【3月2日】今月のシネマログ

【3月2日】今月のシネマログ

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上地    上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。
今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、そして映画評論家の荒木久文さんとお届けしていきます。
よろしくお願いします。

荒木・東  よろしくお願いします。

上地    もう今、アカデミー賞の時期ですよね。

東     まさに~!まもなく3月16日でしたっけ、今年は?

荒木    そうですよね。どうですか、今年は?

東     え~、なんか今年は・・・なんか私たちね、この時期になると予想が盛り上がるんですけれども。

上地    たしかにね。

東     はい。今年、なんとなく読めないんですけど・・・荒木さんはどう?

荒木    いや、もう全く読めません。前に予想ごっこやりましたよね。

上地・東  やりましたよ。

荒木    それで、私たち、プロ筋が大恥かいて由真さん優勝ってことで・・。

上地    そう。私が優勝しましたね。『パラサイト 半地下の家族』だね。

東     そうだ、その時か(笑)

荒木    大恥かいたので、もう予想はしません。

上地・東  あははは!

東     はい、でもちょっと楽しみですね。

上地    楽しみですね~。今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。3月公開の映画の中から私たちが「これは観てほしい!」と思った注目作をピックアップしました。
まずは映画ソムリエの東紗友美さんのおすすめ作品です。

東     私がご紹介するのは3月20日から公開の映画『アメリと雨の物語』という映画です。
2025年のアヌシー国際アニメーション映画祭で観客賞を受賞。そして本年度アカデミー賞、長編アニメ映画賞にも名を連ねているまさに世界が注目するアニメ映画になっています。
物語の舞台は1960年代の神戸。外交官のお父さんを持つベルギー人一家の末娘・アメリという2歳の女の子が主人公です。この子が、日本人家政婦のニシオさんとの日々を中心に、彼女の幼いまなざしを通して、世界が少しずつ描かれていく様子を描いたアニメ映画なんですけども。
まず驚いたのが、アニメーションのタッチの柔らかさといいますか、本当に線はふんわりしていて、色彩もどこか温かい、でも決して静かというわけでもなくて。画面にはたしかな躍動みたいなものがある、ちょっと見たことがないようなアニメのタッチだったなという印象で。静と動のバランスが絶妙な画で展開される、初めて見るタイプのアニメーション映画でした。
2歳から3歳の時期を成長していくアメリという主人公を見つめながら、自分がまるで、この地球とか、この世界をもう一度生まれ変わって、生き直しているような感覚になるような作品でした。ちょっと最後はなんかブワ~っとこみ上げてくるものがあって、涙が出ましたね。本当に素敵な映画だったと思います。優しさに満ちているといいますか、
はい。おふたりはいかがでしたか?

上地    子供目線で見える世界が美しくて、すごく良かったですね。私は、海に入っていくシーンで、アメリがパーって両手を広げると、バーッて海が開いて道になっていくところがあるんですけど、すごくワァ~って感動しました、きれいで。

東     うんうん。子供ならではの感受性が随所にいろいろと挟み込まれているんですよね。

上地    大人ではね、あんなに想像豊かに・・・でもこういう気持ちって、あったな、っていう。

東     たしかにそうだね、由真さん。海は海として見ちゃうけど、最初に見る海って、ああだったかもしれないな、って思いますよね。
荒木さんはどうでした?

荒木    はい。そうですね、さっきおっしゃったように背景美術がとっても良くて、ですね、背景とキャラがほとんど同じタッチだから入り込んでいけるんですよね。

東     なるほど~!

荒木    それと由真さんも言っていたように、子供目線、具体的には子供の背の高さでものを見ているんですよね。

上地    そうですね。

荒木    だから木や草は下から見上げる形になっていて、それが我々、大人が見る世界と違う視点をねキープして、非常に懐かしいというか・・・。とは言ってもですね、
3歳までの記憶って人間はほとんどないそうなんですよ。おふたりはありますか、3歳以下までの記憶。

東     ないかもしれない。

上地    全然ないかも。写真で見て「あ、こういうことあったんだ」って思うだけで、実際に覚えてないかもしれないですね。

荒木    これは普通のことでね、幼児健忘というらしいんですけども。
それに日本の四季をね、柔らかく映してとってもきれいですよね。それからフランス語圏のアニメーションということで、出てくる人たち、みんなフランス語を話している。日本人も。ちょっと妙なところもあるし。

上地    そうですね。

荒木    うん。それから画像的にはですね、主人公が、表情のないガラスのような目玉なんですよ。白黒が印象的だったんですけど。はじめ、ちょっと不気味かな~って思ったんですけども、それが純粋さだとかね、知的好奇心を表して、世界を全部吸収するような、そういう宇宙にだんだん見えてくるというね。

東     世界を映す鏡のような、輝き方に見えますよね。

荒木    日本のアニメを見慣れている人たちだと、ちょっと表情が違和感があるかもしれませんが、これも本当に味のあるアニメならではの表現で、大変面白いと思いました。

東     でもそれだけじゃなくて、柔らかいアニメだと思って、癒されながら観ていたら、中盤には第二次世界大戦の傷跡の残る時代背景みたいなものも含まれていて、誰の心にも完全に寄り添うことって難しいよな、っていう、ちょっと大人のテーマも入ってきているんですよね。

荒木    書いた人がアメリ―・ノートンという人ですね。この人はベルギーの外交官だったお父さんについてですね、アジアとかアメリカを周った人なんですよね。5歳まで日本で育ったそうです。

東     あっ、そうなんですね。

荒木    あと中国、ニューヨーク、バングラデシュとか。17歳の時にベルギーに帰って作家になった方なんですよね。

上地    じゃあ結構、自分の経験とかも?

荒木    そのまんまです。原作が『チューブな形而上学』という・・・「形而上」というのは哲学用語なんですけど、そういうタイトルで本を出しそれが大ヒットして、このアニメになったということで。今回のアカデミー賞にもね、長編アニメ賞にノミネートされていますよね。

東     可能性ありそうですよね。

荒木    そうですね、あると思います。この人、他にも日本についての本をたくさん書いているんですよね。

東     えっ、これ以外にも?

荒木    具体的にはですね、『畏れ慄いて』という1997年かな、彼女が一度日本に来て、それで就職しているんですよ、1年間。その時の会社の男性上司の様子とかですね、会社の模様を面白おかしく書いているんですよね。それでベストセラーになったんですが。まあ日本の書かれた方は怒ってそうですけどね(笑)

東     そっかあ、外国の方から見た日本ということですね。

荒木    特にフランス語圏においては、この人は有名な作家で、注目をされているようですよね。最近はですね『あり得ない帰還』という幼少時を日本で過ごした作家と思しき主人公がですね、コロナウィルス後の日本を旅する様子をコミカルに描く小説を出しているそうです。まだこれ、日本語訳は出ていないかもしれないです。注目の作家です。
本当に感性が優れていて、そういう意味で非常にカラフルな文章を書く人らしいですよ。

上地    楽しみですね。

東     他の作品も映像化される可能性もありそうですよね。

荒木    そうですね。『畏れ慄いて』という作品はギリシャの監督でもう映画化されているそうですけどね。

東     注目の作家さんの作品ということで・・・

荒木    非常に興味深い作品ですよね。

東     はい。『アメリと雨の物語』なんですけども、小さなアメリという存在を通して、世界をもう一度抱きしめたくなる素敵な作品になっています。
私、東紗友美のおすすめ作品は、3月20日から公開の『アメリと雨の物語』でした。

 


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上地    続いて荒木さんのおすすめ作品をお願いします。

荒木    はい。私が紹介するのは、3月13日公開、まあ今年のアカデミー賞の主演男優賞ということで、もう3回目のノミネートですが、注目のティモシー・シャラメ主演の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』という作品です。
・・・ティモシー・シャラメというと、おふたりの印象はどうですか?まず由真さん。

上地    私は作品でいうと『君の名前で僕を呼んで』という作品のティモシーがすごく印象に残っていて。もうかっこよくて彫刻のような顔で、美しいなあっていう印象ですね。

荒木    スターになった2017年の作品でしたけども。東さんは?

東     やっぱりもう、王子様という印象があって。出てきたころ、たしか、レオナルド・ディカプリオの再来とかそういうふうに謳われていたりとかしていて。とにかく美しい王子様だったんですけど、去年のボブ・ディラン演じたあたりから、本当にお芝居の厚みでてきて、良い感じの年の取り方しているなっていう印象にシフトはしていたんですけど。この作品、観たかったんですけど観られなくて。

荒木    今、おっしゃったように、かっこよくて、そういう役が多かったんですが、ところが今回の役回りはちょっとですね、徹底的な自己中男のサイテー男なんですよ。噓つきでインチキで、女ったらしで、金と名誉が大好きで、もうダメダメ。

東     えっ、荒木さん?荒木さんのこと?!(笑)

上地    あっはっはっは!

荒木    いや、僕の自己紹介、していません(笑)
そんな役をですね、なんとやっているんですよ。1950年代のアメリカ・ニューヨークを舞台に実在の卓球選手だったマーティ・リーズマンという人を着想したドラマなんです。
卓球、ピンポンですよ、いわゆるテーブルテニス、中国、日本が伝統的に強くて、アメリカではマイナーなスポーツだったんですよ。特に1950年代なんていうと、ほとんど知っている人、いなかったんじゃないかな?
そのアメリカで世界一の卓球選手になることで、人生の一発逆転を狙う天才プレーヤーがこのマーティなんですね。彼は親戚の靴屋さんで働きながら、ロンドンでの世界選手権に参加するためのお金を、まあヤバい方法で捻出するんです。早い話が、盗むんですね。
なんとか参加した選手権では、日本の選手に負けてしまうんですね。あきらめきれない彼は次の東京での選手権、世界選手権を目指すんですが、ここでまず、不倫相手が妊娠します。卓球協会が選手資格を剝奪します。旅費の窃盗を告発されて、警察にも追われます。
いろんな災難が彼のところに襲いかかってくるんですね。そんなぐちゃぐちゃな中で、考えられるかぎりの方法で世界選手権に出ようと頑張るマーティでしたが・・・というあとは観ていただくと面白いですね。

東     お~!気になる!観てみたいな。

荒木    今回のこの作品、さっき東さんがおっしゃったようにまさに、ティモシー・シャラメの演技力を、ビジュアルを見る映画じゃないです。演技力を見る映画です。
それも今までのかっこいい彼じゃなくてですね、全く薄汚い、ちょっと怪しくてせこい、ここに写真ありますけど、チョビ髭生えて、汗臭いランニング着てですね、2時間ほとんど出ずっぱりでしゃべり続けているんですけど、噓、ハッタリ、詐欺、なんでもござれ。

東     いや、逆にそこまで真逆の演技力を見せられたら好きになっちゃうな。

荒木    真逆かどうかはわかんないよね。今までとは、ね。モデルさんもね、そういう人だったらしいですよ、リーズマンという人は。平気でね、密輸とか、賭け試合などもやって・・。

東     すごい・・・(笑)

上地    今も生きているんですか?

荒木    もう亡くなりました。1950代の人だから。ここに写真出ていますけど、よく似ていますよね、モデルの人と。

上地・東  ああ~!なるほど・・・

東     ちょっと雰囲気、似ていますね。影があるけど。

荒木    映画宣伝の人にですね、「これ、わかりやすく、誰に例えたらリスナーにわかってもらえる?」って聞いたらですね、「横山のやっさんですよ!」って言うんですよ。

東     あっ・・・ほぉ~!

上地    似ているかもしれないです、あの黒縁メガネの感じとか。パンチパーマみたいな。

荒木    そうそう。かつてね、伝説の漫才コンビの「やすしきよし」のやっさんです。関西が生んだ天才なんですけど、飲む・打つ・買う、酔っぱらって暴行、無免許運転、借金踏み倒し、今でいうならとんでもないアンチ・コンプライアンス男なんですけども、シャラメがやっさんをやっている、演じていると思うと、ピッタリ。

東     なんかピンとこないような・・・(笑)

荒木    わかりますよね、この世代の人でも。

上地    わかる。でも漫才は本当に素晴らしいです。天才的なね。

荒木    天才です。まさに、それ。横山シャラメ!

上地    あはははは!

荒木    もうひとつの演技の魅力がね、これ、卓球の映画なので7年間もの卓球の練習を秘密で受けた、と。

東     えっ、ティモシー・シャラメ?!

荒木    そう。

東     だってボブ・ディランの時も、自分で歌ったり凄まじかったじゃないですか。

荒木    そっくりだしね。

東     そう。すごいですね、今回も!

上地    じゃあ、そんな前からこうやって計画されていたんですね。

荒木    そう。しかもね、1950年代の卓球は今のパターンをと違うのね。
ちょっとテイクバックが短かったり、スタンスが長かったり、こうクラウチングじゃない。そこを忠実に表しているんですよ。もちろんね、10メートルくらい上からテーブルに落とすようなショットは、あれはCGだと思うんですけど、とにかく素晴らしいです。
見応え十分ですね。あとは、選手権が日本で開催されるという設定のために、日本ロケが多いんですよ。1950年代の日本をかなり忠実に再現しているんですけど、試合会場は上野の水上公会堂ですよ。たぶん。そこでやっていました。演歌の殿堂でね、昔、私よく仕事で行きましたけどね。はい、そんなとこでやっています。

東     めちゃくちゃ観たいです。

荒木    これ、ティモシー・シャラメの大幅なイメージチェンジね。それとガラス細工のような少年を演じていた彼を全く変えるものなので、熱演というか、怪演といっていいですよね。監督もジョシュ・サフディという人で、A24が作っているので、さきいったようにアカデミー賞でいえばですね、作品賞、監督賞など主要9部門ノミネートされていると。

東     今回こそ、主演男優賞いくんじゃないですかね。

荒木    たぶん、いくと思います。ノミネート3回目ですし、ここだけは予想できるけど、主演男優賞はティモシー・シャラメだと。

東     ああ、わかります。これ、こうやってね、わかりますっていって、プロ2人がはずしていく可能性あるからね。やらない方がいいかもですが、はい(笑)

荒木    彼はね、3月5日かな、3日後くらいに上京するらしいですよ。上京じゃないや、山形のお母さんが東京に来るんじゃないんだから・・来日ね(笑)。ジャパンプレミアね、楽しみだと思います。
まあ正直ね、疲れます、観ていて。いろんな、とにかく上手くいかない話がいっぱい積んで、ティモシー・シャラメ、しゃべり続けですけども、とても曲も楽しいし、ぜひ2人これを観ていないんだったら、ぜひ観てください。

上地・東  はい。

荒木    私がご紹介したのは3月13日公開のティモシー・シャラメ主演の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』という作品でした。

 


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上地    続いては、私、上地由真のおすすめ作品です。
私がご紹介するのは3月6日から公開の作品『しあわせな選択』という作品です。
まずはあらすじです。
25年勤めた会社を突然、クビになった主人公が愛する家族と家を守るために追い詰められて、しだいに狂気的な選択へと踏み込んでいくサイコサスペンス&ブラックコメディです。
主人公はイ・ビョンホン演じるマンス。製紙会社に25年勤めてきたいわば紙一筋の男性です。美しい奥さんと2人の子供、2匹の愛犬と共に郊外の大きな家で幸せに暮らしていたのですが、ある日、突然解雇宣告をされてしまいます。それでもマンスは「この仕事なら誰にも負けない」そう信じて再就職に挑むのですが結果は全滅。気づけば1年も無職となってしまい、家計は限界。ついには大切な家まで手放すことになってしまいます。
そんな追い詰められたマンスが思いついたのが「ライバルがいなくなれば仕事が手に入るんじゃね?」というかなりヤバい発想でした。そこから、論理も常識も踏み越えたマンスの行動に、観ている側が「笑っていいの?それとも引くべき?」という、その感情の置き場がわからなくなるような展開の連続です。
ただ、この作品がすごいのは、ブラックな笑いを交えながらも「失業そのものが問題なんじゃない、どう向き合うかが大事なんだ」という冷静につけてくるような映画というところですね。このかっこいいイ・ビョンホンがやることなすこと全てかっこ悪すぎて、本当に笑っちゃいました、私(笑)

東     なんかもう、優しく穏やかな表情から、追い詰められた時の狂気すれすれの振り幅が、イ・ビョンホン今回すごかったなと思ったんですけど。今、由真さんがいった、何
?サイコ・・・なんでしたっけ?

上地    サイコサスペンス。

東     サイコサスペンス・・・?

上地    &ブラックコメディ。

東     これ、上手いこと言ったなあと思ったんですけども(笑)本当にこの作品の面白さって、ジャンルの揺らぎみたいなところにあるのかなと思って。コメディだと思って観ていると、急に背筋がゾッとヒヤッとしていくし、でもちょっとホラーなんじゃないのか?っていう展開もあったり。しかも笑っていいのか、わからない可笑しさがあったり。ちょっとあれですよね、『パラサイト 半地下の家族』が好きそうな人に刺さりそうな作品が久々に出てきたなというような感じがしました。不安定な感情の往復が観客をグッと引き込むような作品だなと思って、私は面白かったですね。

荒木    逆に、由真さん、シュールな展開が多いし、だんだん一筋縄ではいかなくなるわけでしょ。それから脱線しながら進むから、どこに感情移入したらいいか、とか、そういうのってわかりませんでした?

上地    ね~っ!わからなかったー!

荒木    そうだよね。戸惑いがあったよね。これ、監督の作戦でしょうけどね。

上地    本当に。

荒木    パク・チャヌクという監督ね、有名な監督なんですけども、彼の本領発揮というか安定した不穏さというか、そういうものが味わえましたよね。
まあ、巧みですよね。いろんなジャンルを上手くこうぐちゃぐちゃっとさせてるね。

東     そうですよね~。パク・チャヌクは、もう映画ファンははずせない監督のひとりだと思うんですけども。私は『お嬢さん』とか『別れる決心』とかいろいろ好きだったんですけど、荒木さん、パク・チャヌクの印象はいかがですか?

荒木    そうですね。やっぱり『別れる決心』から3年ぶりですね、私もやっぱり『お嬢さん』あたりが一番印象に・・・妙な映画でしたけどね。格差社会とかをこれは事あるごとにちょっと訴えてはいるんですけど、『パラサイト 半地下の家族』みたいな訴え方じゃなくて、こう大上段に振りかぶらず、一旦コメディだとかホラーに混ぜながら、じわじわ出してくる、それが特長で、巧みですよね、そういう意味じゃ。

東     そうですよね。

荒木    それとやっぱり失業。これは男たち特にサラリーマンにとってはね、給与所得者にとってはですね、一番の不安な部分。特にこういうグローバル資本主義が進む中では切実な問題ですよね。

東     AIの要素とかもね、入ってきていたりですとか。過酷な競争社会ですとか、失業とか、なんか追い込まれる中年の焦りみたいなものを描きつつも、あんまり重くなり過ぎないのはパク・チャヌク特有のブラックユーモアがあるから。

上地    クスッとね、なっちゃいますよね。

東     うん、クスッとなるところはありましたよね。

荒木    まあ氷河期時代っていうのもいますけど、氷河期世代のメンタリティがね、ちょっと出ているようで、それも面白かったですよね。

東     観終わった後にじわじわ効いてくる、すぐにじゃないけど、夜寝る前に布団に入った時、どんどん効いてくるようなタイプの映画でしたよね。

荒木    まあね、そういうことですよね。原作は『斧』というアメリカ小説なんですって。

東     アメリカ小説?!

荒木    だからちょっとね、様子が違うんですけど。私も原作を読んでいないんですけども。いろんな意味で・・・そういうえば、「斧」っていろんなところで出てきたよね、映画の中で。

東     あっ・・・たしかに!

上地    出てきたかも。

荒木    ちょっと思い出しましたでしょ?

上地    思い出した。

東     それを拾い集めながら、もう一度観るの楽しそう。

荒木    そう、楽しいね。『しあわせな選択』って意味なんですけども、『No Other Choice』っていうのがね、原題ですけども。他に選択肢がないから、しあわせな選択なのかな、ってちょっと哲学的だなって思いましたけどね。
本当にそういう意味ではね、いろんなことを学ばせてくれるというか、解釈ができる映画かなというふうに思いました。

上地    皆さんも「もしも自分だったら?」そしてその時選ぶ答えが「本当にしあわせな選択なのか?」とか考えながら、劇場で観てほしいと思います。
私、上地由真がご紹介したのは、3月6日から公開の映画『しあわせな選択』でした。

 


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映画評論家の荒木久文さん、そして映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました。

荒木・東  ありがとうございました。

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上地由真のワンダーユーマン

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月 21:30~22:00

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上地由真がメインパーソナリティを務め、アシスタントとして、山田みきとしアナウンサーが進行役を務めます。 番組では毎週テーマを設け、“由真的”テイストで進行。音…

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