
時給1500円に向けて加速 最低賃金引き上げと日本経済の成長
8月5日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、最低賃金が1118円に引き上げられることについて意見を交わした。
これから日本経済をさらに安定化させていかないと……
厚生労働省の中央最低賃金審議会は、最低賃金(時給)を全国加重平均で63円増の1118円とする目安を決めた。物価高に対応し、過去最高だった昨年の目安の50円を大きく上回り、過去最高の上げ幅となった。
現在の最低賃金は全国の加重平均で1055円。東京都が1163円で最も高く、秋田県が951円と最も低い。目安通りの引き上げとなれば全都道府県で初めて1千円を超えることになる。
(寺島アナ)「最低賃金が63円増えて1118円。これは田中さん、どうご覧になりますか?」
(田中氏)「今の経済の拡大っていうのをさらに確かなものにすれば、多くの都道府県においては、これくらいの最低賃金は人を雇う側の負担にならずに実現できるんじゃないかと思います。例えば中小企業や、地域でいえば地方にそういった負担が生じやすいです。ただ、今のところ人手不足のことを言う人はいますが、“最低賃金が高くて負担だ”という声はそれほど聞きません。これくらいの引き上げ幅はまだ日本経済が吸収可能かな、という気がします」
田中氏は今後の最低賃金引き上げに懸念を示す。
(田中氏)「これから日本経済をさらに安定化させていかないと、いたずらに最低賃金だけをどんどん上げていっても雇う側のコストが増えて、それが立場の弱い働く人たちの雇用に影響を与えてしまいかねない、と。ただ今のところはその心配はないと思います」
最低賃金の目安は、労使の代表と公益代表の有識者で構成する中央審議会が毎年、都道府県を3ランクに分けて提示。東京など大都市部のAランクとBランクは63円、地方などのCランクは64円だった。地域間格差の是正を図るため、経済力の低いCランクの引き上げ額を、AランクやBランクより初めて高くした。今後、これを参考に都道府県ごとの最低賃金を地方審議会が決め、秋に改定する。
政府は20年代に全国平均で1500円とする目標を掲げている。石破首相は決着を受けて「目標に配慮いただきながらデータに基づく真摯な議論が行われた」と述べた。
(寺島アナ)「最低賃金を1500円とする目標ですけど、田中さんこれはどうでしょうか?」
(田中氏)「20年代ですよね?かなりのテンポで上げていかないと実現できないので、そのために日本経済全体、全国隅々にわたる経済の安定的な成長がないと“最低賃金を上げていこう”という機運になりませんので。経済の安定化のためには消費の安定が必要で、最低賃金が増えて貯蓄するんじゃなくて、みんなが安心していろんなものにお金を使える状況に持っていかないといけません。必要なものを買って、エアコン代とかも惜しみなく使える環境にしないと健康も悪くなっちゃいますからね。それが必要かなと思います」
〈出典〉
最低賃金、1118円に引き上げ 過去最高の63円増 6%上昇 全国で1000円超へ | 朝日新聞(https://www.asahi.com/articles/DA3S16275230.html)
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