
冤罪を生む日本の「人質司法」の実態
5月30日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーでは、人質司法の実態について、ジャーナリスト・浜田敬子氏に話を伺った。
「人質司法」とは、日本の刑事司法制度において、長期間の拘束を利用して被疑者に自白を強要するような運用を批判的に表現した言葉。
被害者は、推定無罪などの憲法や国際法の原則を踏みにじる実態として、日本の刑事司法の改革を訴えている状況にある。
長野智子「浜田さんはこの人質司法ということに非常に問題意識を持たれているんですけども、何かきっかけはあったんですか?」
浜田敬子「私、司法担当記者とかではなかったので一般的な知識ぐらいしかなかったんですけど、去年、出版社のKADOKAWA元会長の角川歴彦さんのインタビューをしたんですね。なぜ角川さんをインタビューしたのかというと、角川さんは一方では五輪汚職の当事者として裁判を抱えています。でも一方で、この人質司法ということに対して公共訴訟を起こしているんです。『日本の刑事司法の在り方が、憲法や国際人権法から見た時におかしいんじゃないか』と言って、国を相手取った訴訟を起こされたんですね。なんでこんな訴訟を起こされたんだろうと思って、インタビューをしたのがきっかけなんです」
長野「なるほど。そして、そのインタビューをお聞きになって、どう思われましたか?」
浜田「日本の捜査機関というのは自分たちの見立てにあった捜査をしていくわけです。でも、自分は無罪だと思ったらとてもじゃないけど認めないですよね。自白をしなければこんなに長期に拘束されるのか、と。たとえばカルロス・ゴーンさんだってそうですよね?」
長野「そうですね」
浜田「皆さんもいろんなニュースでは知ってらっしゃると思うんですよ。これってひどいな、っていうふうには思っていました。国際的にも批判されていることを知っていました。でも、角川さんの話を聞いて初めていろんなことがクリアになったのは、その環境があまりにもひどいっていうことなんですよ。たとえば、それまで裁判で有罪が確定するまでは推定無罪といって、まだ刑は確定していないわけですよね。本来であれば、身体的拘束をしたとしても日常生活の延長のような環境じゃないとおかしいですよね?有罪じゃないので。身体的拘束もおかしいんですよ?」
長野「ほんとにそうです」
浜田「でも、いわゆる勾留中とかの環境って、角川さんって高齢で持病があったのにも関わらず、コンクリートの上にゴザが一枚敷いてあるような環境で非常に体調が悪くなったと。何度も体調が悪くなって『治療してほしい』と言っても適切な治療が受けられず、ある時、医師から『角川さん、あなたは死なないとここから出られませんよ』っていうふうに言われたんですよね。あとは、たとえば看守の人から『今日からあなたのことを囚人として扱います』って言われたと。つまり、『まだ刑が確定していなくても、ほぼ囚人扱いをされた。これが実態だ』と言うんですね。それは何のためにそういう扱いをするかというと、人間の精神的な心を折って、してもないことをしたという自白に導いていく、まさに『冤罪の温床になるような環境なんだ』ということを角川さんは訴えられたんですよね」
長野「本当に過去にたくさんの冤罪が立証された再審無罪になった事件ってあるんですけども。私も随分と取材しましたけど、それこそ袴田さんもそうだし、布川事件の桜井さんや杉山さん、志布志事件もそうなんですけども、冤罪が立証された事件って、必ず人質司法がセットなんですよね」
「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時、文化放送
(FM91.6MHz、 AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間
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