
備蓄米放出の随意契約開始 5キロ2000円台で喜ぶのは国民よりも石破政権
5月27日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、政府備蓄米の随意契約について意見を交わした。
イメージ戦略が先行していて、国民はどう判断する?
農林水産省は5月26日、政府備蓄米の放出を巡り、これまでの一般競争入札から随意契約に変更した。放出対象は30万トンで、必要があれば追加を検討する。6月初旬にも5キロ・グラムあたり税抜き2000円程度で店頭に並べたい考えだ。
政府から小売業者への売り渡し価格は、玄米60キロ・グラムあたり税抜きで平均1万700円。2022年産が1万1010円、2021年産が1万80円とした。これまでの入札による売り渡し価格の半値程度の水準となる。
単純計算すると、5キロ・グラム当たりの売り渡し価格は平均で900円弱。店頭での販売価格について、農水省は、一般的な経費を入れても5キロ・グラムあたり税込みで2160円程度を想定している。
(寺島アナ)「随意契約では政府が販売価格を決められるため、これまでの落札価格より販売価格が低く設定されれば、米の店頭価格も下げられる可能性があります。5キロで2000円台、これが本当に可能とするならば、これは田中さんどう受け止めますか?」
(田中氏)「自民党としては、お米の価格がこれだけ注目されていますから、いかにこれを下げていくかに石破政権の継続可能性がかかっているわけですよね。だから小泉大臣を使ってウルトラC的な発想でやってきた。備蓄米の値段は政府がコントロールできるのでそこに国民の関心を集めて、“2000円台も可能である”という形で政治的な利益を獲得していこうと。お米で国民は喜ぶかもしれないですけど、それ以上に喜ぶのは石破政権になる可能性は高いですよね」
(寺島アナ)「石破政権が喜ぶんですね」
(田中氏)「“備蓄米が倉庫に蓄えられていて、精米されて店頭にならびました”ってテレビで取り上げやすいじゃないですか。ビジュアル的にも訴えやすいので。石破政権はどんどん支持率が下がっていますから“ここでなんとか復帰策を!”と言う感じですね。何度も言いますけど、備蓄米の随意契約は政府が値段をコントロールできるので、あらかじめ成功が運命づけられている感じですね」
(寺島アナ)「成功が見えているんですね」
(田中氏)「ただそれでいいのか?って感じはしますよね。根源的な問題は二つあると思います。一つは、お米の生産量が需要に比して絶対的に少ないわけですよ。生産高が需要に応じて増えないのであれば、輸入量を増やすなどで工夫していくしかないですよね。ただ、長期的にどうやるのか?そういった方針が見えてこない。もう一つは流通段階で政府から小売業者に渡す形にするので中抜きをするわけですよ。つまりJ Aみたいな存在やさらに卸売業者は、独占とまではいかないけれども一部の業者に卸売りも集中している実態もあるわけですよね。簡単に言えば独占力が強すぎちゃって市場のメカニズムが働かない。だから需要があっても供給不足になりやすい、とか。独占っていうのは市場競争よりも価格が高くなって、さらに量が少ないという特徴を持っていますから。それの悪いところが今回は出ている、ということですよね」
田中氏は今後の課題と国民の反応に注目する。
(田中氏)「つまり、ちゃんと競争メカニズムが構築できるのか? そこら辺のことは今のところ全くなくて、とりあえず店頭に備蓄米を出して、味とかなんとかはよく分かりませんけど、一説には“備蓄米は年数が経っているのでそれほど美味しくない”という評価もあるみたいなんですが、これから明らかになってくると思います。とにかくイメージ戦略先行になっていて、それに国民がどう判断を下すのか、注目しています」
〈出典〉
備蓄米放出の随意契約、イオン・イトーヨーカ堂・「ドン・キホーテ」・楽天などが申請の見通し | 読売新聞(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250526-OYT1T50143/)
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