気象庁は10月1日、9月の東日本太平洋側について、記録的な多雨と日照不足に環境省から「本年度の熱中症警戒アラート等に関する情報提供は、10月21日(水)をもって終了いたします」というメールが届きました。
夏の終わりを告げる合図です。
「ああ、今年も乗り越えたな」という安堵が先に来ました。
その一方で、この夏は決して単純な「猛暑一辺倒」の夏ではなかったことを感じました。
暑さと雨が、不思議なほど同居した季節だったからです。
環境省の発表履歴によると、令和8年度、東京の熱中症警戒アラートは10月17日時点で36回発表されています。
熱中症特別警戒アラートは東京ではゼロでした。
前年、令和7年の東京では、6月から9月末までにアラートが発令された日数が40日、猛暑日は29日だったと東京消防庁がまとめています。
つまり、東京だけを見れば、今年のアラート回数は昨年をやや下回る水準でした。
ただ、数字だけを並べると誤解も生じます。
アラートは「翌日の最高暑さ指数が33以上」という基準で出されるため、気温そのものより、気温、湿度、日射、風を組み合わせた「体の受け止め方」を映します。
今年は梅雨明け後の猛暑日が続いた時期もあれば、8月末からは雨に覆われて、気温よりまず湿度に苦しめられた時期もありました。
アラートの回数が昨年より少ないからといって、「楽な夏だった」とは言い切れません。
むしろ、汗が乾かない不快さと、夜になっても下がらない暑さに悩まされた人も多かったのではないでしょうか。
関東各県の状況を見ると、差がはっきりします。
10月17日時点の環境省の集計では、東京が36回、千葉が19回、神奈川が18回、茨城が11回、埼玉と群馬が各10回、栃木が9回です。
いずれも熱中症特別警戒アラートの発表はありませんでした。
この並びは、海に近く、都市化と湿度の影響を受けやすい地域ほど多くなるという熱中症の性質をよく示しています。
千葉や神奈川は海風の恵みがありそうに見えますが、同時に湿った空気を運び込みやすく、日射と相まって暑さ指数が上がりやすい。
一方、内陸の埼玉、群馬、栃木は日中の気温上昇は厳しいものの、アラート回数ではやや抑えられていました。
同じ「関東の夏」でも、海沿いと内陸、市街地と郊外では、体感も危険度も違います。
防災情報を読むときは、自分の生活圏の観測地点に引きつけて見る必要があるでしょう。
そして今年の夏の終わりは、雨が主役になりました。
東京都心では8月27日から雨が続き、10月2日には37日連続の降水となり、1886年の統計開始以来の最長記録を更新しました。
従来の最長は、2019年の33日連続でした。
さらに9月は、東京都心で初めて「1日から31日まで毎日降水」を観測しました。
月降水量は696.5ミリで、平年の約3倍、9月としては観測史上最多です。
関東では千葉市で771.5ミリを観測するなど、各地で記録的な雨となりました。
東日本の9月降水量は平年比214%で、統計史上最多との報道もあります。
つまり今年は、「熱中症警戒アラート」で警戒すべき夏と、「大雨・浸水・土砂災害」に備えるべき秋が、ほとんど切れ目なくつながっていたのです。
暑さで体力を落としたところに長雨が重なり、体調を崩しやすい環境が続きました。
湿度が高い日は汗が蒸発せず、気温がそこまで高くなくても熱中症の危険は残ります。
雨の日は「涼しいから大丈夫」と思わず、室内の換気と水分補給を意識したいところです。
10月21日でアラートの情報提供が終わっても、熱中症への備えが終わるわけではありません。
秋の日差しは柔らかく見えても、運動会や行楽、屋外作業では思ったより体力を使います。
むしろ、夏の暑さに慣れた体が秋の気温変化に順応しきれない時期は、油断が生まれやすいものです。
今年の東京は、アラート36回という数字の裏に、猛暑と長雨が交互に襲う「二正面作戦」のような夏がありました。
熱中症と水害、どちらか一方だけを警戒すればよい時代ではなくなっています。
季節の変わり目に届いたこのメールは、単なる運用終了の連絡ではなく、「暑さへの備えから、秋の気象災害への備えへ」と意識を切り替える合図だと感じています。
今日の早口言葉(ゆっくり3回挑戦して下さい)
東京今夏(こんか)は、暑くて、湿って、長雨で。
アラート36(サブロク)、雨37(サンナナ)。
秋も元気に乗り越えよう。





