高市自民党新総裁の「ワークライフバランス捨てる」発言に、勅使河原真衣が感じた違和感

高市自民党新総裁の「ワークライフバランス捨てる」発言に、勅使河原真衣が感じた違和感

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。10月8日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、先日、高市自民党新総裁が発言した「ワークライフバランスという言葉は捨てる」発言に感じた違和感について語った。

勅使川原麻衣「今、結構話題になってますけども自民党新総裁の『ワークライフバランスを捨てる』発言がありましたね。新総裁を批判するつもりはないんですけども、言葉って大事じゃないですか。コミュニケーションって誰が何を言うのかが大事なので、『誰が』の部分は今回もう言ったことなので変わらないので、『何を言うのか』っていう部分で『ワークライフバランス』っていう言葉を今一度考えてみようかなと思うんです」

武田「ちなみにその発言というのは、高市さんが新総裁となったスピーチで『私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いて働いて働いてまいります』と、5回発言したということですよね?」

勅使川原「私、違和感がちょっとあるなと思ったのは大きく2つで、1つは皆さん多くの方が気づいていらっしゃるかもしれないですけど、ワークとライフってバランスとるっていうと 二項対立のように聞こえますけども、これ『対立概念なのかな?』っていうのはまず思います。だってどうですか、仕事って人生に内包されてないですか?」

武田「そうですね、ワークなのかライフなのかそもそもよくわかってないっていうところが正直なところですけどね。でもそれはフリーランスだととりわけそうですけど、会社で働いてる人であっても本当にくっきり分かれてるかといったらね、まだら模様になってるっていうこともあると思います」

勅使川原「そうですよね。で、これ最初からこういう、分かるような分からない言葉で言われてた話ではなくて、もともとアメリカで60年代にウーマンリブがあって、70年代80年代になると『女性の社会進出』って言われましたよね。あの頃やっぱり多くの女性がケア労働と賃金労働を両立するのって、やっぱりとっても大変だったんですよね。なので『燃え尽きちゃう』とか睡眠時間がそれこそ短いので『抑鬱状態に陥る』みたいな問題が散見されたと。そういう時に、政策的にとか制度的な支援っていう意味で『ワークファミリーコンフリクト』っていうのが叫ばれて解決しようっていう動きがあったらしいんですよね。なんですけども私たちが聞いているのは『ワークライフバランス』じゃないですか。これどこから出てきたかっていうと、90年代以降にどことは言わないですけども、アメリカの大企業が『より利益を上げなきゃいけない、生産性を高めなきゃいけない』という議論になった時に、もう業務改善とかはかなりやっているのでそんなに利益が変わらないとなると、人のやる気を高めるっていう話になってきたんですよね。そうするとこのやる気っていうのが『ワークライフバランス』の時は『従業員の満足度を高める』っていう言い方で、『満足すればもっと頑張ってくれるんじゃないか?』っていう理屈で流行ってきた言葉なんですよ。なのでもともとは個人を助けようっていう概念だったのが、いつの間にか企業視点になってるっていうのは結構忘れがちなので、今一度言っておきたいなと思います」

武田「確かになんかこう最初の意味とちょっと変わりながら、どちらかというと企業側がその業績とか従業員のやる気を奮い立たせるために変換する、みたいなことってこれだけじゃなくて、ありそうな」

勅使川原「めちゃくちゃありますよね。『しれっと問題』あると思うんですけど、私この二元論じゃないのに二元論っぽく言うって話で言えば、あの既視感がありまして、私はですね、新型コロナウイルスが2020年の春に広まった時に、よく聞いたんですよ、『命か経済か』って言葉」

武田「そうですね、本当に感染拡大した頃にかなりどっちかどっちかってのがありましたね」

勅使川原「でもこれどうですか? 資本主義社会においてお金稼がないと死んでしまうってこともあるので、これ私の執筆の師匠である磯野真穂さんという医療人類学者の方が、ちゃんと『バズフィード』っていうメディアで『いやいやいや、バカ言うなよ。命と命の話でしょ?』って言ってくれたんですよ」

武田「経済とは命ですもんね」

勅使川原「そうなんですよ。まやかしの二項対立はちょっと私たち、目を凝らしておかないといけないなと思ってます」

武田「誰が設定した言葉なのかっていうことを、やっぱり見ないといけないですよね」

この後も勅使川原さんは、高市新総裁発言に対する「もうひとつの違和感」についても語っいます。気になる方は、ぜひradikoのタイムフリーでご確認ください。

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