれば日本経済が安定的な経路に乗っていくと思います。特に重要なのは、インフレ目標2%の安定的な維持です。日本は“デフレに戻したい”という人たちも多いです。そういう人たちが決まって使う手段は“円安だから利上げでそれを叩き潰す”という合理性がない話ですよね。簡単に言うと、今インフレが大体3%なので、それを2%にするには1%下げないといけないです。そのために、今の1ドル=150円台の為替レートを1ドル=100円くらいにしないといけないんです。そんなことしたら日本経済は輸出産業などがあっという間に崩壊してしまいます」(田中氏)
「ダメになってしまいますよね」(寺島アナ)
「だから“円安を利上げで戻したい”と言っている人たちは、デフレ経済に戻したいわけですよ。実際に話を聞くと、ワイドショーやオールドメディアでそういうことを言う人たちは、昔からデフレ経済が好きな人たち。いわゆる、森永卓郎さんが言っていた“ザイム真理教”的な考え方は、今もあると思うんです。片山さんが財務大臣になって、そういったことを財務省自身が打ち出せなくなっていますが、メディアや識者界隈にもそういった考えの人たちはいっぱいいるんです」(田中氏)
「結果的に、そう思われても仕方ないですよね」(寺島アナ)
「“円安を防ぐためにデフレをやればいい”と言う人たちは、デフレ経済がいいんだな、と。極端に言えば、“日本経済を滅ぼしたいのかな?”と僕は思ってますよ」(田中氏)
高市首相が掲げる成長戦略、投資に主眼が置かれている。総裁選に立ったときから「成長投資」という言葉を使って、国会での所信表明演説でも「強い経済を作る」と真っ先に述べ、その言葉を繰り返した。
11月4日には、高市首相を本部長として経済政策の司令塔となる日本成長戦略本部の第1回会合を開き、成長戦略の検討課題について議論した。
「成長投資を重点政策の柱として打ち出していることに関して、田中さん、この辺りはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「高市さんが目指す経済ビジョンは高圧経済ですね。これは何かというと、アベノミクスを超えるような政策です。経済を常に温め、エンジンの循環を良くしていって、様々な雇用であるとか生産であるとかをスムーズな形にして、より生産性の高い経済に移るようにしていく。これは金融政策だけではダメなんです。財政政策が必要で、それで成長投資と言っているのですが、AIであるとか宇宙開発であるとか、様々な分野を挙げていますよね」(田中氏)
「はい」(寺島アナ)
「ここは僕、高市さんに注文したいのですが、今の高市政権は明らかに経済産業省に依存しているわけです。サブで財務省を使う形です。このやり方って、安倍政権と全く同じなんです」(田中氏)
「そうですよね」(寺島アナ)
「高市さんは片山さんに財務省を任せて、成長投資をはじめその立案は経済産業省ですよね。やはり、お役所仕事的な面が強いです。この間、デーモン閣下を官邸に呼びましたけど、“コンテンツ支援政策”なんかも入っているわけです。私、そういったことはクールジャパン戦略のときから批判的な立場をとっていて、政府の支援はあまりいらないと思っています。これは本当に心配しているんですけど、高市さんに批判的なデフレ大好きな人たちに、揚げ足をとる隙を与えるんじゃないかな? そこら辺は引き締めた方が良いかな、と。成長投資が高市政権の成長にならない可能性があるんです。そういった政治的なツッコミを防御して欲しいと思います」(田中氏)
〈出典〉
高市早苗首相、大納会に出席へ 強い経済をアピール | 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA257NB0V21C25A2000000/)
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