中田総合法律事務所

第7回 2009.12.03 ON AIR

2009/12/03

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
____________________________
 
 ○注目のニュース
  
  インサイダー取引

 ********************************************

  去年11月、経営破たんした元東証1部上場の建設会社
  「オリエンタル白石」
  会社更生法の適用申請公表前に
  信用調査会社「東京経済」の社員らが波状情報を入手。

  株のインサイダー取引を
  行った疑いのあることがわかりました。

  証券取引等監視委員会は
  10月30日に金融商品取引法に基づき
  関与した数人に対し、課徴金を科すよう金融庁に勧告。

  信用調査会社の社員がインサイダー取引で
  課徴金勧告を受けるの初めて。

 ********************************************
 
  ◆ポイント1 きっかけは前日のメール
 
   「オリエンタル白石」は去年11月26日、
   約60お億円の負債を抱え、
   東京地裁に会社更生法適用を申し立てた。

   「オリエンタル白石」の幹部は
   社内の混乱を防ぐため
   発表前日に社員向けメールを事前に作成。
   申し立て公表後に送信する予定だったが
   誤って前日の25日に送信してしまった。

   このメールを受け取った複数の社員と
   「オリエンタル白石」の関係者から情報を入手した
   「東京経済」の社員は
   株価下落に備え、所有する「オリエンタル白石」の株を
   売却して損失を回避したり、
   “空売り”して値下がり後に買い戻すなどして
   不正な利益を得たという。
 
   空売り(今回の例)・・・
    借りた株を“破たん”公表前に高値で売却し、
    公表後、安値で買い戻して持ち主に返却。
    売値と買値の差額で利益を得た。 
____________________________
 
  ◆ポイント2 インサイダーとは
 
  「インサイダー取引」とは
  金融商品取引法で禁止されている行為。
  公表されていない情報をもとに株式、金融商品を取引すること。
  健全で公正な証券取引の確立のため
  “公表されれば投資家の判断に影響を及ぼすような
  重要な事実”
は、公表前に利用してはいけない。 
  
  「インサイダー」・・・「内部者」とは
 
  ・金融商品取引所に上場「会社」関係者。
   (役員・社員のほかパートタイマー・アルバイトも含まれる)
  ・議決権の3%以上を有する大株主。
  ・法令に基づく権限を有する者(許認可権限のある公務員)
  ・契約を締結している、または締結に向けて交渉中の人。
   (顧問弁護士、公認会計士など)
 
  ・会社関係者でなくなってから1年以内の人。

  ・会社関係者から“情報の伝達を受けた”人。
   (社員の家族ほか)

  吉田 「自分に関係ないと思っていても
       意外に“インサイダー取引”になる場合もあるんですね」

 
  中田 「気をつけないといけないですね、この規定は。
       案外、身近なところで起きるかもしれません」

____________________________
 
  ◆ポイント3 “重要事実”とは
 
   インサイダー取引で問題となる
   内部で知りえた公表前の重要な事実・・・
 
   どのような“事実”があてはまるのでしょうか。
 
  ●株価に影響があるもの
   会社の業務・財務に関連し、投資者の判断に影響がある事実

  中田 「たとえば友達との雑談の中で
       “大ヒット商品を来週発売する”
       何気なく聞いちゃうこともある」

   情報を聞くこと自体は制約されるものではありませんが
   知ってしまった(公表される前の)情報を利用して
   “公正取引を害する行為”をしてはいけません。
   (ポイントの“伝達を受けた人”に該当)
 
  ●“たまたま耳にした情報”は問題なし
 
  吉田 「たとえば、喫茶店で隣の人が話していることが
       たまたま耳に入った場合は?」

 
  中田 「“たまたま”耳に入ったものは
       『伝達を受けた人』の概念に入らないんです。
       会社関係者が会議室で話している内容を聞いた――場合は
       『会社関係者』になるからダメなんですが
       みんなが集まる喫茶店のようなところで
       聞いた話は利用できないか、というと、実はできるんです」

  吉田 「話している人が、知っている人ではダメで
       知らない人ならいい――と」

___________________________

  ◆ポイント4 「インサイダー取引」の罰則は重い
  
  ●刑罰は5年以上の懲役、もしくは「500万円以下の罰金。
 
  中田 「法人に対して5億円以下の罰金という場合もあります」
 
  ●得た財産はすべて没収・追徴されます。
 
  インサーダー取引で得た“財産”――
  (株の場合、売った代金全額)――が没収・追徴の対象に。
  
  ※「500円で買い、1000円で売った」場合は
   利益の500円ではなく、1000円が没収・追徴の対象
 
  中田 「やった方が“損”だというようになってるんです」
 
  吉田 「重いんですね!」

  中田 「刑事罰のほかに、行政措置として
       “課徴金納付命令”という、金融庁からの強制罰が
       出る場合もあります。」

 
  吉田 「いつ周りにそういう(公表前の重要な)情報が
       あるかわからないですし、
       気をつけないといけないですね」

____________________________

中田先生セレクションの1曲

 アヴェ・マリア / ソ・ウォノ
 
中田 「今の季節に合ってるでしょ。とてもきれいな歌です」 

投稿者 senpatsu : 2009年12月03日 21:00

« 第6回 2009.11.26 ON AIR | メイン | 第8回 2009.12.10 ON AIR »