
JFLで1万6千人超えの観客動員!その秘訣はBtoE?地域の力をいかに引き出すか
様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが色々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。
2025年7月7日,18日の浜松町Innovation Culture Cafeは、「地域の力をいかに引き出すか」をテーマに松本興産取締役で、Star Compass代表取締役の松本めぐみさんと株式会社Criacao取締役CSO竹田好洋さんをお迎えしました。
入山:今回は「地域の力をいかに引き出すか」というテーマでお話ししていきます。特に今回は「組織のリーダーシップ」について伺うんですが、まず竹田さんに伺いたいのが、クリアソン新宿が6月15日の試合で入場者数16,755人を記録して、JFLの最多入場者数を更新!これは一体何が起きてるんですか?
竹田:ありがたいですね。一言で言うと、「新宿の力」というのが間違いなくありますね。僕らは新宿の日というのを国立競技場の中に置いています。「新宿のお祭りですよ」と、そういう文化づくりをしています。そこに向けて、大きく二つ戦略があって、(出資等を行う)パートナー企業が230社以上あって、その中のB 2toC というよりは BtoE(employee=従業員)という形で、そこの会社の従業員さんやその家族向けのイベントを、選手が年に100回ぐらいやっています。
入山:クリアソン新宿の選手が、パートナー企業と、具体的に何をやっているんですか?
竹田:それこそ、プロフェッショナリズムについて先方の社員の方々と対談したり、キャリアの考え方、マネージメントを学んだりとかそういったことですね。
入山:クリアソン新宿の人たちは専業で雇用されているのか、副業で所属されているのか、どちらですか?
竹田:基本的には全員「社員兼選手」という形で特別な雇用体系を取っています。我々の1つの思想として、「最後にしっかり表現してるのはピッチ」というのがあります。「怪我したら明日ご飯が食べられないかもしれない」とかそうなった時に、未来を語れるかと言ったらそうではないなというところがあって、明日や明後日もあるからこそ、未来に向けて、他者に対しての思いやりとか、そういったものをピッチで表現できると思っています。あとはビジネスを学ぶことでサッカーが上手くなるというアナロジーがあるんじゃないかと思っています。やっぱりサッカー選手はJリーグ出身者がいますが、コミュニケーションとかチームビルディングとか、学んだことあるかって言ったらないんですね。
入山:クリアソン新宿の選手は元 Jリーグ経験者も多くて、これまでプロの契約でやっていた選手がクリアソンに入って、クリアソンの正社員としてちょっと未来が安定したことで、安定して未来が見えてきて、いろんなパートナーと新宿以外の東京都のいろんな会社に行って議論をして、お互い学び合うみたいなことですね。
竹田:そうです。そういった形で学ばしてもらって、それをサッカーのチームマネジメントや、プロフェッショナルリズムに活かしていくっていうのをコンセプトにしています。そのメンバーの一部はtoEのイベントであったり、選手たちが街に出て、新宿をより豊かな街にしていきましょうということでアクションをして、昨年も年間は320回やってるんです。なので町の方々とのご縁もいろんな形で、老若男女作らせていただいてて、そういう方々が選手たちは生で会ってるので、そういう意味で推し活というか、知ってる選手なら応援したいとなるんですね。
入山:松本さん、こういうのどうですか?
松本:確かになんか推し活になりそうですね。地域の人たちが選手を身近に感じて、この選手ファンだからということで見に行って。
田ケ原:それこそ、地域に根付いた工場を営んでいる松本さんはどのように、地域と接点を持たれているんでしょうか?
松本:うちは高校生の採用が一番多いんです。地元の高校生を採用して、育てて、戦力になってもらうというスタイルでやってるんですけど、地元の高校生と繋がっておきたいので、工業系の高校が電気自動車を自分たちで作って、それをレースみたいなのに出てるんです。そこの高校の生徒が毎年、うちの工場に来て「今度はこういう部品が欲しいんです」と、高校生が設計図を書いて、それをうちと社員と一緒に考えて、それで一緒に部品を作って、ウチが部品を納めて、「今年は成績どうでした?」という感じでやってますね。
入山:お2人とも結構似てますね。社員の人を外に出すクリアソン新宿、逆に外にいる高校生を引き入れる松本興産。何でそういうこと大事にされているんですか?
松本:地域が大事なのと、うちは社員のほとんどが秩父出身者が99% なので、秩父を盛り上げたいというDNA が社員の中にあるんですよね。だから、社員から提案が来るんです。例えば、地元の花火大会を廃校になった小学校で開催する。そこで松本興産と協賛したらいいんじゃないかとか。社員たちからアイデアが出てくるんです。
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本日のお客様
竹田 好洋さん
高校卒業後、東日本旅客鉄道株式会社、「JR東日本」に入社。駅員、車掌、運転士、駅ナカ開発、管理部門に従事。その後、大学への入学を経て、株式会社efcuoreを創業。およそ2万人が訪問するスポーツポータルサイトを中心に広告、イベント、コミュニティ教育事業を関東、関西に展開。2014年に、株式会社CriacaoとM&Aを行い取締役CSOに就任。運営されているサッカークラブ「クリアソン新宿」は、Jリーグの一つ下である「JFL」に所属し、今年6月15日には、入場者数1万6,755人で、JFL史上最多を記録し、法人パートナーは、現在230を超えるなど、業界に旋風を巻き起こしている。
松本 めぐみさん
高専を卒業後、半導体製造装置メーカーの「ノベラスシステムズジャパン」現在の「ラムリサーチ株式会社」へ入社。その後退職し、スイスへ留学されMBAを取得。帰国し、ホテルを営む「マンダリン・オリエンタル東京」に入社するも、結婚を機に退職。専業主婦を経て、ご主人が営む松本興産へ入社し、取締役として、総務・経理管掌(かんしょう)に就任。社内改革を行い、これまで「Forbes JAPAN WOMEN AWARD」、「日本中小企業大賞
働き方改革賞 優秀賞」など多数の賞を受賞。2022年にStar Compass株式会社を設立。2023年には自身で考案した「風船会計メソッド」を書籍化し、特許を取得。
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