
【3部門で受賞】2025年日本民間放送連盟賞 文化放送が2作品で「最優秀」 1作品で「優秀」を受賞
9月18日(木)に民放連理事会より発表された「2025年日本民間放送連盟賞」中央審査会審査結果において、文化放送は【ラジオ教養番組】で「文化放送開局記念 昭和100年スペシャル『ドンとモーグリとライオンと ~やなせたかし 名作前夜』」、【ラジオCM第2種】で「自社媒体PRスポット/広告のホンネ 篇」が「最優秀」を受賞、また【ラジオ報道番組】で「文化放送報道スペシャル『全生園の柊』」が「優秀」を受賞しました。文化放送は3部門で受賞の快挙となりました。
◆ラジオ教養番組【最優秀】受賞
「文化放送開局記念 昭和100年スペシャル『ドンとモーグリとライオンと ~やなせたかし 名作前夜』」
放送日時: 2025年3月31日(月)午前11時00分~12時00分
ナビゲーター:やす子(お笑い芸人) 朗読:小野大輔
インタビュー出演:久里千春(俳優)、加藤タキ(コーディネーター)、
平松利津子(編集者)、仙波美由記(やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団)
企画・ディレクター:豊澤佑衣 プロデューサー:奈良重宗 アドバイザー:鈴木敏夫
構成:山田睦美 編集:池渕浩史 整音:上原裕司
番組概要:
「アンパンマン」シリーズの作者で知られるやなせたかし氏(漫画家・絵本作家・詩人)は、文化放送との縁が深く、1960年代、数多くのラジオドラマ作品を書き下ろし、晩年には同局の番組審議会委員長も務めました。昨年、文化放送が保管資料を整理していた中、やなせ氏が書き下ろしたラジオドラマ台本などが数点発見され、その作品の中には、やなせ氏の後の代表作に繋がるモチーフが数多く散りばめられていました。
当番組では、生前のやなせ氏を知る関係者のインタビューを交えながら、それらの貴重な資料を紹介。番組ナビゲーターは、かねてより「アンパンマンみたいになりたい」と語っていたお笑い芸人のやす子が務め、名作が生まれる「前夜」の息遣いを60分の特別番組として放送しました。
≪講評≫
アンパンマンの作者として知られる、やなせたかしが手がけた1960年代のラジオドラマ台本をもとに、名作誕生の“前夜”をひも解く。台本の朗読、当時を知る関係者の証言を通じ、作品に込められた正義や命の尊さなどのメッセージを次世代に伝える。局に残る音源や台本を活用した再現はラジオ文化の継承につながり、「ラジオ放送開始100年」の節目としてもふさわしい。構成やナレーションも秀逸で、やなせの世界観を見事に体現しており、子どもに聴かせたい心に残る番組として高い評価を得た。
◆ラジオCM第2種【最優秀】受賞
「自社媒体PRスポット/オトナのホンネキャンペーン 広告のホンネ 篇」40秒
プロデューサー・ディレクター・コピーライター:南理子(文化放送)
プランナー:岡崎歩(文化放送) ミキサー:永田紗姫(TOS)
出演:宮川美保、進藤尚美、千葉俊哉、松山鷹志(以上青二プロダクション)
ナレーター:水谷加奈(文化放送アナウンサー)
最近は新しい業態やサービスが続々誕生し、CMとして放送して問題がないのかどうか、判断に苦慮するケースが多くなっています。テレビ CM やウェブ、チラシなどの広告を見ていると、その広告内で表示することが不可欠とされる重要な文言(注意喚起文言、打ち消し文言、啓発文言など)が、非常に小さな文字で表記され、見づらい印象がよくあります。本作品は、フェイクや誤情報が蔓延する昨今、「広告の適正化」をテーマに、視聴者やリスナーに少しでも適正な広告を届けたいという広告の作り手の想いが込められています。
<CM原稿>
30代女性 このサプリに出会ってから、人生変わりました!
ナレ 個人の感想です。効能効果を保証するものではありません
50代男性 サイト内の商品、8割引き!
ナレ 一部の商品をのぞきます
40代男性 なんとぽっきり1万円!北海道一周の旅!
ナレ プランの利用には条件があります
40 代女性 気になるシミを、先端の医療で除去します!
ナレ 保険適用外の自由診療となります
30代男性 高い利率で運用!投資で利益が得られます。
ナレ この金融商品は、元本を保証するものではありません
≪講評≫
健康食品や旅行、美容医療などの広告の宣伝文句に対し、「個人の感想です」「条件あり」「保険適用外」といった注釈を矢継ぎ早にナレーションで添える。文字では小さく表示される「広告のホンネ」でも、「ラジオなら、よく見える」と謳い、音声広告の信頼性や優位性をアピール。広告業界への皮肉をユーモアとともに織り交ぜ、「オトナのホンネ」というキャッチコピーが似合う文化放送のポジションを鮮やかに示した。音声で伝えるラジオならではの特性を巧みに活かした秀逸な作品である。
◆ラジオ報道番組【優秀】受賞
「文化放送報道スペシャル『全生園の柊』」
放送日時: 2024年10月25日(金)午後7時00分~8時00分
出 演: 長野智子
平沢保治さん、山内きみ江さん、山岡吉夫さん (多磨全生園入所者)
赤沼康弘さん(ハンセン病国家賠償訴訟弁護団)
プロデューサー:関根英生 ディレクター:相笠淳一
構成:桐木啓子 取材:石森則和 ナレーション:太田英明
制作協力:多磨全生園入所者自治会
番組概要:
20世紀に入り日本が一層の近代化を推進する一方、優性保護(すなわち劣性排除)の名の下にハンセン病に対する偏見を国民に植え付け、壮絶な差別を生んだ負の歴史を検証し、その過酷な実態を「証言」として記録する特別番組として放送しました。現在およそ90人のハンセン病回復者が入所している、国立ハンセン病療養所「多磨全生園」は、1909年の開設から115年。1世紀以上の月日が流れましたが、かつて園の全周をはりめぐらしていた柊の生垣は、今も一部で確認することができます。これら柊の生垣は、かつては入所者の脱走を許さない為の鉄条網であり鉄格子でした。
番組では、長野智子が「多磨全生園」を訪れ、3人のハンセン病回復者を取材。3人の肉声と関係者への取材から、“生きること”“生きていること”を消し去られていたかもしれない彼らのこれまでの人生を辿りました。
≪講評≫
国立ハンセン病療養所「多磨全生園」の回復者3人の証言は「生きること」と「生きていること」を消し去られたかもしれない壮絶な差別を生んだ負の歴史。100年にわたり偏見を植え付け、真実を塗りつぶしたのは国家であり、私たち自身でもあると問いかける。インタビュー手法、当事者の語りと弁護士の説明を巧みに配した構成、療養所を囲う柊を隔離の象徴としたタイトルと聴きやすさが、ラジオとして高い次元で融合している。当事者の高齢化が進む中で、その語りを音声メディアとして残す取り組みに共感を得た。