
日本の防衛戦略、円安と地政学リスクで前倒し改定!防衛費も増額へ
8月13日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、日本の防衛方針が防衛費の増額など大きく舵を切ろうとしているというニュースについて意見を交わした。
最近の戦争に学び、低価格ドローンの大量配備を視野に
寺島尚正アナ「日本の防衛方針が大きく舵を切ろうとしています。政府は安全保障環境の悪化を受け、2022年に策定した国家防衛戦略と防衛力整備計画を前倒しで見直す方針で検討に入ったといいます。今年の秋にも与党内で議論を始め、来年末の閣議決定を目指します。
GDP・国内総生産費2%を目標としてきた防衛関連予算を将来的に積み増し、防衛力強化を加速させる狙いがあると今朝の産経に出ています。安全保障の文書改定前倒しというこの動きですが、森永さん、これはどうご覧になりますか?」
森永康平「やはり状況が近年大きく変わってきてますから、それに合わせて改訂を前倒していくっていうのは、当然そうなっていくのかなという風に思いますね。最近はそんなにニュースになってないですけども、1年2年くらい前ってちょうどこの水曜日の朝は北朝鮮のミサイル報道がよくあったじゃないですか、速報が入るということが。当然台湾海峡ですとか南シナ海における対立もあるし、ロシア・ウクライナの件もある。で、まあ直接的に日本が関係したわけじゃないですがイスラエル、イランの対立もありましたし、少しずつ地政学リスクが上がってきているのは間違いないと思うんですよね。で、同じアジア圏で見てもこの間タイとカンボジアの国境紛争っていうのがありましたし、インド・パキスタンも根強いですから、そういう意味ではもういつ何が起きてもおかしくない状況ですよね」
寺島「ええ」
森永「で、基本的にこういう防衛関連の考え方っていうのは、起きてから考えてもしょうがない話で、それは何も起きないのがベストなんですが、でもそれを望んで何もしないっていうのはあまりにお花畑の話で。まあ『何かあったらこうしなきゃいけないですよね』と。その何かあったらっていうのが今話したように、可能性が少しずつ上がってきている。それに備えましょうと。そこに来て今度トランプ政権が誕生したことで、第一次トランプ政権の時からそうですけれども、日本は同盟国ではあるけれどもアジア圏のことに関しては『韓国日本台湾この辺りちゃんと連携して、自分の国だったり自分の所属する地域の防衛に関してはある程度は自立してやってくださいね』というスタンスも取っているっていうのもありますから、外部環境の変化を考えた時に、やはりそこに必要になってくる防衛費の増額であったりっていうところは、当然やらざるを得ないんじゃないかなというふうには思います」
寺島「今月末にまとめる来年度の概算要求は、防衛費の大幅な増額が打ち出されます。現行の整備計画で2029年度までの5年間でおよそ43兆円と定める防衛費のこの枠内を超える増額ペースとなる見込みです。政府が改定を急ぐ背景には、円安物価高で輸入装備品の調達費が上昇していることに加え、現行の防衛戦略と整備計画は安全保障環境の変化を反映しきれていないという危機感があるといいます。円安によるコスト増加、さらに安全保障状況の変化。こういう背景ですね」
森永「あとはやっぱりこの円安によって防衛費が増えてしまうというのは、言い方を変えれば『輸入せざるを得ない』ということですね。現状は例えばその円安によるコスト高を抑えたいっていう話だったら『じゃあ自国内で作るんですか』っていう議論もしていかなきゃいけないと思いますし、何よりもやっぱり今は『同盟国から買っていますよ』と。ただ逆に言うと何かのきっかけでその同盟関係が崩れてしまうとか、あとは同盟関係はあるけれども、何かしらの要因で物理的な輸入ルートが消えてしまう、封鎖されてしまうなんてことがあった時にも、ある程度国内で供給できる体制がないといけないですよねと。というのは色んなパターンを考えてどのパターンにおいても最低限の防衛はできるという体制を考えていかなきゃいけないんじゃないのかなと。だから単純にその予算を増やすっていう話よりもやっぱりどのパターンであっても最低限のことはできますよねという、複数シナリオに対応したものを考えていく必要があるかと思いますね」
寺島「そんな中、政府が防衛用無人機の大量配備に向けて2026年度予算の概算要求に1000億円を超える調達費を計上する方向で調整に入ったと言います。ロシアとの戦闘でウクライナが使った、トルコ製の低価格無人機の取得も視野に入れるということですね。防衛用無人機大量配備に向けた動き、ウクライナでも活躍している無人機ですからね」
森永「やはり最近の戦争に関わるいわゆる動画はネットにも出回ってるわけなんですけど昔には当然なかったこういうドローンっていうのが明らかに戦場の最前線で利用されていて、しかもかなり効果的だというのがすでに一連の近年の戦争を見ると分かってるわけですから、そういう意味で新しい戦争のスタイルとして、日本も防衛の一環として導入していく必要が出てくるという判断でしょうね」
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