「世界小児がん啓発月間」に考える、小児がんが抱える問題

「世界小児がん啓発月間」に考える、小児がんが抱える問題

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、9月17日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。9月が「世界小児がん啓発月間」であることにちなみ、小児がんが抱える問題について解説した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「(世界小児がん啓発月間で)日本でも様々なイベントが行われています。小児がんとは子供のかかる、がんの総称です。日本では年間2000~2500人が発症していて。発症率は1万人あたり1~1.5人という希少疾患ではあるんですが、年間6000人が入院治療を受けている、というものです」

小倉孝保「子供でがんになる(のが小児がん)。僕の取材では白血病や脳腫瘍が圧倒的に多いんです。特徴、大人のがんと違うのは、生活習慣などとまったく関係がないことです。喫煙や飲酒、運動不足など関係なしに、あるとき健康な体の子供が、顔色が悪いからと病院に行ったら『白血病です』と言われる」

長野智子「原因みたいなものって?」

小倉「ないんです。基本的に細胞の変化によって誰にでも起こるし、誰に起こるかがわからない。大人のがんと違って、非常に難しい問題を抱えていて。がんになる人の割合が少ない、日本で年間に2000人や2500人しかならない。薬の開発が進まないんですよ。薬品会社からすれば、どれだけお金をかけて開発してもそれに合う患者の数が少ないわけです」

長野「たとえば白血病でも、大人の薬の量を調整するのではなく、子供用をつくる?」

小倉「それ思ったんですよ。大人のやつを少なくすれば、と。まったく違うんですね。どの程度の量だと子供に合うか(などがわからない)。薬を開発して販売するまでには、いろいろな手順を踏む。実験をしなければいけないでしょう」

長野「治験のような」

小倉「子供が出てくれる治験の数も少ないわけです。おのずと薬が限られる。たとえば外国で子供の薬として承認されているのに日本人の子供に合うかわからないから使えないとか。そういった問題もあって親たちをイライラさせているんです」

長野「そうでしょうねえ」

小倉「厚生省に、とりあえず認可してくれ、というように頼んでいる問題があるし。小児がんってすごく難しい病気なので、拠点の大きな病院でしか対応できないことがある。そこに入院させるとなると、父親か母親が必ずつかないといけない。病院には泊まれないからホテルはどうするんだ、といった問題が出てくる」

長野「自宅が遠い場合ですね」

小倉「すると『3ヶ月入院してください』『移植があるので半年入院になります』というときの宿泊費はどうなるんだ、と。いまならNGOが病院の近くにファミリーハウスみたいなもの、低価格の宿泊施設をつくろう、という運動が広がっている」

長野「はい」

小倉「さらに僕が取材して、本当に大きいなと思ったのが、きょうだい児の問題です。たとえばお兄ちゃんが小児がんになった、家族はお兄ちゃんにかかりきりになる。すると弟や妹、お姉ちゃんなどは家で待っているのよ、となって。『お兄ちゃんが大変だから我慢しないといけない』と抑えてしまう。その子にストレスがものすごくかかってしまうんですよ」

長野「障害を持ったきょうだいにかかりきりになる場合も、きょうだい児と呼ばれますね」

小倉「子供のがんだから、という難しい問題がある。社会的関心を高めることによって、子供の薬も必要だね、ファミリーハウスを建てよう、と。そういう機運をつくるために9月に、世界小児がん啓発月間をつくって。世界的に盛り上がっていたのが5年ぐらい前から日本に入ってきたんです」

「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時30分~5時、火曜~金曜午後3時30分~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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