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番組内容

企業法務を得意とする弁護士の中田光一知さんをパーソナリティに、報道記者経験8年の中嶋美和子さんをアシスタントに迎えて明日のビジネスに役立つ情報をお送りする15分番組です。


法務というと、訴訟や苦情から守ることだけを考えてしまうかもしれませんが、この番組ではもっと積極的なお話を展開していきます。
真面目に攻めの法務を語る中田弁護士と、それをわかりやすく砕いてくれる中島さん、番組では二人の絶妙なトークが展開されます。

中田総合法律事務所
パーソナリティ
中田光一知

中田総合法律事務所 弁護士
昭和34年 東京都生まれ。
東京都立国立高校を経て、
早稲田大学法学部卒業。
平成元年に弁護士登録(第二東京弁護士会)、平成6年に独立開業。
弁護士活動のほか、講演活動、
執筆活動、各メディア出演でも活躍中。

アシスタント
中島美和子

明治学院大学法学部卒
大分県出身
1999年大分朝日放送アナウンサーを経て、2007年よりフリー報道記者としての経験を活かしつつ、今は硬い番組からバラエティまで幅広く出演している。
オフィス北野所属

2011年08月20日
■第20回:焼き肉 集団食中毒事件とコンプライアンス

2011年8月20日放送分:焼き肉 集団食中毒事件とコンプライアンス
 
今年4月、富山、福井、横浜の3店舗で食事をした男女4人が死亡。
「病原性大腸菌」による食中毒患者は100人を超える集団食中毒事件が発生。
 
「焼肉酒屋えびす」を経営する「フーズ・フォーラス」は
仕入れた肉への「細菌検査」を2年間 実施しなかったこと、
衛生管理の認識が甘かったことを認めました。
 
集団食中毒事件発生の原因は??
 
中嶋「今回の事件の最大の原因はなんだったんでしょうか?」
 
中田「国民の健康を保護・維持するのは国、行政の役割なんです。
   フーズ・フォーラスの経営体質にもあったと思います」

 
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今回の事件に関する一連の報道が正しい場合、
肉の表面を削り取る"トリミング"作業に関して、
卸業者との間で、
トリミングを卸業者が行う契約があったとされています。
 
中田「仕入れをしたら、一切何もしない――
   食肉として提供する肉を、切って、
   そのまま出してしまう――ということをしていたようです。
   これは国の衛生基準に照らしても手抜きです」

 
しかし、国の衛生基準は、行政指導を行うための根拠にはなりますが、
法的拘束力はなく、罰則もありません。
 
中田「違反をしても、そのことによって罰則がある――
   ということではなかったところに問題があったんですね」

 
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フーズ・フォーラス社の今後は?
 
「焼肉酒家えびす」の運営会社「フーズ・フォーラス」は、
当初、「被害者への賠償のため」として営業再開を模索していましたが、
「営業再開は難しい」として取締役以外の社員およそ90人を解雇し、
会社を分割した上での新会社設立を検討。
 
フーズ・フォーラス社自体は解散、
新会社は、被害者への賠償問題で窓口になるとみられます。
 
中田「こういうことが一度起こると、第一に営業が立ち行かなくなる。
   今回のように亡くなったり入院したりする人が出て
   "傷害"となると、刑事上の責任を問われることもあり得ます」

 
企業が、社会が、"守るべきもの"とは?
 
トリミングをしなかった
   衛生管理をしなかった、衛生基準を守らなかったことと
   食中毒に因果関係があれば、なんらかの責任をとらなければならない。
   企業が生き延びるために(今回のような形で)"利益"を追求して、
   その結果、企業が倒れてしまう――ということになる。
   "守るべきもの"は何なのか――基本にかえって考えた方がいい」
 
『ユッケ』を例にした場合、
食べることで数パーセントのリスクがあるが
提供者は、安全面での一定の基準を設け、その基準に則って提供し、
消費者は、リスクがあることを理解して食べる――。
 
このように、選択肢は広げながら、
国民の健康・安全のために一定の基準を作る必要があるでしょう。
 
今年5月、東京都が都内の焼き肉店や食肉処理業者などを調査した結果
約7割の店舗が、
厚生労働省の衛生基準に反する取り扱いをしていたことが明らかになりました。
 
また、厚労省は、
食品衛生法の衛生基準を満たさない生肉の流通販売に「罰則規定」を設け、
合わせて「抜き打ち検査」も行い"行政規制を厳格にする"ことを決めました。
 
中田「なんでも『禁止』にすると"何もしないでください"となって、
   行きすぎると問題で、バランスは必要ですが、
   我々市民一人ひとりが、自分を守るための知識を持っていることが
   一番大事で、それを守るために国・自治体の制度がある。
   もちろん企業も その一員として、
   そういったものを守っていく姿勢を持って経営をしていく――」

 
中嶋「『営業停止』とか罰則がなかったから基準を守ってなかったんですかね」
 
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コンプライアンスの基本の考え
 
中田「利益を追求するために"手抜き"をして、
   結局のところ、利益どころか企業が死んでしまう。
   『コンプライアンス』の基本は"自分がされたらどうか"ということ。
   自分だけ良ければいい――というものではなくて
   お互いのことを"自分のこと"として考えていくことが大事です」
 
 
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